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“韓国版ロミオとジュリエット”といわれる『春香伝』は、大臣の妾だった退妓ウォルメ(月梅)の娘ソン・チュンヒャン(成春香)と南原長官の息子イ・モンリョン(李夢龍)が、当時の厳しい社会的な身分の差やさまざまな苦難を乗り越え、命を懸けて愛を実らせようとする切ないラブロマンスである。韓国では誰もが知るロマンスであり、誰もが知っている故に、また『春香伝』を題材にした作品が今までにも何度も映像化された故に、作品化するのが一番難しい作品とも言われる。この作品が97作目の監督作品となるイム・グォンテク監督は、もともとパンソリによる口伝説話だった『春香伝』を、パンソリを土台にして映画化した(他の映像作品は小説を基本にしている)。国唱人間文化財でもある名唱チョ・サンヒョンによる春香歌のパンソリが劇中の情景・心情を表現し、美しい映像と心揺さぶるパンソリが一体となる傑作である。
【監 督】イム・グォンテク
【キャスト】イ・ヒョジョン → ソン・チュンヒャン(成春香)
チョ・スンウ → イ・モンリョン(李夢龍) イ・ジョンホン → ピョン・ハクト 新南原府使(長官) キム・ハギョン → パンジャ (モンリョン宅の下男) イ・ヘウン → ヒャンダン(チュンヒャン宅の下女) キム・ソンニョ → ウォルメ(月梅) チュンヒャンの母 退妓 【ストーリー】※最後までネタバレします
李氏朝鮮、粛宗(スクチョン)時代、全羅北道 南原(ナムォン地名)府使(長官)イ使道の息子で、16歳の両班(貴族)イ・モンリョン(李夢龍:チョ・スンウ)は、父の任地の南原里で科挙試験のために勉強部屋に閉じ込められ、勉強ばかりを強いられる憂鬱で退屈な日々を過ごしていた。
今日は端午の節句。男寺党(旅回り芸人)の農楽遊びの楽しい音楽が聞こえる中、ついに痺れを切らしたモンリョンは気晴らしに小間使のパンジャ(地方官庁の下男の総称)と共に、名所の広寒楼の見物に出かける。広寒楼からのすばらしい景色にひと時の開放感を味わっていたモンリョンは、ふと林の中でぶらんこ遊びをする娘たちの中に飛び抜けた一人の美女を見つけて、思わず我を忘れて見惚れてしまう。
パンジャにその美女のことを聞くと、退妓ウォルメ(月梅)の娘ソン・チュンヒャン(春香:イ・ヒョジョン)だと言うので、モンリョンはパンジャにその娘を今すぐここに呼んでくるように催促する。パンジャはチュンヒャンに声をかけに行くが、使道の息子からの誘いだと伝えたパンジャに、チュンヒャンは「雁随海、蝶随花、蟹随穴(雁は海に従い、蝶は花に従い、蟹は巣穴に従う)」という一編の詩を残して下女ヒャンダン(香丹)と立ち去る。
その詩をパンジャから聞いたモンリョンは、チュンヒャンが残した詩が、「(すべての生き物は自然に自分が向かうべき場所に向かう、すなわち)自分を直接訪ねて来なさい」という意味だと理解し、日が暮れるのを待ちわびてその日の夜闇にまぎれてチュンヒャンの家を訪ねる。モンリョンは、チュンヒャンの母ウォルメに、この心が永遠に続くことを誓いチュンヒャンに求婚、母ウォルメも前夜に見た池に浸かった青龍の夢を吉兆と信じて、快くチュンヒャンとの婚姻を受諾する。
その夜、愛が瞬く間に燃え上がったモンリョンとチュンヒャンは百年佳約を契り、16歳の幼い男女はこれから迫るどんな困難にも負けずにお互いに永遠に愛することを誓う。しかし、夢のような日が続いたのもつかの間、モンリョンとチュンヒャンの愛に試練が訪れる。
モンリョンの父イ使道が東部承旨に昇進し、都ハニャン(漢陽)に移ることになり、モンリョンも父について漢陽に行くことになった。チュンヒャンの母ウォルメは嘆き、チュンヒャンは涙ですがりつくが、16歳の幼いモンリョンにはなす術も無く「必ず科挙に合格してチュンヒャンを迎えに来る」と約束し、互いに再会を誓って離別する。
ところが、モンリョン一家が離れた後、モンリョンの父と入れ替わりに新たに南原府使として赴任してきたのは、あちこちの里で仕事をよそに妓生たちとあまねく酒池肉林にふけり、好色漢との悪名高い暴君ピョン・ハクト(イ・ジョンホン)使道だった。彼は南原里のチュンヒャンが絶世の美女との噂を聞いて、彼女を我が物にしようと、ミリャン(密陽)やソフン(瑞興)といった豊かな土地の長官職を辞退し、敢えて南原府使の任命を受けて急遽赴任してきた。
赴任後たった3日であたふたと行われた妓生点考(芸妓顔見世)。チュンヒャンが出てこないことを知ったピョン使道は、チュンヒャンの家に使いを送り込み、力ずくでチュンヒャンを東軒に連れてこさせる。ピョン使道はチュンヒャンに自分の妾になることを強要するが彼女は拒絶する。
その言葉にピョン使道は「母が妓生ならば奴卑母法によって娘のおまえも妓生だ」と言ってさらに語気を荒げるが、しかしチュンヒャンは「妓生の名簿に上がっていないので私は妓生ではありません。私は前任府使宅のモンリョン坊ちゃんと百年佳約を契ったので、二夫従事はできません。夫のいる妻に妾になれなどとどうして言えるのですか!」と断固として拒み続ける。腹を立てたピョン使道は長官命令を無視したとしてチュンヒャンを罪に問い杖打ちの拷問を加えるが、酷い拷問にもモンリョンへの貞節を曲げないチュンヒャンはピョン使道によってついに監獄に監禁されてしまう。
一方、故郷を離れたモンリョンは学問に精進して科挙にトップ合格し、官職に上がって暗行御史(朝鮮時代、民情を探り地方官の監察を秘密裏に行った国王直属の官吏)の任命受け、民衆の率直な状況を知るために乞食姿に身をやつして全羅道に下る。
故郷南原周辺で多方面から民衆に探問した中で、南原新長官ピョン・ハクトの暴政とチュンヒャンの高い貞節に称賛の声が上がっていることを知る。そしてチュンヒャンの家を訪れたモンリョン。出迎えたチュンヒャンの母ウォルメは、待ちに待ち焦がれていた娘婿が乞食姿で帰還したことに落胆を隠せなかったが、ウォルメと共に監獄を訪ねたモンリョンはついにチュンヒャンとの再会を果たす。
翌日、広寒桜でピョン・ハクトの誕生日の宴が盛大に催される。地方官僚が多数参列し、妓生が歌い踊る様はお祭り騒ぎだ。その様子を見物するために民衆も広寒楼の周りを取り囲む。その宴にモンリョンが入り込み、ピョン・ハクトの悪政を揶揄するが、ピョン・ハクトはじめ地方官僚たちは乞食となり今や落ちぶれた両班の若僧のいう正論を鼻であしらうばかりだ。
宴の盛り上がりが熟した時、モンリョンを馬鹿にするピョン・ハクトは祝いの詩でも書いてみろ、と促す。そこでモンリョンは「金樽美酒 千人血 玉盤佳肴 万姓膏 燭涙落時 民涙落 歌声高処 怨声高」という詩を書き、ピョン・ハクトを批判する。するとこの詩を見た地方官僚が顔色を変え、急いで席を立つ。次の瞬間、モンリョンが暗行御史の印である馬牌を掲げると、「暗行御史の出道だ!」という掛け声と共に見物人の中に紛れ込んでいた駅卒(暗行御史の命令で動く兵卒)が一斉に広寒楼に乗り込み、逃げ場を失ったピョン・ハクト一団は捕えられる。
乞食の服を脱ぎ暗行御史の姿で現れたモンリョンは、ピョン・ハクトの暴政を戒める。監獄から出され東軒に連れてこられたチュンヒャンは、いつも通りピョン・ハクトの尋問だと思い毅然とした表情を向けるが、そこにいたのが暗行御史の姿のモンリョンだったために驚いて気を失う。チュンヒャンを助け出したモンリョン、2人は晴れてお互いを抱きしめあい、東軒は幸せな雰囲気で充満されるのだった。
【感想】
ホントにホントにホントに、や〜〜〜〜っと!観れました!!!
字幕は日本語字幕じゃなかったですけど、やっと観れただけで感激&満足です!!!!! 日本版予告編
韓国で春香伝がどのくらい有名なのかといえば、
日本でたとえるなら忠臣蔵くらいに有名な話、と言われますね。
予告編で、唱人間文化財でもある名唱チョ・サンヒョンのパンソリ春香伝が流れていますが、
映画本編でストーリーテラーの役割を果たすのもこのパンソリです。
出演者たちのセリフがないわけではありませんが、
パンソリに合わせた動き(予告編中でパンジャがコミカルに歩くさまはパンソリの曲調の動きです)であったり、
その場面の背景や登場人物の心情表現、しいてはセリフまでもパンソリで表現されています。
もともと『春香伝』はパンソリによる口伝説話、春香歌であって、
小説『春香伝』はその口伝説話を文書化したものだそうです。
パンソリ『春香伝』は4時間半を超える大作、この映画はその長尺のストーリーを2時間弱にまとめています。
映像ありきでパンソリを説明に使っているというよりは、
パンソリの補足を映像で補完しているというような印象を受けました。
この映画『春香伝』を観たいけれど観れない状況で、
その元でもあるパンソリ春香歌を某サイトで観てみたことがあったのですが…
正直、何を語っているのかまでは理解できませんでした。
春香伝の内容は知っていましたけども。
でも不思議なことに、この映画を見ながらだと、パンソリの歌いが何を語っているのか理解できたんですよ。
もちろんすべてではありませんけども。
今までは、パンソリのあの独特の歌い回しと声質から、「恨」のイメージが強く重苦しい印象だったのですが、
この映画を見ながらのパンソリ春香歌は、
パンソリが民俗芸能として親しまれたものだということを感じることができた気がします。
ラブストーリーの中にも、当時の民衆の政治に対する思いを取り込んで…
モンリョンが乞食の服装を脱ぎ暗行御史の姿で現れ悪名高いピョン・ハクトを糾弾するところなんて…
「この桜吹雪、忘れたとは言わせねぇ〜ぜ!」「余の顔を見忘れたか!」「この紋所が目に入らぬか!控えおろ〜」的な。
民衆が心躍らす勧善懲悪ストーリー^^
そんな話が好きなのは、国が違えど同じなのですよね(笑)
で、なぜそんなに、このイム・ギョンテク版の『春香伝』が観たかったか…理由はおわかりでしょう?
どう考えても、チョ・スンウですよね(笑) まさにこの映画がチョ・スンウのデビュー作!
公募新人2037名の中から主役が選抜され、
現役高校生イ・ヒョジン(チュンヒャン役)と壇国大学演劇映画学科在学中のチョ・スンウが選ばれました。
結構なベッドシーンがあるため現役高校生と現役大学生が…ってことで某団体からクレームがついたとか。
…チョ・スンウ、後姿ですが真っ裸晒してます(笑)
映画『タチャ』の真っ裸後姿に比べて、完全に華奢ですが…。プッ!見るとこは見てますよ^^;
チュンヒャン役のイ・ヒョジンさんは現在は活動されてないようです。
チョ・スンウの活躍は…言わずもがな、でございますよね^^
とにかくですね、初々しいの、チョ・スンウ(笑)
見た目も初々しいし、演技も初々しいし。
でも、当然と言えば当然なんですけども、現在のチョ・スンウの演技スタイルに通じるものもあって…
役者から言わせれば「そんなに過去作品を追求しないでください」って感じかもしれませんけども、
観て良かったなぁ、うれしいなぁ、と。
観たいと思ってから観れるまでこんだけ長くかかった映画はオイラ史上他にないですから^^;
観たいと思う気が薄れないというか、ずっと観たいままだった映画もこの作品以上の物はないかも。
消されて観れなくなっては困るのでURLは貼りませんが、
某大型動画サイトで「Chunhyangdyun」と検索すれば、本編(英語字幕)がヒットすると思います。
興味を持った方はご覧になってみてください^^
ではでは♪
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