ぶらりぶらり見て歩記

最初の目論見とは異なり、最近は寺社巡りが主になりました(^o^)

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]


石清水 清き流れの 末々に われのみにごる 名をすすがばや
                                                      (小侍従「小侍従集」)

JR京都線島本駅前の島本町立歴史文化資料館を巡っていたら、近くに「小侍従(コジジュウ)の墓」があるこ

とが分かったので行ってみた。



小侍従は平安時代末から鎌倉時代初にかけて活躍した女流歌人である。

後に、能因法師、伊勢 と共に東摂の三歌人とよばれ、家集「小侍従集」があり、新古今和歌集には7首

載っている。

父は石清水八幡宮第25代別当で権大僧都・紀光清(キノコウセイ)、母は、花園左大臣家の女房・小大進(コダイシン)で

和泉式部と並ぶ著名な歌人であった。

恋多き前半生を送り、晩年は水無瀬(ミナセ)に隠棲し、ひたすら信仰に生きたとされる。

:)が彼女を知ったのは、平家物語である。

彼女には「待宵小侍従(マツヨイノコジジュウ)」とも呼ばれ、その由来が記されていたのだ。

小侍従は二条天皇の后・多子(タシ)の女房として仕えていた。

或時、主人である多子から「恋人を待っている宵と、恋人が別れて帰って行く朝とでは、どちらが趣深

い」と問われ、
待つ宵の ふけゆく鐘の 声きけば かへるあしたの 鳥はものかは
(今か今かと恋人を待っている宵に、夜が更け行くのを告げる鐘の音を聞くやるせなさに比べれば、恋人

が帰って行く朝を告げる鶏の鳴き声など、なんでもない)と当意即妙に「待宵」を推す歌をよんだので、

それによって、「待宵」と名が付けられた、という。

因みに、由来となった歌は新古今集の巻第十三 恋歌三にもあるが、初句と第4句が 若干異なって

いる。




島本駅から西南に15分程田園地帯を歩き、名神高速道路の脇に、小侍従の墓という五輪塔と小侍従顕彰碑

が建っていた。

近くに立つ説明板によると、もとは東西約4.8m、南北約3.6mの墓地を持ち、大正の頃まで高さ0.9mの

五輪の石塔が建っていたそうで、現在は水輪(円形部分)だけが残っている。

近くに建つ顕彰碑は、慶安3年(1650)高槻城主永井日向守直清がたてたもの。

いづれも名神高速道路拡幅工事に伴い、平成7年(1995)現在地に移築されたとのこと。



小侍従は皇后藤原多子に仕え、太皇太后小侍従としてしばしば歌合わせに出席するなど一流歌人として

歌壇に確かな位置を占めるようになった。

そんな小侍従は、どういう事情があったのか知らないが、59歳の時出家した。

冒頭の歌は治承3年(1179)秋、突然の出家に臨んでの詠歌である。

おもひをのぶ」という詞書がある。

歌意は「石清水八幡宮の清冽な流れにつながる子孫として、私だけが家名を汚してしまった。なんとして

も汚名を濯がなくては」と言ったところであろうか、今後の生き様の決意をうたっている。

尼になった小侍従は、水無瀬山麓の桜井にあった真如院(応仁の乱の兵火に遭い廃絶)を開基隠棲したと

か、石清水八幡宮が鎮座する男山の中谷の椿坊(款冬坊 カントウボウ)に住んだと伝えられる。      
                                        


小侍従の墓に立ち東を遠望すれば、霞の中に、JR在来線、新幹線など鉄道線路越しに(淀川は線路に遮ら

れて全く見えない)、石清水八幡宮が鎮座する男山が正面に望める。

小侍従の頃は、淀川を挟んで、ずうっと間近に見えたに違いない。

前半生を恋歌に華やかな才気を発揮した小侍従は、晩年この景色を眺めながらどんな思い出日々を

過ごしたのだろうか?と思わずにはいられなかった。



イメージ 1小侍従墓
平成7年(1995)移設
水輪が残っていたということだが、水輪を含め五輪塔全体がそう古くないように見える。
移設の際、造り変えられたのであろうか?






イメージ 2小侍従顕彰碑
慶安3年(1650)建立
撰文は林羅山



待宵の小侍従といふ女房も、此御所にぞ使ひける。

この女房を待宵と申しける事は、或時御所にて、「待つ宵、帰る朝、いづれかあはれはまされる」と

御尋ねありければ、「待つ宵の ふけゆく鐘の 声聞けば かへるあしたの 鳥はものかは」と

よみたりけるによってこそ、待宵とは召されけれ。(「平家物語」巻第五 月見)

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事