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3月撮影
12月撮影
早春まぢかの風景
冬、真っ白い氷の大地だった能取湖は
いま薄墨色に変容し
氷落ちまぢかの春を告げんとする
浅瀬の小川が流れ込む
砂州のあたりに裂け目ができて
わずかな湖水が現れると
さっそく4羽の白鳥が帰ってきた
青く晴れた
午後の斜陽に輝く湖水で
灰色羽の子連れの家族が
しなやかな首を曲げて漁をする
気温が10度になったり
零下になったり
白い雪が降ったり
青い空から陽光が降り注いだり
白と青が交互に交代するうち
降り積んだ高い雪の山は
だんだん低く小さくなって
庭に大きな湖が出来て
水がしみこむ地面には
黒い土が5か月ぶりに顔を見せる
日一日と春に近づいている
湖畔の我が家の窓から見える
凍結湖上の黒い影は
漁師と3台のスノーモービル
氷落ちする時が迫り
氷下漁の漁じまいをしている様子
遠くその周りを囲むように
オジロワシやオオワシが
氷原に30羽くらい
漁師が取り残した
魚を狙い待っている
昼食後、能取湖を見渡す3階に戻ると
湖上に人影は消え
光り輝く白い氷原に
黒い鳥たちが群がっていた
大きなオジロやオオワシといっしょに
地元のカラスたちもまじって漁をしていた
季節はめぐり
ちゃんと春が来る
わが窓辺に来る山の小鳥たちとの
別れの日も近いかもしれない
冬の朝の楽しいひとときも
もうすぐ終わりになるだろう
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poems
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「今冬は雪が多いね」
十二月中ごろから大雪がふり
空から無限に落ちてくる雪ゆきで
天地が真っ白となり、見境がつかなくなる
ホワイトアウトの日が幾日も続いた
そんな日は外出せずに
ジッと家にこもり
無限の雪のリズムに陶酔したり
窓辺に來る小鳥たちの
エサ台に降りつむ大雪を払い落とす
小さきものが喜ぶすがた
ひまわりの種や稗を食むさまに
こころ満ちるひととき
降りしきる雪の日が終わり
嘘のようにしずかに夜が明ける
岬の半島と黒い木立が
水色とオレンジ色の空に彩られ
そばには金星が瞬いている
それからゆっくりと
国道沿いの黒木の向こうの
斜里岳の肩から赤い太陽が昇ってくる
能取湖の雪原は遠くへと広がり
白鳥たちが憩う湖は
岸から凍り始めて小さく見える
突然、赤光が雪野を射ると
白無垢の雪木立が
満開桜に変げする
朝食の窓の外の
荘厳の真冬のかがよい
今日は山歩きにはもってこいの日だ
山小屋の周囲の山を
アザラシの毛皮を張ったスキーで歩こう 冬でなければ行けない場所を、歩き、上り、滑り降りる
畑や野原や森や沢
深々と雪をかぶったトドマツの森と、葉を落とした落葉松の森
鹿たちは冬、トドマツの森の下生えの
笹の葉を食べるため雪を掘る
今年のように雪が多い冬は
雪から冬の食糧の笹を守ってくれる
トドマツの森が伐採されると
鹿が生き延びるのは大変なのだ
おや
見かけない足跡はどうやら狸らしい
足跡をたどってゆくと、前方に狸がゆるゆる歩いていた
夏場に山小屋の小道に、ため糞を残していたから
この辺にいることはわかっていたが、姿を見るのは初めてだ
一頭の狸が出て行った雪の洞穴に
もう二頭の狸がうつらうつらと舟をこぐ
時々薄目を開け、つぶらな瞳が穴の中で光る
写真家の夫と写真をとらせてもらう
「邪魔してごめんね、何にもしないからね」
丘を過ぎて、斜面を下って沢に出る
雪の森は魔法の世界
こんもりと雪につつまれた沢と大木
青い空
沢を登ればわが山小屋の
全景を一望する丘にでる
前面は湖と流氷間近のオホーツク海
さあ、光る丘をシューッと一気に
滑り降りよう
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謹賀新年
暗き世と 思えど
野には 鹿ゆきて
光る雪 散る
白銀の森
2013年元旦
本年もよろしくお願いします。
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カッコーの朝 5月29日
白い霧が湿原をつつむ
寒い朝が続き
夏日になじみかけた体が
冬のコートにつつまれる五月末
ようやく今朝は大きな赤い太陽が
山の端に浮かんでいた
湖畔の散歩に出かけると
瑞々しい小鳥たちのさえずりが
湿原の野に満ちて
若草や木々の若葉へ飛び回る
この青い五月の森に
今年初めてカッコーの声を聴く
木琴のように太く高く
響き渡るその声
リラ冷えの五月末
オホーツクの湖畔にやってくる
季節の使者が今年もきっかりやってきた
私の庭のリラの花も
えんじ色の蕾をふくらませて待っている
朝食に山から帰った夫に
カッコーの初鳴きを伝えると
こういった
あいつは小鳥たちが卵を生み終わる
その時期をちゃんと知っていて
やってくるのさ
小鳥の卵をこっそりと捨て
その巣の中に捨てたと同数の自分の卵をそっと置く
小鳥たちに自分の卵を抱かせて孵化させるのだ
ずるい奴だが小鳥たちの卵を
全部捨てることはしないのだ
そこにはちゃんと自然の叡智が働いている
ユダヤマフィアとはそこが違う
日は巡り
月日の巡りに
心待ちに出会いを楽しむ
人も草も鳥も動物も
このささやかな楽しみにこそ
生きている驚きと喜びがある
オオバナノエンレイソウ
白桜(エゾノウワミズザクラ)
ライラック
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春のうた
山の雪が融け
坂を走り下り
水が呼び合い集まって
一斉に海を目指す
春
小川は大河となり
滔々と勢いよく
湖へ海へと走り流れる
春
草に隠れていたせせらぎは
大蛇となって生き生きとした
姿を現す
くねくねと
身をよじらせて
滔々と湖へと流れこむ
春
枯れ野の野辺に
若草色のふきのとうが
大地の中から吹きだした
赤ちゃんのように無邪気な
太陽のような笑みをうかべ
春
制服のスカートから
長い脚が伸びて
少女が一人バス停にたたずむ
上背のある体に不釣り合いな
ふきのとうのようにうぶな
顔にほっこり笑みを浮かべ
春
新調の学生服の男の子が
バス停に着いた
女の子と同じバスで
町の高校に通い始めるようす
青春の果てしない夢に
心ふくらませ
人生の扉を開けた
高校一年生
春
枯れ草の中に浅黄色の
草は芽吹き
木から木へ小鳥たちは
ペアで飛び交う
大空を悠々とトビは舞い
バッコヤナギの黄緑色の花が
ぼんぼりのように
春の空に浮かんでいる
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