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1990年のバブル崩壊からこの方、「失われた十年」あるいは「失われた二十年」という言葉で 日本のデフレ克服の失敗が揶揄される事が多いのですが、果たしてその実態はどうだった かという点を指摘する論評がNew York Timesに掲載されました。New York Timesは、日本 については辛口の論評が多いのですが、その中で、こういった論評が出る事に面白さを感 じます。日本のマスコミも日本の現状についてシニカルな見方をしている事が多い訳です が、シニシズムは何も解決する事はありません。悲観的な状況の中でも明るい面を見る事 で、問題点を克服すべきではないかと思うのです。 それでは、以下に「日本の失敗という神話」の記事のサマリーをご紹介します。 "The Myth of Japan's Failure" By EAMONN FINGLETON Published: January 6, 2012 http://www.nytimes.com/2012/01/08/opinion/sunday/the-true-story-of-japans-economic-success.html アメリカ経済に関していくつかの小さな楽観的なサインはあるにせよ、失業率は引き続き 高止まりしており、経済はなお失速状態にある。アメリカ人は再三再四に亘って日本の失 敗を繰り返すなと警告されている。例えば、CNNのアナリストであるデビット・ジャーゲン は日本の事を「士気が挫かれた国で、実際に後退状態に陥っている」と表現している。 しかしながら、この表現は、ある種の神話であると言って良い。多くの視点から見れば、 1990年1月に始まる、いわゆる「失われたニ十年」に於ける日本経済は、寧ろ良好な状態で あったと言って良い。いくつかの最も重要な指標で日本はアメリカを凌駕している。 金融面でのバブル崩壊にも係わらず、日本はますます豊かなライフスタイルを国民に提供 する事に成功しており、その全期間に亘って、傑出した成功であると言って良い程である。 日本の地価や株価がバブル時代の気狂いじみた高値に戻ることがない事は勿論事実だろう。 しかし、日本経済と国民に力がある事はいくつもの方法で示す事ができる。そして、それ らの事実や指標は、新聞のビジネス欄で笑いの種になっている国のイメージとは全く異な るものである。 ●日本の平均寿命は、1989年から2009年の間に、78.8歳から83歳へ4.2年増加した。これ は典型的な日本人はアメリカ人より4.8年長生きである事を意味する。これを実現した源は、 より良い健康保険制度である。 ●日本はインターネットインフラについて大きな前進を達成している。1990年代の半ばま では、大きく立ち遅れていたが、今では全く異なっている。調査会社によれば、現在、世 界で最速のインターネットサービスが提供されている都市ベスト50の内、38が日本に ある。ちなみにアメリカには3つしかない。 ●1989年末から計った場合、円は米ドルに対し、87%上昇し、英ポンドに対しては94%上昇 した。円は、伝統的に通貨の鏡と言われるスイスフランに対してすら円は上昇している。 ●失業率は4.2%で、これはアメリカのおよそ半分の数値である。 ●世界の主要なビルを纏めているwebサイトである skyscraperpage.comによれば、日本の 「失われたニ十年」が始まってから、東京には500ft(152m)以上のビルが81棟建設されたが、 同じ期間にニューヨークでは64棟、シカゴでは48棟、ロスアンゼルスでは7棟だった。 ●日本の経常収支の黒字は2010年に1960億ドルで1989年の三倍となった。アメリカの経常 赤字は同じ期間に990億ドルから4710億ドルにふくれあがっている。また、1990年代には 中国の台頭による主要な敗者は日本で、主要な勝者はアメリカとなると予想されたが、実 際にはそうなっていない。日本の対中輸出は1989年の14倍に増加しており、日中貿易は、 概ね均衡している。 普通のアメリカ人旅行者が「失われたニ十年」論が誤りであると体感するのは、日本の空港 に足を下ろした時である。彼らが出発するのが、ケネディ空港やダラス空港と言ったアメ リカのインフラ建設衰退の悪しき象徴であるのに対し、降り立つ日本の空港は、近年、大 幅に拡充され近代化されているからだ。日本を久しぶりに訪れた米国人アナリストは、 「アメリカで日本について書かれたものを読むのと日本に来て見るものとの間には非常に 大きなギャップがある」「日本人はアメリカ人より良い衣料を着ており、町を走る車も高 級車や新車や多い。(アメリカでよく目にする)捨てられたペットも見ないし、物理的なイ ンフラはますます良くなっている」と述べている。 もし、日本が経済的に本当に傷ついているとすれば、一番それが明白に現れるのは、高価 なハイテク機器の普及スピードの低下だろう。しかし、日本は首尾一貫して、高価なハイ テク製品が世界で最も早く普及する国であり、普及が遅いのはアメリカである。例えば、 携帯電話の普及では、1990年代の終わりの段階で、日本はアメリカより2〜3年進んでお り、それ以来、その開きが縮まっていない。 さらに日本の優位の多くは量の問題と言うより質の問題であるという点がある。例えば、 日本の外食文化である。ミシュランガイドによれば、東京には世界的にトップランクのレ ストランが16あり、それに続くのはパリの10ヶ所である。同様に、ミシュランレーティン グ全体でも、日本はフランスを凌駕している。しかし、これはGDPで言えば何に反映でき るのだろうか。同様の問題は、日本の健康保険制度の改善をどの様に数値的に表すか、 また、ここ20年の日本の環境面での大きな改善についてどう数値化するかという問題もある。 日本は、教訓としてではなくモデルとして取り上げるべきである。もし、ある国が意思統 一を行う事ができれるのであれば、一番見込みがない状況であってもそれをチャンスに変 えることができる。社会インフラの整備は、しばしば与野党を超えた協力が必要となるが、 このような政治的協力は、大恐慌克服の象徴的プロジェクトであるフーバーダム建設の様 に過去アメリカの政治システムでも実行された戦略でもある。その点、社会インフラを常 にレベルアップしている日本はある種の将来展望を示しているのかも知れない。 |
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偶然なのか裏があるのか不明ですが、最近サーチナに載った中国人の分析とほぼ同じですね。
2012/3/17(土) 午後 1:08 [ akasyoobin ]