「a song for you」の可能性を求めて

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<Sviatoslav Richter plays Schumann Concerto in A minor Op. 54>
http://jp.youtube.com/watch?v=yJ5p5E3XCQ4&feature=related

今日取り上げるのは、クリス・クラウス監督、脚本による2006年のドイツ映画「4分間のピアニスト」です。

〜無実の罪でとらわれた天才ピアニストが自分の才能を信じてくれる女性教師との出会いを通して、再び人生の輝きを見出すまでを描く感動作。世代の違う2人の女性の、まったく異なるピアノへのアプローチを丁寧に映し出す。ドイツの名女優モニカ・ブライブトロイは入念なメイクで老年のピアノ教師役に挑戦。オーディションでこの役を獲得した新人のハンナー・ヘルツシュプルングと息の合った迫真の演技をみせる。4分間だけ演奏することを許された、ヒロインの驚きの演奏に言葉を失う。(シネマトゥデイ)〜

エンドロールの最初に「ゲルトルート・クリューガー(1917〜2004)」と献辞が捧げられています。監督のクリス・クラウスが語ったところによると、1943年から女子刑務所でピアノを教えていた女性が実在した新聞記事を目にしたことから、このストーリーは生まれたそうですが、クリューガーは、20世紀最大の指揮者フルトヴェングラーから認められた優秀なピアニストだったようです。

作品中ではクリューガーに対するフルトヴェングラーの次ぎのよう評価が語られます。

「若手で最高のピアニスト。確たる世界観はあるが、精神的にもろい」

さて、ピアニストをモチーフにした映画には、「海の上のピアニスト」(1999年/ジュゼッペ・トルナトーレ監督/イタリア)、「戦場のピアニスト」(2002年/ロマン・ポランスキー監督/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作)、「善き人のためのソナタ」(2006年/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督/ドイツ)、少し毛色が違いますが、「クロイツェル・ソナタ 愛と官能の二重奏」(2006年/イタリア)などがありますが、やはりヨーロッパの独壇場、面目躍如というところでしょうか。


ピアノの天才というキャラクターでもあるジェニー。劇中で素晴らしい演奏を見せてくれますが、ハンナー自身はピアノに触ったこともなかったと言いますから驚きです。

ハンナー・ヘルツシュプルング Hannah Herzsprung;「1981年、ドイツ生まれ。父親は、テレビ俳優のベルント・ヘルツシュプルング。ドイツのプライベート・ネットワークProSiebenが製作したテレビシリーズ「18―Alone among girls」やテレビ映画「Emilia―The Second Chance」などに出演していたが、一般的にはほとんど無名の女優だった。ドイツ全土から1200名が集ったオーディションで、本作のジェニー役を射止め、華々しい映画デビューを飾る。この演技で、ドイツアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、バヴァリアン映画祭新人女優賞を受賞、今後最も期待される若手女優となった」。

<ドイツの新星、ハンナー・ヘルツシュプルングが語る『4分間のピアニスト』>
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/interview/2007/11/2830/

<テレビ東京 CINEMA STREET>
http://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/cinema/4minutes/cast.html

添付のYOUTUBEは、20世紀最大のピアニストと呼ばれたロシアのスビャトスラフ・リヒテル(1915年 - 1997年)が奏でるロベルト・シューマンのピアノ協奏曲イ短調。この曲は本作のラストで意外な展開を迎えますが、この曲は本来、次のような経緯で生まれました。

「シューマン(1810〜1856)のピアノ協奏曲はこの1曲だけしかない。若い頃ピアノ協奏曲の作曲を試みながら、結局完成しないで終わったのは、ピアノの技法よりも管弦楽の用法に苦心し、満足するに至らなかったためと言われる。しかしその10数年後に完成したこの協奏曲では、それらの事柄が見事に克服され、優れた作品に仕上げられている」。

「彼はピアノと管弦楽のための作品として、まず1841年に『幻想曲イ短調』を作った。この頃より、それまでのピアノ独奏曲中心の傾向から脱して、管弦楽作品にもその才能を発揮し始め、交響曲などに優れた作品を書いてゆくようになる。そして管弦楽に対して自信をつけた彼は、従来から意図していたピアノ協奏曲の作曲にとりかかったのである。前述の『幻想曲』の成功から、それを元にした協奏曲にしようと決め、この「幻想曲」にカデンツァと終結部を書き加えて第1楽章とし、新しく「間奏曲」と題する第2楽章と、終楽章を作曲して1845年に完成した」。

「ロマン派の協奏曲にありがちなヴィルトゥオーゾ志向が表面に出ないのはシューマンの意図したところだが、ピアノの技法、管弦楽の用法がよく練られており、シューマン独自の幻想的で内燃的な、まさにドイツ・ロマン派音楽の世界を生み出している。曲は、アレグロ・アフェットゥオーソの第1楽章、アンダンテ・グラツィオーソの第2楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェの第3楽章からなり、第2、第3楽章は切れ目なく演奏される」。(音楽評論家 福本 健)

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