旋毛掻痒

We don't like you we just want to try you by BRMC "STOP"

クロロホルムHigh

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リダイアリー

 傍の並んだ半透明の頭蓋の中を青白い光が散り散りに駆け回り、その向こうにかつて空から崩壊しながら落ちてきた幾つものピラミッドの巨大な破片が空間に突き刺さり、緑がかった光を受けてほのぼのと浮かび上がり、そのまた向こうには霧を透かして遠くまで捻じ曲がり交差し絡み合い伸びていく太いチューブの下にはまた何処までもチューブと霧と靄が緑がかった光の中を落ち込んで光を落とし込み吸い込んでいき多分そこにいる虫とか人などと共に動き回っている。頭蓋たちにいっそう激しく光が走った。彼らは卵が孵るまで蟻(小さな小さな)が山脈(大きな大きな)が平らにするまでの時間を星が生まれてから死んでまた生まれるのを繰り返し繰り返しとてつもない速さで想い描き続けて過ごしているその間に体を拭いてやったり飯を食わせてやったりしながら過ごすのが僕の仕事だが恐ろしく退屈だ。何が起きてもほとんどはそれが他の何かに届く前に終ってしまうように思えるここでは、誰が誰なのかを知っているものなど誰もいないのではないかと僕は想像しているが僕が何かを認識したときそれは既に遥かな過去に生起した事象なので、僕は僕の過去を過ごしているが現在をまだ知らないままだ。今の過去の僕はこうして日記を書いているのだが現在の僕は何をしているのだろうか。この日記を破り捨てたり、または消してしまって新しい日記を書いているかもしれないし何か全く別のものになっているかもしれない。時折身を震わせる頭蓋たちの黒く固い体を拭きながら僕は向こうで起きていることを想像したりするがそれは僕の記憶から生まれる想像なのだが、僕の記憶を探ってみてもここからどこかへ行ったとか誰かと会ったという記憶は無い。なのに僕は誰かというものを知っているしどこか向こうへ何らかの想像を働かせたがる傾向があるのは僕が多くのことを忘れてしまっていることを教えてくれているのだろうか。何が起きるでもなく、頭蓋たちの光を眺めているだけでも時間は過ぎていくしその光はあるときは物憂げに、あるときは楽しそうに、あるときは悲しそうにも見えるのだ。きっとどこかへと行った者達の記憶の痕跡が僕にそんな感覚を与えるのだろう。見下ろしているのか見据えているのか見上げているのかもはっきりしないというのに僕は奇妙に満ち足りた気分で周囲を眺めていることがよくあり、こうした気分をあとどれぐらい味わうことになるのだろうかという思いとともに僕がこの文章を日記に書くのは一体何度目なんだろうかという疑問が浮かび上がるがその疑問さえ一体何度繰り返してきたものなのかはよく分からない。

ぼっとりと今にも地面に落ちてきそうな月の夜、
真っ白でぶよぶよとしたやわらかい月の光が
地上に降りて、頭と胴体と手足が二本ずつある
風船みたいな形をとったものが地面から生えることがある。
もし触るとぷるんと震える。夜中に道でこれに出会うと、
ろくなことが起こらない。向こう側から来るか、
後ろから追い抜かれるか、どっちがいいと思う?
足音がしないんだ。微かに梅の花のようなにおいを漂わせる。
歩くときもなんともぐらぐらしながら歩く。
明るい月夜の晩、影を落とさない真っ白なぐにゃぐにゃが
夜道を前からか後ろからか歩いてきて君の目の前で踊りだす。
君はひきつった笑いを頬に浮かべて、ただひたすら息を吸いながら、
そして上体を前後にひきつらせ始める。苦しいだろうか?
でもどっちでもいい、
君が苦しかろうが苦しくなかろうが僕には興味がない。
そのままそのまま、どうか、
僕のことなど気にせずそのまま続けてくれたまえ。
鼻腔がだんだんいっぱいになってきて、脳を圧迫しだす。
匂いの圧力に耐え切れなくなった脳が逃げ出そうとする。
ぽろぽろと記憶が蘇っては吐き出されていく。
それでも匂いは追求の手を緩めることはない。
耳から音が吸いだされる。蝸牛が這い回りだす。
奥歯の奥の歯肉の奥がうずきだし、
ひくーい振動が顎の骨をごぐんごぐんと揺する。
舌が邪魔に感じられてくる。
唾が口中にあふれているのにのどはカラカラだ。
視野は月の骨の映像が何度も繰り返し再生される。
白くなった目は何を見ているか分からない。
意識には何の思考も感じられない。
君は脳からも追い出されてしまいそこにはいない。
つんとさらに匂いが強まり、嗅覚が君を占拠する。
その後あらゆる匂いに君は気がつく。石、砂、土、木、草、
コンクリート、ゴム、鉄、歯、爪、毛の一つ一つ、皮膚、会話、感情、光、闇、
細胞の一つ一つがそれぞれの匂いを放つ生き物の動きが正確に感じられ、揺れ動く
地面とその他のものが結んだり結ばれたりしながら、踊っているのを匂いで感じ、
それをどうすることも出来ないまま、目が覚めるとベッドで夜が明けている。
今年ももうすぐ春が来るらしいねえ。

傷口

醜い宝石みたいに綺麗な嘘の傷口から、光が輝いてぽとりと、床に落ちた。
それを見て僕は怒りよりも悲しみよりも何よりも、まず空腹を感じた。
ぼっと体のなかが燃え上がり、熱くなるような空腹だった。
僕は熱い手でその傷口をそっと押さえた。
それからこの傷が少しずつ癒えて塞がるように祈った。
けれど、本当は塞がらないで欲しかった。
いつまでも光をこぼしていて欲しかった。
そうでなければ、この熱が失われて、体が固まってしまうんじゃないかと恐れた。
僕がたっぷりと光を味わえるように、僕を突き動かす空腹を奪わないで欲しかった。
それから僕は傷口に口付けをして傷が塞がっていくのを感じながら満足して固まった。

おとぎ話

花婿は、誓いのキスを交わしながら右手で銃を取り出し、

花嫁の左のこめかみにそっとあてて引き金を引いた。

赤い血と肉と眼球と骨片が反対側へ飛び出し、

花嫁の席やウェディングドレスやに新たな装飾を加えた。

会場が静まり返った。銃声はとても小さかった。

一瞬静まり返った披露宴会場は、それから、温かい拍手に包まれた。

そして弾丸が放たれる前よりもいっそう、

カメラのフラッシュが焚かれ、さらに拍手が打ち鳴らされ、

会場が沸き立った。美しく着飾った招待客の顔から笑顔がこぼれた。

披露宴が終ったあと、二人は来客に感謝の意を述べて、見送った。

その後、二人は末永く幸せに暮らした。

統一

冷えて固まった肌の奥、歪んだ鼓動を
抱えた心臓は巻き付けられた鉄条網の
中、血を滲ませながら歩き続けている。
誰も振り返りらない見飽きた自己犠牲に
唾を吐きかけて七の七百七十七倍まで
両の頬を打ち据えて復讐を果たすまで
我々の怒りは治まらない。死者の祈りに
耳を傾ける方法を失った我々は沈黙と
瞑目の掟に従い使命のみを遂行する。
蝗の羽と顎を震わせて蔓延し、全てを
食べつくすその瞬間まで働き続ける。
些細な喜びを感じる為に、そしてその
喜びまで根絶やしにするために。全き
自由を手に入れる日を夢見、目的の
途上で朽ちていく心細さを踏み躙り、
行列の足音は絶え間なく軍靴の踵を
鳴らし、雲霞の如く果てしない隊列を
拡大させこの世を一つに包んでいく。

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