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5/23はボニーとクライドの死んだ日なんだそうだ。極悪人の二人だ。
強盗殺人を仲間と繰り返したハッピーなカップル。
時と場所と場合が違えば。ただ彼らの敵は周囲のほとんどみたいなもので、
国や法や社会が敵だった。家族は味方としていたようだけど。別の国の人間が
殺されているのは平気で知りもしない、同じ国籍の他人が死んだことは悲しい。
それって当たり前かな?でも俺は悲しいと感じることもある。
顔を見たことがない隣のルームナンバーの住人が死んだら、でも俺は悲しまない、
だってニュースキャスターがテレビで悲しげに伝えないから。街ですれ違う喪服姿に
悲しみを覚えないのと同じように誰が死のうが俺と俺の味方が死ななきゃいい、
でも誰の死も止める力は俺にはない。知り合いの家族が
いなくなっても何も感じないかもしれない。ただ同じ状況に自分が放り込まれた
ときの気分を考えるとすごく嫌な、楽しくない気分だ。だからそういう時は
悲しそうな顔が出来るけど、それは悲しそうだけ、または自分中心に考えた結果で、
その人の悲しみに共感している訳ではない」
ボニーとクライドの話だけど。その当時のフォードの一番早い車に乗ってたって。
今じゃ車が多くてまともに逃走なんて出来ないかな。東京は道も狭いし。
「はやくかねをだせ」とか言ってたのかも知れない。金出せ、だよ、馬鹿な餓鬼みたいな
せりふだけど、裏返すと大体の発言は金中心に動いているから、だからストレートに
「金出せ」って言うのは気持ちがいい。思いっきり殺して思いっきり殺される。
俺はいい気分になってどうにもならないかもしれないけど、
じっさいどんな気分にもならないんじゃないか。裁判、警察、それで人間が
浄化するための装置、殺人は殺人、事故は事故、故意は故意、未遂は未遂、
過失は過失、結局罪は動機、罪状、刑、の三枚降ろし、それで人間は安全は健全は復活した。
社会は救われることなく解決をチラッと見せて終わり。
罪人が増える一方、法律は厳しくなる一方、被害者加害者も増加の一方?と言うより
潜在していくものと、顕在してきたものは定量だ。隠していたのが善ならそれはどこにあるか、
と言うより善を感じたことがあるか?
で。ボニーの話だっけ。ボニーは、ボニーは目立ってキレイってもんじゃない。
着飾っても派手じゃない。目の中にある、何もかも見通すような冷たさがある。
風邪をひいた時の子供みたいな自己中心的な視線だ。親兄弟出掛けてしまって
一人退屈に過ごしている、熱があって動くことも本を読むのも億劫、気分が悪くて
眠れない、そういう時の子供の目付きをしている。それがクライドの心を引っ掛ける。
クライドはその目付きの、発熱したまま彼女を自由に遊ばせることが出来た。
クライドは特に目的もないし、他人を大切にする気もない。楽しむために何をしたらいいか
分っていて、とっくにそれを全部やりつくしたタイプの男だった。
カンが鋭く、その場しのぎで後先を考えない。
二人は玩具と玩具で遊ぶ子供のようでもあり、しっかりとした自覚をもった成人の意識
でもあり、容赦なく攻める軍隊のようだ。おそらく何処の世界にも現われる異物、
口の中や皮膚、内臓、種、の中に出てくるものと同じだ、それを生むのは世界だから、
記憶は消えて記録も消えて、また繰り返す。引き金はいつもの朝夕の合図、鐘の音、目覚ましと
お休みなさいの合図。意識をクラックするんだ。思い出から逃げていたか、でも
思い出を持っていたかどうか疑う。今日は何処の店にいき何処を通って逃げたのか自分たち
でも分らない分るのは生きていて仕事は成功して金があり、返り血もあることだ。
隣のボニー、隣のクライド、そして仲間。やりたいことしか考えない、機械みたいに正確だ。
「手が震えないのか?何故、ただの目の前の金づるを処理して、捕まらないように
逃げるだけの話だ。俺はそうして存続している、蚊が血をすって人間の手を逃げて、
役にたたないかも知れない命を次の子孫に託すように。俺も同じように役に立たないかも
しれない。それに俺は命を託す気はないかも知れないが。」託す=taxか面倒だね。
ボニーは言う。「逃げ出すときは逃げ出す。殺したかどうかは覚えていない、
銃撃戦はうんざりだったから、さっさと意見交換する前に、終わらせる。」「気に入ったのは
クライドの口だね、何もいらない、と言う口、それが引っ張るんだ。」「あれが欲しい。
これが欲しい、と言う欲望がないのに犯罪に突っ走る姿は、雲に似てるね。あの自己満足、
風吹くまま。あいつが口にしてるのは、引き金の餓えだね、機械の飢えを知ってるんだ。
それに吹かれてる、ブッ放す、突っ奔る。」
砂埃、茶色い道、窓からは陽射しが差し込む、後部座席で酒瓶を傾ける。砂の入った
床を擦って体を起こす。「次は?」「とりあえず猫でも犬でもいいから轢こう」、助手席から
また別の瓶を取り出して一息飲む。後部座席では空になったウィスキーを窓から投げ捨てる。
今度はタイヤが地面を擦る。街に突っ込む。
「一匹!二匹!」「一人!二人!」また窓から空き瓶を家や住人に向かって投げつけ、ついでに
銃を撃つ。「3人」「4匹!」「6人!」気に入った店の前へつけて駆け込み、金と命を手に入る分だけ 奪い、また銃を撃ちながら次の街へ向かう。
二人の行き着いた先は警察との銃撃戦で、二人では満たしてやることの出来なかった機械の飢えを
たっぷりと味わったのだ。
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心地良い 潔さ。 正義や悪は置いといて。
2007/5/23(水) 午後 8:40 [ t.k.u ]
棚のおくで埃まみれ
2007/5/24(木) 午後 6:02 [ asi*to3*he*ei*on ]