|
先日、天童荒太さんの小説「孤独の声」(新潮文庫)を読みました。私はここ一、二年で十数年ぶりに小説への回帰をしていますが、村上春樹さん、村上龍さん、花村萬月さんなどいずれも渋いリスナーとして、彼らが登場させる実在のミュージシャンたちを効果的に描いていますね。
この作品の概要は次ぎの通りです。
「凄惨な殺人事件が続発する。独り暮らしの女性たちが監禁され、全身を刺されたかたちで発見されたのだ。被害者の一人が通っていたコンビニエンス・ストアの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然、彼女の友人が行方不明に。孤独を抱える男と女のせつない愛、噴き上がる暴力――。『家族狩り』『永遠の仔』につながる、天童荒太のまさに出発点」。(新潮社)
本作は、1994年の作品。おりしも先頃、WOWOW「ドラマW」で映像化され(花堂純次監督、内山理名主演)放映されたようですが、残念ながら、WOWOWに加入していない私は観ることができませんでした。著者の作品は「包帯クラブ」を読んでいますが、こちらは2007年9月15日に映画化されていますね。「永遠の仔」はドラマを見たり見なかったりという程度でした。
この小説のテーマは文字通り「孤独」。登場人物のそれぞれが違った「孤独」を抱えてどう生きているのか?その象徴として、香川から上京しミュージシャンを目指してコンビニでバイトする芳川潤平(19歳)潤平の心象風景に根強く刻まれている実在の二人の人物、ロバート・ジョンソンと宮沢賢治が登場します。ここでは、その一人、伝説のギタリスト、ロバート・ジョンソンを取り上げます。本作の中で、潤平はロバート・ジョンソンを次のように表現しています。
「ロバート・ジョンソン。ばりばりのブルース、録音が古く、まずノイズが入り、そのイメージが、聴く人者の空気を、古い時代に染め上げてゆく。節くれた指がつまびくギターの音がふるえて、この部屋を、現在の日本という空間から解き放ち、まったくべつの世界に運んでくれる。ときに太く、ときに高く、彼が孤高の魂を歌う・・・」。
ロバート・リロイ・ジョンソン(Robert Leroy Johnson、1911年5月8日-1938年8月16日)は、「アメリカ合衆国ミシシッピ州出身のミュージシャン。1930年代に活躍した。マディ・ウォーターズ、エリック・クラプトン、キース・リチャーズら、多くのミュージシャンに影響を与えた」。
「ミシシッピ州ヘイズルハースト出身。アコースティック・ギター一本でブルースを弾き語りして、アメリカ大陸中を渡り歩いた。当時の聴衆はそのギター・テクニックが巧みなのに驚き、『十字路で悪魔に魂を売り渡して引き換えにテクニックを身につけた』という伝説が広まった。これが有名な『クロスロード伝説』である(なお、19世紀の名ヴァイオリニスト・パガニーニにも同様の伝説がある)」。
「夫のいる女性に手を出したため、27歳の時にストリキニーネで毒殺されたとされている。上記のクロスロード伝説では、彼を毒殺したのは悪魔ということになっている。亡くなったミシシッピ州グリーンウッドの町役場に提出された彼の死亡届では、彼の死因欄には『No Doctor』とのみ記載されている。彼が遺したものは2枚の写真と29曲42テイクだけである」。(ウィキペディア)
私はまだ観たことがありませんが、この伝説をテーマにしたウォルター・ヒル監督の「クロスロード」(1986年)という映画があります。クリームのクロスロードの原曲は、ロバート・ジョンソンの曲クロスロード・ブルース(四辻ブルース take1 take2)だそうです。
また、ローングストーンズのバンド名は、マディ・ウォーターズの作品『ローリングストーン』から名付けられたことは有名な話ですが、そのマディ・ウォーターに影響を与えたのがロバート・ジョンソンだったということです。
「映画『クロスロード』(ビデオ)は、実に見ごたえのある作品でした。ロック・ブルースファン必見の映画作品と言ってもよいでしょう。何がよいのかと言えば、映画に挿入されているブルース曲の数々やブルースの演奏シーン、ラストシーンで繰り広げられる主人公と有名ギタリストとのギターバトル・セッションバトルが実にいいのです」。(http://www.seri.sakura.ne.jp/~kiyo/eric/e4.htm)
|