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満月の夜の想い
目が覚めて見る
窓の白い満月
まだ11時前
表の門は開けっ放しになっている
外に出てあおぐ
満月は南天にあり
高き天を走るように見えたのは
氷山のような白い雲の塊が
空を流れているからだ
国道を走る大型輸送トラック
湖の方からは白鳥たちの鳴き声が
高く響く
庭の草花が夜露に濡れて
月光に光る
旅から旅へ移動しつつ
白鳥たちが必死に生きているように
我ら人間も数々の悩み、喜びを抱えて生きている
故郷を出て、旅に病んで
ふるさとに帰れない人もいる
半身不随の兄のこと、
結婚を控えた甥のことを思う
失意も喜びも人生のうち
若い人たちの苦難と挑戦
白鳥たちのように
たくましく生きてゆけ
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poems
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祖国と女達 (従軍慰安婦の唄)
北は青森から 南は沖縄
売られ買われて 今日も旅行く 違うお国訛りで 慰さめ合いながら 捕虜の女囚も 同じ仲間さ 荒れ涯てた肌に やせこけた頬 今日も覚悟の 最後の化粧 バンザイ バンザイ 毎日百から二百 兵隊相手に
朝日が昇り 月が落ちるまで いずれ死んでゆくことが 決まっている男 虚ろに空を 見つめる女 涙も渇れはて痛みもないさ そこには 神も仏もいない バンザイ バンザイ 誰の子かわからぬ 赤子残して
死んだ女やら 銃を片手に 愛する若い兵士と散った女やら 歌える女は 子守歌を唄う あまりの怖さに狂った女 嫌な将校に斬られた女 バンザイ バンザイ 男はなんていいんだろう 羨しいじゃないか
勲章もらえて 恩給も付くさ 死ねば死んだで 名誉の戦士とやらで 立派に社に奉られるんだろ 私も男に生まれていたら 今ごろきっと勲章だらけ バンザイ バンザイ 戦争に負けて帰れば 国の人たちに
勲章のかわりに 唾をかけられ うしろ指をささされて 陰口きかれて 抱いた男たちも 今は知らん顔 祖国の為だと死んだ仲間の 幻だいて 今日も街に立つ バンザイ バンザイ ニッポン バンザイ 大日本帝国バンザイ バンザイ バンザイ |
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朝の散歩
赤い太陽が半島の上に現れ始めた
ウッドデッキでジョギングシューズを足に当てながら
昇ってくる真っ赤な球体に朝の呼吸をあわせる
生きものたちの一日がここから始まる
雪が融けた大きな湿原の
広い葦の枯れ野には
雪の下に埋もれていた
谷内坊主が姿を現し
小川が大川となって雪解け水を湖へと運ぶ
しんがりの白い雪が残っていた土手下は小川となり
土手にはフクジュソウの
黄金の花村が咲き誇っている
道野辺のうすみどりのふきのとうが
黒い土の上に
生まれたての赤ん坊のように
かわいらしく微笑んでいる
雪解け水の流れには水芭蕉の
白い葉花が見えている
白い冬の間中
私のレストランに来てくれたお客さんは
広い空の下、朝陽かがよう湿原を
飛び回り餌を探す
湿原の枯れ茎から枯れ茎へと渡りとび
茎はしなやかに弓なりになって
朝の調べを響かせる
また白樺やヤマナラシのてっぺんに止まって
朝の光あび、声を交し合う
おなじみのシジュウカラもコガラもキツツキもいるね
生き生ききびきびと
春の枯れ野を小鳥たちが舞う
向こうの能取湖には漁師の船や
渡りのカモや白鳥たちが
群になって漁をしている
夕焼の能取湿原
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朝のスケッチ: 白い花と赤い花
2013.3.31
雪野に
ダイヤモンドが散らばっている
キツネの足跡が
ゆるい曲線を描いてこちらに向かっている
快晴の青空
朝陽が窓の外の
白樺の小枝に降り積んだ
やわらかな雪を照らす
雀やコガラやシジュウカラが枝にとまり
大きなヒヨドリが枝の雪を振り落として
窓辺のレストランにやってくる
レストランの屋根の雪が融けて
水滴が氷となり
そのまま氷柱に伸びてゆく
きのうは花吹雪のような雪が
桜散る宴のような酩酊へと誘いながら
無限の時をしずしずときざみ
呼吸のように静かに流れていた
今朝、氷を張った庭の水たまりには
雪の結晶が
真っ白い花を咲かせていた
朝陽が伸びてくる前の
たまゆらの幻のような白い花
そんな朝、赤いランの花の鉢植えが
私のもとに届けられた
京都の知人から「長い一筋の道、お疲れさまでした」
とのメッセージをつけて
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