中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否 17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して 中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国 が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。 米太平洋空軍のへスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが、われわれの方針だ」と記 者団に述べ、西太平洋地域を米軍の影響下に置く必要性を強調した。 米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあったが、国防当局は西太平洋の覇 権を中国に譲り渡す「大きな過ち」だと主張。日本などアジアの同盟国との関係を台無し にしかねないとして断ったという。(共同) (産経新聞 2007/8/20) Division rejected Inside the Ring, Bill Gertz, August 17, 2007 The senior Air Force commander in the Pacific this week threw cold water on a Chinese military proposal to divide up the Pacific Ocean into U.S. and Chinese spheres of influence. Gen. Paul V. Hester was asked about China's recent plan to give the United States control of the eastern Pacific region, while China would control the western Pacific. "Our policy is not to cede space to anyone," Gen. Hester said in a telephone press conference from Hawaii. He said the United States "needs to be" in the western Pacific, "as opposed to running through a proxy, if you will, by ceding a certain part of territory and asking them to take care of it for us." The proposal was made to Adm. Tim Keating, the overall commander of U.S. forces in the Pacific, during a recent visit to China. Some pro-China officials in the U.S. government, including in the intelligence community, are said to favor the Chinese proposal. But defense officials say such appeasement would be a huge mistake since it would be tantamount to giving China complete hegemony in the western Pacific, a move that would severely undermine U.S. alliances in Asia and threaten the neutrality of vital sea lanes. http://www.washingtontimes.com/article/20070817/NATION04/108170082 (Washington Times 8/17/2007) 一見目を疑う様な記事ですね。と言う訳で原文を当たってみました。 概ね、記事通りの内容です。現実を見ると中国海軍はとても、西太平洋におい て覇を唱える様な兵力を保有していません。例えば、北西太平洋の海難救助を 引き受けているのは、海上保安庁です。その体制を維持する為に日本は膨大な 数の大型巡視船の船隊を保有しているのです。中国は今の処、巨大な沿岸海運 国に過ぎません。 ただ、こういう提案を中国が米国に対して行ったというのは充分理解できます。 従来から、中国は、まず、台湾を含む第一列島線を自己の勢力圏に置き、グア ムを含む第二列島線を確保するのを目標にしていると言われています。 この第二列島線に相当するのが、上記記事の西太平洋と言う事になります。 この目標に対する具体的な行動が、空母の建造であったり、バックファイヤー の配備であったりするのです。確かに完成すれば、西太平洋において無視でき 無い勢力となるのは間違いありません。 英文記事と日本語記事で差があるのは、日本語記事では、単純に太平洋を東西 に分割すると書かれていますが、英文では、中国は西太平洋に於いて米国の利 益代表として行動する事を提案している様に見える事です。「米国は利益代表 (Proxy)を通じて目標達成を目指す考えはない」と米太平洋空軍のへスター司 令官が述べている部分です。 中国が米国の代理人になると言う事は、米中の同盟関係について提案があった と考える必要があるのかも知れません。 キーティング米太平洋軍司令官の訪中では、会談の中で「中国の空母建造に米 国は出来る範囲で協力する」発言したと報じられる等、米国軍部の対中姿勢が 従来以上に積極的と見られていました。それも、米中同盟提案が前提にあった とすれば、米国側の宥和トーンにも納得出来る様に思われるのです。 中国にとっては、米国と同盟関係を結ぶ事は、現在の軍備増強政策と矛盾する 訳ではありません。長期的には対立関係になるとしても、短中期的には中国は 米国の資本と技術を必要としています。胡錦濤政権は、中国内での格差拡大に 一定の歯止めをかけ国内の矛盾を解決し、同時に北京五輪、上海万博を成功さ せる事で、中国の威信を発揚し、国家・国民の一体感形成を図りたいと考えて います。 軍事力の建設も道半ばの状況の中、米国と対立する事は望ましくないとなれば、 寧ろ、米国を取り込む事を考えてもおかしくはないのです。米中間の棘は台湾 問題しかありません。それさえ片付けば、中国が米国と同盟を組む事を妨げる 要素はありません。中国の地理的な位置は、米国がロシア及びイランを含む中 東に対して情報戦略を展開する上で魅力的です。そういう文脈の中で、「情報 機関を含む米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあった」とい う言葉が出てくるのだと思います。 米国にとって、日本と中国どちらが同盟国(アジアにおける米国の代理人)とし て有用かを考えると、中国に一定の支持があるのも当然と言えます。 中国は安保理常任理事国である事を含め国際政治上、日本より存在感がありま すし、外交上手である事には定評があります。更に軍事的な展開能力、兵力で も、日本よりも上であり、経済面でも市場としての魅力に満ち溢れています。 また、日本の様に軍事力に対する歪な国内世論もありません。 日本国民の多くにとっては日米安保体制は、現実的な選択としてしぶしぶ認め
ているものかも知れませんが、日米安保条約そのものは、片務的と言われる程、 日本に有利なものになっています。その点も含め、米国がアジアに置ける信頼 出来るパートナーとして中国を考える可能性がある事を我々は常に注意してい く必要があると考えるのです。 |
軍事−戦略
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1996年に、独立を主張する台湾の動きに関する北京と台北の指導者達間のにらみ合い の中、中国は台湾の近くにミサイルを試射し、米国は、これに対し空母戦闘団を派遣する 事で応えた。 米国の軍事力の誇示と台湾に対する支援を中国が防ぐことができなかった事が、北京の政 治的指導者と軍部を苛立たせた。彼らはペンタゴンによってアクセス拒絶戦略と見られて いる開発をスタートさせた。ペンタゴンによれば、それは米軍がアジア、とりわけ、中国 と台湾のどの様な対立に対しても介入する能力と運動の自由を制限するように計画されて いる。 中国のその努力の要石が、その選り抜きの潜水艦隊である。近年、8隻のロシア製新型デ ィーゼル推進キロ級潜水艦が潜水艦隊に加えられた。更に、原子力推進を含む数多くの新 型中国製攻撃型潜水艦も増強されている。その中でもキロ級潜水艦は隠密性に優れ、海中 で探知するのが困難である。 米国の予想によれば、中国海軍は、現在ほぼ60隻の潜水艦を保有している。その最新の ものは、目標接近時に超音速で飛行するロシア製の巡航ミサイルを備えており、特に米空 母を攻撃し沈める為のものと見做されている。また、一部の潜水艦は目標の航跡を高速で 追跡する魚雷を搭載している。 昨年のサン・ディエゴへの中国軍艦の訪問で、台湾に関わる如何なる紛争においても、米 空母を脅かす事で「中国は米国を介入させない一番良い方法は潜水艦であると決定した」 と現在ワシントンの国防研修所で教育に当たっている、中国海軍専門家のバーナード・コ ール退役海軍大佐は語る。 「潜水艦を見つけることは何より大変です。それは、非常に困難な仕事です。」 中国は、国産の駆逐艦とフリゲートを含む水上艦艇も建造しているが、それらはロシア製 のレーダーと対空兵器を装備している。駆逐艦は、世界の海軍で広範囲に使用されており 水上艦艇では大きな部類である。中国の駆逐艦は砲と誘導ミサイルを備えており、200〜 300名が乗りくんでいる。フリゲートは駆逐艦と類似した装備を備えているが、駆逐艦よ り小型である。 中国の造船所は、中国の海軍士官によると2タイプの新型原子力潜水艦の建造に取り組ん でおり、それらは既に公試を実施中である。また、昨年後半、中国はロシア製水上艦艇に 新たに洗練されたソブレメンヌイII級誘導ミサイル駆逐艦の二番艦を投入した。 中国の海軍力増強の目下の推進力になっているのは台湾をめぐる紛争の可能性であるが、 より長期的な目標は更に広範囲である。中国海軍士官によれば、三個の外洋艦隊が計画さ れており、その内の一つは日本と韓国の周辺海域をパトロールするものであり、二番目の ものは西太平洋に進出し、三番目のものはマラッカ海峡とインド洋を防衛する事になる見 込みである。 「中国が経済的利益を持つ、どこへでも、海軍は行くことができる様にする必要がある」 と、匿名の中国の上級海軍士官は語る。「これを推進する事で、中国は先進諸国とより直 接的な対立に押しやられるかもしれないが、海軍を戦略的に重要な地点に配備出来る様に しておかなければならない。」 中国はパキスタンで深い水深のある港の建設に資金を供給し、建設工事を援助した。 米国防衛当局者は、将来、この港が中国海軍基地に使用される可能性を指摘している。 そして、それにより中国にアラビア海とペルシャ湾岸地域へよりアクセスが容易になると 考えられる。この米軍将校は、中国がマラッカ海峡を通る海上交通をモニターする為にミ ャンマー南部に監視施設を設置していると考えている。 中国は、他の国の艦艇の航跡を追うと同時に、自国艦艇の海上の航法援助を行う為の衛星 ネットワークの構築をも開始している。中国軍の指導者は航空母艦を建造することについ ても話していさえいるが、航空母艦は何十年にも亘って米国の制海権の象徴だった。 そのような広範囲な海軍を築き、運営するための潜在的コストに対する懸念が、中国内で も一部の国家安全保障の専門家にそれに対する反対意見を促している。これらの批評家は 米国とその世界的な海軍に、世界の海を警備する重荷負わせる事で、中国は、いわゆる "ただ乗り"を続けるべきであると主張している。 しかし、今の処、海軍力拡張論者が、勝っているように見える。中国の胡主席は、昨年 12月に北京で海軍会議に出席し「我々は、この新しい世紀に、そして、この新しい段階 で我々の軍隊の歴史的任務の必要性に適応した強力な海軍を築くよう努めなければならな い」と述べている。 中国の拡大された海軍の存在感は、太平洋では、すでに肌に感じられている。昨年10月 に、魚雷と強力な対艦巡航ミサイルを装備した中国の潜水艦が、フィリピンの東の太平洋 上で、演習行動中の、米第七艦隊所属の空母キティーホークの射程距離内に浮上した。 遭遇は、平和裏に終わった。しかし、当時、米国太平洋軍司令官であったウィリアム・フ ァロン海軍大将は、後にレポーターに、事件は「非常に思いがけない何かに拡大する可能 性があった」と述べた。 米国は北東アジアで定期的に航空母艦を運用できる唯一の国である。そして、米軍士官達 は、中国の空母攻撃に使用する兵器に対する飽くなき追求が、米軍をその視野に収めたと 感じている。「中国がそれらのニッチ能力を身につけるとき、それは新たな問題を提起す る」と中国軍の増強を観察すること役割とする米軍士官は言う。 「何故、中国がそれらの獲得に集中しているのか、やや不明である点が問題だ。」 米国太平洋軍司令官に新たに任命されたキーティング提督は、北京の動機と軍事的能力に 関するより良い理解を得ようとしていると語っている。また、彼は中国軍部とより多くの 意見交換と相互交流を促進し、両国海軍の共同演習の拡大を推進したいと語った。 米国は、アジアで米軍の姿勢強化を図っている。「私は、中国が必ずしも脅威でなければ ならないと思わない。彼らがまだ決心したとは見ていない」と、ペンタゴンのアジア・ス ペシャリストは言う。「そういう訳で、我々はヘッジ戦略をとらなければならない。」 中国は、その反対に、米国の軍事増強を彼ら自身の軍事力を強化すべき理由と見るだろう。 米国の動きは、中国の民族主義者の力を強くする事になる。彼らは米国やその他の国は中 国の発展を妨げようとしていると考えており、そのような見解は、政府の主流派内でも持 たれている。 「我々がより先進の武器システムで強力な海軍を建設するならば、我々はより多くの選択 肢を持つ事が出来る。中国が米国が先頭に立つ相互協力システムに参加することは、あり 得る。」と、上海国立防衛研究所のNi氏は言う。「しかし、我々は、そうしなければなら ない場合には、戦う準備もできてもいるでしょう。」 |
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昨日ご紹介したWSJの記事ですが、残念ながら今日の段階で既に購読者でなけ れば読めない様になってしまっています。詳しくは原文を当たって下さいと お願いした手前、不親切の謗りは免れない処です。 と言う訳で、原文を抄訳する事にしました。機械翻訳に少し手を加えた程度な のでそれを踏まえてお読み頂ければと思います。 なお、昨日の感想の続きですが、Wall Street Journalの様な新聞が、この様 な長文の署名記事で中国海軍の脅威を取り上げるのは、珍しいと言わざるを得 ません。WSJの一般読者は、成長著しい中国への関心は高くても、中国の軍事 力については知らない人の方が多いだろうと思います。その点、この記事には 中国の成長が米国の安全保障に与える影響も考えないといけないという米国ジ ャーナリズムの警鐘が感じられます。 =中国の成長と長く放置されてきた海軍の再建に伴って浮上する緊張関係= −ワシントンと東京は、中国の軍艦購入を懸念− By GORDON FAIRCLOUGH July 16, 2007 要約 ・状況:世界経済との連携の高まりと、輸入への依存の拡大は、中国が軍事力、特に海軍 力を強化する方向に働いている。 ・背景:長い間、中国の軍隊は国内問題と国境に集中していた。現在、中国の指導者達は、 国際的な輸送ルートを保護する必要があると言うようになった。 ・対応:中国の海軍増強は米国に警戒を促している。日本にも軍事力と海軍力の増強を促 している。 中国 KAOLAO−この黄海に突出している岩が多い岬の一方の側には今にも倒れそうな漁村 があり、木のボートが浜辺に引き上げられている。もう一方の側には、中国海軍の最新鋭 艦、即ち、重武装の攻撃型潜水艦の根拠地である防御の整った埠頭が存在している。 隠密の潜水艦は、水上に黒い司令塔と尾鰭を出しているだけだが、中国の軍事力、取分け 長らく怠られていた海軍を現代化する中国の野心的な努力の最も顕著な証拠の1つである。 大方の意見では、世界経済との関係緊密化と輸入原油や輸入原材料への依存は、中国の指 導者達が約束している様に、中国の"静かなる地位向上"を確かなものとしている。 しかしながら、それと同じ商業的利益と、それを防衛する必要性が中国の軍事力を強化す る力としても働いている。 「海洋は、我々の生命線です。もし通商が断絶する様な事があれば、経済は急落するでし ょう。」と、上海国立防衛研究所の研究員であり、中国シーパワーの熱烈な支持者である Ni Lexiongが言います。「だから我々は、強力な海軍を必要としているのです。」 中国の戦略家は、共産党の政治権力維持を支えている国家の急速な経済成長と軍事力の発 展は、密接不可分に結ばれていると考えている。中国の防衛政策を説明する昨年12月に 公開された政府白書では「エネルギー、資源、金融、情報と国際輸送ルートに関連した安 全保障上の課題が山積している」と、述べている。 それに対応する形で、中国は、今年、軍事費として2006年対比で18%増となる、約 450億ドルを使用する予定と発表している。中国は軍艦の購入にも乗り出している。ロ シアから先進的な軍艦を購入すると共に、国産の軍艦も建造している。時間の経過と共に、 最初はアジアで、そして、アジア以外の世界でも、その戦略が、海洋での新たな勢力均衡 を作り直すことになった。 中国の指導者は、世界は、より良く整備された中国の軍事力を恐れる必要はないと主張し ている。公式には中国人民解放軍海軍として知られている中国海軍は、米国海軍と比べれ ば、まだまだ小さく、能力も低い。そして、国際戦略問題研究所によれば、米国海軍には 11隻の航空母艦を含む100隻以上の主要水上艦艇があるのに対し、中国には76隻の 主要水上艦艇があるものの空母はなく、また、中国艦隊は現代的な海洋戦闘の経験もない。 しかしながら、中国海軍が、よりよく装備され、より遠くまで行動するようになった事が、 ワシントン、東京、台北の非常ベルを鳴らす事になった。米国は部分的には、中国への対 応としてアジア駐留の兵力を増強しようとしている。日本もまた、その軍事力と海軍力の 増強を図っており、中国の北の境界に隣接するモンゴルとさえ関係を強化しようとしている。 「中国の軍事力改善は、非常に顕著です。それは、我々にとっては明らかに興味深く、 また、世界の誰に対しても同様に興味深いと思います。また、その様な関心を抱く事は適 切なものです。」と、米国太平洋軍司令官ティモシーJ.キーティング提督は語っている。 中国の懸念の多くは、その外国の石油に対する依存から生じている。中国は石油需要の ほぼ50%を輸入に頼っており、中東原油に対する依存度は米国のそれよりも高い。ラフに 言って輸入原油の72%がペルシア湾岸とアフリカからタンカーによって運ばれており、イ ンドネシアのスマトラ島とマレー半島の間の戦略的なチョークポイントであるマラッカの 狭い海峡を通っている。 胡錦濤主席は、これをエネルギー供給の潜在的脆弱性として、「マラッカ・ジレンマ」と いう表現で言及しているが、まだ、その艦船をマラッカ海峡の近くに恒久的に配備する迄 には至っていない。 中国は世界第四位の規模にある経済を動かす為に、銅、石炭から鉄鉱石に至る他の多数の 原材料も海外に依存している。中国の交易取引のほぼ全てが、中国東海岸から船で運ばれ ている。多くの輸出品は、中国自身の伸びゆく商船隊によって運ばれている。 「経済の国際化は、自衛のための軍事力の国際化を伴う」「これらの複雑で拡大している 利益を考え合わせると、中国の生存に対するリスクは、少なくなっているのではなく、逆 に増加している。」と、北京航空宇宙大学の戦略研究教授であるZhang Wenmuは、昨年出 版された軍事ジャーナル誌「中国の安全保障」の中で述べている。 ここ山東省東部の潜水艦基地では、海軍の変化の徴候を見つける事が出来る。潜水艦は、 海洋パトロールの間は防波堤の後に避難しているのだが、中国の潜水艦は、日本の周辺の 海域で探知されており、また重要な米国の軍事施設の設置されているグアム島周辺の西太 平洋でも見つけられている。 青島の海岸近くにある中国北洋艦隊司令部の近くには、強力なロシア製の誘導ミサイルを 装備する駆逐艦が民間のコンテナ船やオイルタンカーと共に拡大する港を共有している。 その歴史の大部分に於いて、中国の軍事力である中国人民解放軍は、共産党の国内の反対 者を破る事と国境紛争に集中していた。海軍にはその任務では比較的小さな役割が割り当 てられており、主に沿岸防御に集中していた。今日、海軍は230万人の中国の軍隊の中 で、およそ13%を占めている。 共産党支配の最初の30年、中国は主として政治的大変動に囚われた農業国に留まっていた。 殆ど外国との貿易はなく、海外の資源に対する需要も殆ど無いほど、経済成長も鈍い状態 だった。しかし、中国が80年代後期から90年代初期かけ本格的に改革解放を始めてか ら、一連の地政学的な変動と中国の加速度的な経済発展が合わさって、中国が必要とする 軍事力に対する指導者達の見方に劇的な変化を引き起こした。 |
中国が海軍力を大幅増強、緊張高まる日米 16日付米ウォールストリート・ジャーナルは、中国が潜水艦開発を掲げ、長い間放置され てきた海軍装備の更新を急いでいると報じた。中国政府は急速な経済発展に合わせ、海外 依存度が高まった原油や原材料の安全な輸送ルートを確保するための措置と説明している が、米国や日本などは中国が制海権確保に動いていることに緊張を隠せずにいる。 現在中国は潜水艦を60隻近く保有している。近年ロシア製のキロ級ディーゼル潜水艦8隻 を導入したのに続き、自力で原子力潜水艦2隻を建造中だ。米科学者連盟(FAS)は今月5日、 中国が新たに開発した「晋級」とみられる長さ133メートルの原子力潜水艦が中国大連に 停泊しているところを衛星撮影することに成功したと発表した。この潜水艦は実戦配備さ れた夏級潜水艦より大きく、騒音が小さいとされる。 中国はロシアからソブレメンヌイ級駆逐艦(8480トン)2隻の引き渡しを受けるなど、ロ シア製レーダーや対空兵器を搭載した艦船の導入と開発に力を入れている。中国国防科学 工業技術委員会の張雲川主任は今年3月、中国が空母の開発を進めていることを公表した。 その後、2009−10年にも中国初の空母が建造されるとの報道が相次いでいる。 海軍力増強は、当面は台湾との紛争に備えたものだが、長期的には三つの大洋艦隊を育成 し、▲韓国と日本の周辺巡視▲西太平洋進出▲マラッカ海峡とインド洋の輸送路確保をそ れぞれ担わせる構想ではないか、とウォールストリート・ジャーナルは報じている。 中国はまた、パキスタンの港湾開発に技術陣派遣と資金支援を行い、ミャンマー南部には 情報収集拠点を置いている。米国は中国が今後、アラビア海やペルシャ湾にも影響力を拡 大しようとしているとみている。 (朝鮮日報 2007/07/17) Wall Street Journalの記事は非常に長文なので、以下のURLを参考にして下さい。 上記の朝鮮日報の記事は、簡略化し過ぎかも知れません。 英文記事の方が結構読ませる構成になっている様に思います。 http://online.wsj.com/article/SB118455055071767284.html?mod=todays_asia_nonsub_page_one 記事を読んだ感想ですが、事実関係では、新奇なものはありません。既に、過 去のエントリーで紹介した項目が殆どです。ただし、中国が三個艦隊の建造を 計画していると言う指摘は興味深く感じました。 日本と韓国向けに一個艦隊、西太平洋とインド洋の米国第七艦隊向けに二個艦 隊という割り振りまで書いてありますが、これを実現しようとすると米海軍の 半分程度の兵力が必要になりそうな気がします。非常に壮大な計画ですね。 上記の記事に追加すべきものとしては、以下の様な点があります。 ●中国は、海上交通路に主要なエネルギー輸入ルートと輸出ルートを依存して おり、経済力の向上により、それを更に防衛する必要と、それを実現する実力 も強化される。 ●中国の原油輸入の72%がマラッカ海峡を経由しており、これが戦略的チョーク ポイントになっている事から「マラッカ・ジレンマ」と言う潜在的な脆弱性が 生じている。 ●中国海軍のもう一つの任務は中台紛争時に米国の介入を拒否する能力の獲得 である。 ●中国では、海軍は過去沿岸警備の役割で細々と存続していたが、胡錦濤主席 の後押しもあり、長年の課題であった近代化と増強が図られており、人民解放 軍全体の18%の人員を占めるに至っている。 ●中国の中でも、かっては海洋の平和維持は米軍に任せ、中国はそれに"ただ 乗り"すれば良いと言う意見もあったが、現在では、自国海軍により交易路の 安全を確保すべきと言う意見が強くなっている。 ●キロ級潜水艦、ソブレメンヌイII級駆逐艦、超音速巡航ミサイル、ウェーキ ホーミング魚雷等、ロシアから購入した新兵器で海軍力の質的向上が図られて おり、国産の原潜も二隻が建造中で能力が向上している。 これに対する対応として米国は、中国海軍との相互交流、共同演習等の協力を
強化する事で中国の意図をよりよく理解すると共に、もう一方で軍事力強化も 行うという両面戦略で臨んでおり、日本に対しても、軍事力の向上と海軍力の 増強を後押ししていると、書かれています。 日本が16DDHを建造しているのは周知ですが、それも、中国海軍の増強に 対する対応として実施されているのかも知れません。 |
中国、米空母攻撃ミサイル開発へ 台湾有事備え 中国軍が、台湾有事をにらんで米空母攻撃用の対艦弾道ミサイルの開発に着手するとともに、ロシア から超音速長距離爆撃機も導入し、対米軍戦術を修正していることが15日、明らかになった。米軍 や自衛隊の迎撃兵器の射程外からの攻撃に力点を置くことで、台湾有事に際して米空母機動艦隊来援 を阻止する目的とみられる。日台軍事筋が明らかにした。 こうした中国の戦術修正が成功すれば、米機動艦隊の台湾海峡接近が困難となり、米軍は対中戦術の 見直しを余儀なくされる。また、自衛隊の現有装備では新たな脅威を防御できず、東アジアの安全保 障にも大きな影響を与えそうだ。 同筋によると、中国軍が改良に着手したのは、射程1500〜2500キロの準中距離弾道ミサイル である「東風21」。動く目標を赤外線で探知する装置を取り付けることで、米空母攻撃も可能とな る。東風21は核弾頭の搭載が可能で、100基近くが既に配備されている。今年1月、衛星の攻撃 実験に使用されたのは東風21の派生型で、改良が進んでいる。 また、早ければ年内にロシアから10〜20機の超音速長距離爆撃機バックファイアー(Tu−22 M)が売却またはライセンス生産契約される見通しだ。同爆撃機は、戦闘行動半径約4000キロで、 射程500キロのAS−4空対艦ミサイルを3基まで搭載できる。米本土も爆撃可能なため、第2次 戦略兵器制限交渉(SALTII)で、保有を認める代わりに空中給油装置撤去を条件としたほど、 米側が恐れた兵器だ。 米軍は対艦弾道ミサイルやAS−4への迎撃手段を有しているが、万全ではない。機動艦隊の防御兵 器であるイージス・システムも「対艦弾道ミサイルやAS−4を大量に同時発射されれば、すべてを 迎撃できる可能性は大きく低下する」(日台軍事筋)からだ。被弾の恐れがあれば機動艦隊も容易に 台湾海峡に近づけない。 一方、自衛隊保有の対空ミサイルも、Tu−22Mは射程外となる可能性が極めて高い。海上自衛隊 のイージス艦も中国大陸に近づけば被害を受ける可能性があり、防衛省は新たな迎撃手段の開発・配 備を含む戦術の再構築を迫られそうだ。 (産経新聞 2007/5/16) 中国にとって見れば、来寇する米国の空母機動部隊をなるべく本土や台湾から遠い場所で 迎撃したいのですが、中国には、その為のウェポンプラットフォームとなる艦艇がありま せん。そこで、中国自身の空母機動部隊、原子力攻撃潜水艦を整備するのと平行して、長 距離対艦ミサイル装備の超音速爆撃機を整備する事にしたのだと考えられます。 この利用方法は、記事にもある通り、正しくソ連海軍が、米国空母機動部隊に対抗しよう として日夜訓練に励んでいた方法そのものです。その機体とミサイルをそのまま導入する というのは非常に有効な対抗策と言えるでしょう。 Globalsecurity.orgによれば、1993年には、中国からロシアに対する最初の打診があり、 その後、2000年には、プーチン大統領と江沢民国家主席の首脳会議でも、バックファイヤ ー導入について話合いが行われ、2004年6月には、既に両国間での公式的な動きになって いた様です。 確かに有効で有力な対抗手段ですが、いくつか問題もあります。 それは、進出距離が大きいと言う事は、米国の空母機動部隊がどこにいるのか予め、良く 判っていないといけないと言う事です。旧ソ連の場合は、レーダー衛星や偵察衛星を数多 く打ち上げる事と攻撃型原子力潜水艦により追尾する事で空母機動部隊の正確な位置情報 が提供されるというコンセプトでした。 中国も米国、ロシアに続く宇宙大国ですが、まだまだ旧ソ連のレベルには達していないの ですから、単純に旧ソ連の対抗手段を導入する訳にはいかないだろうと思われるのです。 また、最近の艦艇にはスティルスデザインが適用されておりレーダーシグニチャーが低く なっています。AS-4の導入に際して、中国は、ミサイル側の目標識別能力の改善を行う事 が必要になると思われます。 問題点の二つ目は、この長距離爆撃機と巡航ミサイルによる飽和攻撃と言うコンセプトに 対し、米国側もその危険を良く理解しており、対抗手段を編み出したという事です。 つまり、イージスシステムは、正にこの目的で開発されたものだという事です。 数百の目標を検知し、その内、脅威となる目標を識別、迎撃手段の選定を自動的に行う。 更には、12以上の空中目標に対して同時に攻撃を行う能力を持つというのがイージスシス テムの仕様です。タイコンデロガ級に導入されて以降、イージスシステムは、弾道ミサイ ルに対する迎撃を可能になるまでに改良が重ねられています。 弾道弾に対する迎撃が可能になっているのですから、当然、同じ様な超音速巡航ミサイル にも対抗する事が可能です。通常、米空母機動部隊には数隻のイージス艦が配備されてお り、空母を中心とした輪陣形を形成し、空母への攻撃に対し何重もの対空ミサイルの網を かけて対抗します。それを突破するには、過去のAS-4と同じであってはいけないのは先に 述べた通りです。 この二点を考えると、中国のバックファイヤー配備は確かに脅威の増加であると言えるに
せよ、米国や日本の艦隊に対し、冷戦期以上の脅威には、まだなっていないと考えられま す。 |



