ここから本文です
自虐史観の葬送のために!守るべきは社稷であって国家ではない!

書庫全体表示

「競争こそが社会の活力の源泉だ」という考え方がある。この命題が成立するかどうか検討するには、「競争」の内容を吟味する必要がある。「活力」については、個人の活動の活発さというぐらいに一般的に理解しておいてよいであろう。
 
さて、競争である。競争の分類は、分類の仕方それ自体に何通りもあると思われるが、ここでは、マイナス・サム、ゼロ・サム、プラス・サムという区別から論じたい。
 
マイナス、ゼロ、プラスは、競争参加者の利得の総計を現す。参加者全体の利得の合計が参加コストの合計を上回れば、プラス・サム、下回れば、マイナス・サム、コストと利得が均衡すればゼロサムである。
 
これらの区別すべきものを区別せず、一般的に否定したり肯定したりするのは愚かしい。なぜなら、社会を活性化すると言われている競争だが、実際にその効果が持続するのはプラス・サム競争だけだからである。
 
競争にはインセンティブが必要。
 
マイナス・サム競争やゼロ・サム競争は、それ自体としては、社会的厚生を増進させない。
 
マイナスサムは、端的に繰り返されるほどに厚生を低下させていくし、つまり、すればするほど社会の富の総計は目減りしていく。もし、マイナス・サム競争において先行する競争の結果が後続の競争の条件として引き継がれるなら価値を重ねた者がますます強くなり、負けが込んできたものはどんどん勝てる可能性を失っていく。その結果、負け組は、競争参加のインセンティブと参加コストの負担能力をを枯渇させ、競争から撤退し、競争は持続できなくなる。
 
ゼロ・サム競争も、先行する競争の結果を引き継いで後続の競争が行われるなら、同様の理由でマイナス・サム化する。ただ、競争停止に至るプロセスがより緩やかに長期的に進行するという違いがあるだけである。
 
ゼロ・サムやマイナス・サムの競争を持続可能にするためには、一つの競争が終わるたびに結果を一旦リセットして全くの均等条件のもとで次の競争をする必要がある。
 
資本主義経済では、企業のイノーベーションをめぐってプラス・サム競争が行われている。
 
この競争は、資本主義経済において唯一健全で持続可能な競争の可能性を持つ。しかし、その成果の大部分が資本に取得されることによってこの可能性は殺されている。生産性向上の成果は、過剰人口の生産に利用され、適正な労働時間と豊かな自由時間の両立には向けられていない。
 
資本主義経済においては、雇用と労働負担をめぐる労働者同士の競争は最悪のゼロ・サム(⇒マイナス・サム)競争である。
 
雇用だけを切り離して考えれば、ゼロ・サムで済む。ある与えられた大きさの労働力需要(求人ポスト)をめぐって求職者たちが競争する。労働者がどれほど努力しても労働力需要自体が大きくなる可能性は極めて低い。つまり、企業は採用計画に基づいて計画した人員数を満たそうとするのであって、1人でいいと思っていたが甲乙つけがたい人物がもう一人来たので採用枠を広げて二人とも取ろうということは、ときにあるとしても、決して一般的なことではない。しかし、それでもこれは、限りなくゼロ・サムに近い、実質ゼロ・サム同然のかすかな希望しかないとはいえプラス・サムであって、とりあえずマイナス・サムではない。
 
しかし、雇用をめぐる競争は、現役労働者の労働負担をめぐる競争とリンクしている。現役労働者が所属企業への忠誠心を競い合って、あるいは個人的利得を増やそうと自分の作業量=労働負担をこぞって増やすなら、企業が必要とする作業量は、大方現役労働者たちの負担によって賄われ、追加的労働力の必要性は低くなる。したがって、追加的労働力への需要は抑制される。
 
いや、それどころか現役労働者一人当たりの負担増は、新たな失業さえ生みうるのである。
 
100人×8時間=800人・時間の作業量は、一人あたりの負担を10時間に強化すれば、80人×10時間となり、より少ない人員で賄うことができる。
 
つまり、雇用と負担をめぐる労働者間競争は、総合的には、まぎれもないマイナス・サム競争となるのである。求職者たちがポストを得るために、長時間過密労働を受け入れるなら、また現役労働者がポストを維持しようとして労働強化を受け入れるなら、それに伴って、後続する求職者たちが参入できる余地はますます狭くなり、それどころか失業の増大さえもたらしかねないのである。
  
資本主義に限らず、経済的な競争において、プラス・サムの競争がありうるとしたら、それは、ワーク・ライフ・バランスと環境保全とノーマライゼーションのためのイノベーション競争ではないだろうか。
 
イノベーションの成果が、企業の事業規模拡大ではなく、労働時間の短縮(自由時間の拡大)と環境保全と精神的・身体的事情による就労困難者への就労支援に活かされるなら、社会的厚生の真の増進が見込みうると思われる。
 
(2010/11/25(木) 午前 2:02のエントリー)
 

転載元転載元: 草莽崛起〜阿蘇地☆曳人のブログ(「日本」を桜の下に屠る決意)

この記事に

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
  • 名前
  • パスワード
  • ブログ

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事