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自虐史観の葬送のために!守るべきは社稷であって国家ではない!

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松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』(2016)によせて

取り急ぎ松尾氏の新著の意義を確認すべきネット上の評価を拾い集めてみた。特に肯定的なものだけが引っかかるような検索の仕方をしたわけでないつもりだが,肯定的なものが多い。
 
《ヨーロッパの左派政党は、そのほとんどが、金融緩和と政府支出の増大を基本政策として掲げている。それはヨーロッパの社会民主主義が、今現在、働いている労働者の生活を安定化させることを政党の理念として掲げているからだ。雇用創出と賃金の安定的な増加が一般労働者にとってもっとも大事なことだと考えれば、金融緩和と政府支出の増大は当然の政策目標になる。》(ブログ『読書亡羊』より)
http://blogboyo.hatenablog.com/entry/2016/05/03/135252

《アベノミクスを批判する本。長期の成長と短期の成長は違う。需要が足りない今は短期の成長を追い求めるべきなのに、構造改革のような長期の成長を目指す政策は間違っている。完全雇用を達成する前に、将来必要となる福祉に携わる労働人口を増やしておくべき。確かに、東京オリンピックというイレギュラーな対象に向かって投資すると、その後の持続性に疑問がある。》(読書メーター「ヒカル」さんのコメント)

《著者は、安倍政権の弱点は福祉だとみて、この本で、金融緩和マネーを介護や医療や教育や子育て支援につぎ込んで雇用を拡大させる、最低賃金をインフレ目標並みに引き上げるなどの対抗景気対策を打ち出している。》(「ひばりタイムス」より)


安倍政権は,最低賃金引き上げや介護・子育て支援など本書の提言の一部を先取りするような政策を取り始めているが,松尾さんの提起する政策とは本質的な違いがある。上記引用中に関連する言及があるが,実はアベノミクスは人口要因に働きかけて潜在成長率を高めようという,超長期的成長戦略を含んでいる。子育て支援はむしろそちらの観点から導入されたものだ。根本的に発想が違うのだ。

 
また,福祉,医療,教育,雇用分野で財政出動が打ち出され始めたが,実績はまだ皆無だ。実施したことといえば金融政策だけである。「財政出動」に係る政策提起が,選挙向けのリップサービスだけに終わる疑似餌でないとは言い切れない。
 
そのうえ,金融政策にもケチがつく。 
 
《「マイナス金利について反対の理由をあらかじめ申し上げると、まず、マネタリーベースの拡大とマイナス金利の採用は本質的に矛盾があり持続性に欠けると思う。

  また、マイナス金利政策は緩和効果をもたらすどころか、むしろ引き締め的であるとも考える。

 さらに、マイナス金利政策は金融システムの安定性に影響を及ぼす可能性があるとも考える」》

 《「金利低下は長期・超長期ゾーンで著しいが、20~40年といった超長期の資金調達を行う、ないしはできる民間経済主体はほとんど存在しない。

 むしろ、こうしたゾーンの過度の金利低下が年金負債などの割引率低下を通じて、企業年金を含む広義の社会保障制度の持続性を脅かすほか、企業財務に相応のマイナス影響を及ぼし、人々のコンフィデンスを損なう可能性もある」》


624日のエントリーで取り上げたYahooニュースで紹介されている,日銀政策委員会審議委員佐藤健裕氏の発言の中味だ。
 
アベノミクスの金融政策は,財政出動の効果は損ねる性質を持っているというわけである。「反緊縮」としては不徹底でまがい物の疑いさえあるアベノミクス,われわれの批判は,それに対する反緊縮策としての純化徹底の要求でなくてはならない。





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