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ここ数日取り上げている天童荒太さんの小説「孤独の声」からの話題。今日もこの小説の中からの話題ですが、小説中に興味深い、次のような場面があります。
コンビニでバイトしながらミュージシャンを目指す19歳の潤平が、そのコンビニで窃盗事件に遭います。彼はナイフを突きつけられ、その瞬間ほとんど何もできないで犯人を逃すことになるのですが、主人公の女性刑事・風希(ふき)が、彼が毎日詩作や浮かんだメロディを録音するために携帯しているマイクロ・カセット・レコーダーがその瞬間も録音中であったことに存在に気づきます。
この事件現場で、ある声が発せられていることを知った風希は、この声が録音されたテープを大学の研究所に鑑定に出すのです。そして、その鑑定結果を確認に行った際の場面での大学講師と風希の会話です。ここに登場する「声」の持ち主は、潤平です。大学講師は、人間の声に関する研究の内容を伝えた後で、次のように話し始めます。(尚、以降の記述は本書の核心の一つなので、これから本書を読まれる方は、その旨ご了承下さいね)
「結果として、人を嬉しくさせる声、いらつかせる声、それなりに特徴が見えてきたわけです。で、今回鑑定を依頼されたテープの、若者の声の質は、私たちの分類では、<淋しい>にあてはまったわけなんですが」
「・・・それが珍しいんですか」
「いいえ、淋しさを感じさせる声は、数は少なくても珍しいものではありません。ただこの<淋しい>にも、ふたつの種類があると、アンケートによって発見され、音の質の上でも分けられたんです。ひとつは、淋しくてつらい。或いは悲しい、やりきれない・・・。ま、これがほとんどです。残る、もうひとつ。これは本当に数が少ないんですけど・・・淋しいんだけれど慰められる、淋しいけれども励まされる。淋しいんだけれど勇気が出る・・・」
「淋しいけど、慰められる・・・・」
「何人もいないんですよ。いないんだけど、これ偶然なのかなんなのか、あとでへーって思いましたけど、ここにあてはまっている人は、とても多いんです・・・・歌手の人が」
「歌ってる声だったんですか」
「それじゃあ実験になりません。みんな普通に話している声を選んできたんですよ。たとえ外国人の声であっても。エディット・ピアフもジョン・レノンもキャロル・キング・・・」
「彼の声は、そこにあてはまるんですか」
「そう。孤独の歌声」
「孤独の歌声・・・」
「ある学生が、この分類に名づけたんですよ。歌手が多かったからだろうけど・・・。歌手の人たちも。自分のそうした声を意識して歌手の道を選んだわけではないでしょうが、人に愛されるには、やはりそれなりに声の持つ、音の秘密があるというわけでしょうか」
いわゆる「声紋」と「波動」というやつですね。声紋といえば、テレビでもよく登場される日本音響研究所の鈴木松美所長ですが、以前、美空ひばりさんや森進一さんの歌声を分析されていて、彼らがいかに見事なビブラートで歌っているかを説明されていました。また、そのとき最も性格で美しいビブラートの持ち主ということで挙げられていたのが、平井堅さんでしたね。
この内容は小説ですのでフィクションとして書かれているのか、著者の実際の取材に基づく研究結果なのかはわかりませんが、著者のことですから、おそらく事実ではないかと私は思います。最後に、本書の解説で関口苑生さんが次のように述べておられます。
「本書で描かれる孤独は、人間は最初から孤独の中におり、そこから一歩でも外に出ることはないのだという主張が窺えるのである。つまり、孤独とは絶対的な<存在>であるのだと。穿った見方かもしれないが、そのことはタイトルにも象徴されている。つまり、孤独な歌声ではなく、孤独「の」歌声なのである」。
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へぇー「永遠の仔」は読みましたが、これも読んでみたい本ですね。今度図書館で検索してみよ。
宇多田ヒカルの声も人間の聴力の限界を超えた域に達しているそうですね。
私はチェットベイカーの男とも女ともつかない声に魅力を感じます。
2007/11/27(火) 午前 8:50
チェット・ベイカーの声のことは知りませんでした。少し前に話題になった「Beautiful Girls」のショーン・キングストーンときっと同じような声質なんでしょうか?ありがとうございました。
2007/11/28(水) 午前 5:09 [ aso**otoh ]
ショーン・キングストーンは知りませんでした。チェットベイカーは「My Funny Valentain」が有名です。
「クロスロード」レンタル屋で聞いたらボンジョビの「クロスロード」というライブが出てきました(;_;)ちがーう!
2007/11/28(水) 午前 7:15
前から気になっていたショーン・キングストーン、うしちこ母さんのコメントをいただいて、今回記事にしてみました。
2007/11/29(木) 午前 6:23 [ aso**otoh ]