|
2月の寒い日だった。
会社から帰ると母が目をきらきら輝かしていた。
「明子。不思議なものを見たんだよ。」
「西の空にね。」
「赤い光が筋のようになって家のまわりだけに浮かんでるんだよ。」
「赤い飛行機雲かね。」
「生まれて初めてみたよ。」
「夕焼け雲じゃないの。」
「違う。」
母は言い張った。
山に囲まれたこの付近は気流の関係で見た事もないような雲が良く出る。
墨絵のような世界に息を呑む事もある。
「飛行機雲じゃないし。」
「何だろう。」
何回も何回も顔を見るたび聞いた。
「それはね、お父さんのね、魂よ。」
疲れた私は重々しく母に告げた。
「お父さんがお母さんが心配で見に来たのよ。」
「いつも見守ってるって言いにきたのよ。」
母の顔色がさぁーと赤くなった。
「お父さん、私の事心配しているかな。」
「心配でだから見に来たのよ。」
私は小さい時から霊感が強いと言われていた。
母は今でも私の霊感を信じている。
でもこれは反論されると思ったのに素直に信じた。
「可愛い所が有るね。お父さんも。」
「死んでから私に会いに来るなんて。」
「死ぬ前にお父さんは
『お前が一番可愛いよ。一緒に死ねたらいいね。』って
言ったけど、もっと元気な時に言って欲しかったよ。」
父が死んでから母は苦しんでいた。
自分は父に必要な人間だったかを自問自答する日々だった。
自分の人生を後悔していた。
母を苦しみから救ったのはこの赤い雲。
さまよう霊の話をした人。
それに私が見た父の夢だった。
母の頭の中ではこの赤い雲がさまよう霊と結びついている。
「今は成仏したから現れないのかな。」
「遠慮しているのかな。」
「怒られると思うのかな。」
そう話す母は父の帰りを待つ新妻のようだ。
|
poisteさん>父の代わりはできませんが、できるだけ母の力になりたいと思っています。
2006/5/23(火) 午後 11:55
おか〜さん・・救われたんでしょう〜ね、赤い雲に・・。 それに、あじさいさんの一言で、確信お持てて・・。よかったです、 お父様、ほんとに愛されてたのですね、まさに夫婦。うちの爺様のとこじゃ、ありえないです!、今だてって、「施設入れちゃいなぁ〜」だもん、義母は・・、
2006/5/24(水) 午後 5:18
くーにーさん>義母さんもある意味虐待ですよね。夫を放り出して居る訳だから。夫婦じゃないよ。そんなのは。
2006/5/24(水) 午後 10:49
子供の頃は、霊感にあこがれた時期もありましが、大人になるに連れて「無くて良かった」と思うようになりました。
2006/5/25(木) 午後 11:59
ヒロシさん>私に霊感が有るかどうかは分かりませんよ。子供の頃言われたりしただけですから。今もたまに。
2006/5/26(金) 午前 0:11
私の先輩の奥さんは、霊が見えるそうで、家の中でも赤の他人が一杯見えるそうです。なんか、それって、嫌ですよね(^^ゞ
2006/5/27(土) 午前 4:58
ヒロシさん>それは嫌ですね。お風呂とかにもいたりすると、どうするのでしょか。霊は居るけど霊を感じるかどうかと言うことらしいですよ。
2006/5/27(土) 午前 9:35
それにしても,純粋なお母さん,なくなったお父さんの話に、頬を染めるなんて、素晴しいですね〜〜〜
2006/5/27(土) 午後 0:04
haradaさん>田舎者で純粋なんです。
2006/5/27(土) 午後 7:43
それにしても、年老いた、親の面倒見るのは、大変ですね〜〜〜頭が下がりますよ〜〜〜
2006/5/28(日) 午後 5:42
いい話でした
2006/5/31(水) 午後 3:43
haradaさん>自分も同じだけ年を取って行きますから。でも母は動けますから助かります。
2006/5/31(水) 午後 3:51
辰爺さん>嘘でも母をあんなに喜ばせられました。閻魔様も大目に見てくれるでしょう。
2006/5/31(水) 午後 3:52
おっさんは霊感がまるで無いんで不思議なものは見たことがないんやけど・・・あじさいさんはえらいなあ。おっさんやったら泣けて何も言えないかもね。
2006/6/2(金) 午後 7:58 [ - ]
おっさん>そんな事はありゃしませんで。みんな感じる力は持っているけど、幸せの時は感じないものでっせ。
2006/6/2(金) 午後 9:52
訪問して頂き有難う御座います、貴方の記事には、ほかの人には、ない 文章に感心して読むことが出来ますので、此れからもよろしくネ。
2006/6/19(月) 午前 7:01 [ - ]
teitukuさん>ありがとうございます。私はteltukuさんのブログに共感しております。これからもよろしく。
2006/6/19(月) 午前 9:25
僕もその経験をしている。 遠い日僕がまだ5・6才の頃、僕を可愛がってくれていた従姉が突然死んだ時、苦しんでいる従姉を見て必至に大人に知らせたが、間に合わなかった。その村は土葬だったのでか、葬儀の後暫くして家の付近で屋根の方を見ていたら、フンワリと何かが浮いていた。
2006/8/5(土) 午後 0:18
煙のような、其れでいて其処から離れようとはしなかった。 その時これは、従姉が僕を見ているのだ、と思った。 「従姉さん、ごめんなさい、僕が人を呼んでくるのが遅かったので・・・」と僕は泣きながら叫んでいたら、 何故かその物体はサーと屋根から離れ消えて行った。 この事は今も不思議な事がこの世にはあるのだ、と言う確信とともにあるのです。
2006/8/5(土) 午後 0:23
ひとりさん>同じような経験ですね。母も苦しんでいる父を守れないと責めたので、父が「そんな事ないよ。」と言いにきたのかもしれません。従姉さんも同じ気持ちかもしれません。
2006/8/5(土) 午後 3:29