暮の忙しさは、師も走ると良く言ったものだが、師が忙しいんだからぺーぺーの私が忙しいのは当たり前。
それも昨日でひと段落。御無沙汰だったブログを覗くと、留守にもかかわらず訪問をしていただいた友人の多かったのには胸きゅ〜んでした。
爺ばばのホリデー、イン、上海!!
吊るし柿の影が縁側を賑わす晩秋の昼下がり。
爺「婆さんや、足腰丈夫なうちに遠出をしておきたいんだがな」
婆「それは良いことですよ爺さん」
爺「今朝の新聞に載っていたんだが、上海も開けたそうだよ。婆さんと上海で暮らした 頃を思い出して、行って見たくなったんだよ」
婆さん、お茶を入れに立ち上がりながら、
婆「私も新聞を見て、そんな事を考えていたんですよ」
暮も押し迫った頃、上海上空に来た日航機は、右翼をかしげながら右旋回を始
め、着陸 態勢に入ると「アテンションプリーズ,アッツス―ンシャンハイエ―・・・」と
機内放送が流れる。
爺「婆さん、なんとか言ってるよ」
婆「飛行場に着くから安全ベルトを着けてくださいだって」
爺「・・・・・・・」
滑走路を削る車輪が紫煙を発し、全身の力を出し切った機は静かに止まる。
爺「婆さん、尻を抑えてどうしたんだよ。飛行場に着けばトイレがあるから、今は我慢
だよ」
婆「いやですよ、お爺さん。私は上がったり下がったりが苦手なんですよ。エレベータ
ーに乗っても、むずむずするんです」
上海空港ゲートを出ると、上海勤務の頃の現地の友人が迎えに来ていた。
夜の上海は美しく輝く。
爺婆には似つかない、上海でも一、二を争う超高級ホテル“ジンジャンホテル”
世界の要人が宿泊 する、とか。
友人も歳をとった。超老人の三人、ディナーテーブルを囲んでステージショウを観 ていると日本も中国も同じ、のど自慢のタイム。
日本ではひと昔になった感がある“のど自慢”、この地では盛んとか。
“やぎりの渡し”が流れ始めると爺さん「俺の十八番をなんで知っているんだ」と、
すくっと立った。婆さんが袖を引いたが既に遅し、ステージへすたすた。
其のまま、マイクを取ったが、テレビで流れてくる歌に合わせて歌っていただけの
爺さん、歌い出しのタイミングが合わない。首を振り手で拍子を取ったが駄目だ!
歌えないまま曲は終り。
おおっぱじをかいたのに、爺さん「ヤッパリ、支那人の楽隊じゃあだめだよ」
婆さん、恥ずかしくて顔をあげれない。
部屋に戻った爺さん、咽が乾いたのか水道の水を飲もうとしたら、友人が「飲んで
はいけない!、中国の水は日本人には飲めないんだよ」
婆「爺さん、水でうがいもできないんですって、その代わり、冷蔵庫に真水のボトルが
たくさんありますよ」
爺「なんだよ!支那ってとこは!水も飲めなきゃ、伴奏もへただ!」
ご機嫌を壊した爺さん、帰りの空港までぶつぶつ言い通し。