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物質代謝と労働

マルクスの物質代謝概念については、自然的物質代謝、社会的物質代謝、自然と人間とのあいだの物質代謝という 3 つの物質代謝に整理できる。 

自然的物質代謝と社会的物質代謝の区別がまずもっとも大きな分類としてあって、自然的物質代謝の中に人間的自然の物質代謝と環境的自然(人間的自然と区別される限りでの自然)の物質代謝がある。

人間的自然の物質代謝は、人間的自然内部での諸器官や細胞の間での物質の受け渡しである。環境的自然の物質代謝は自然の物質循環の諸契機をなすような物質代謝である。自然と人間の物質代謝は、まず基本的・原初的には個人的消費過程における摂取と排泄である。  
      
ところが人間の場合には、摂取の過程が労働を通して遂行されている。分業の発展によりこの媒介は複雑化し、今では排泄も労働(廃棄物処理労働)として遂行されるようになっている。自然物に有用物の形態を与えることから始まり、この有用物が流通過程を経て個人的消費に入り種々の排泄物として処理されるまでの一連の過程が社会的物質代謝である。以上の内容は左のような図であらわせる。

物質代謝と労働との関係については、資本論において次のように述べられている。

《労働は、使用価値の形成者としては、有用労働としては、あらゆる社会形態から独立した、人間の一存立条件であり、人間と自然との物質代謝を、したがって人間の生活を、媒介する永遠の自然必然性である》(資本論第1部、S.57)。

ここで労働は、「使用価値形成者」、「有用労働」、「人間の一存立条件」と規定され、最後に「人間と自然との物質代謝を」「媒介する永遠の自然必然性である」とされている。つまり、少なくともこの文脈においては、「労働」と「人間と自然との物質代謝」とは直接に同一のものとはされていないで、前者は後者を媒介するものとされているのである。また、「人間と自然との物質代謝を、したがって人間の生活を」という言いかえがなされている。

同じく、資本論には次のような用例がある。

《われわれがその単純で抽象的な諸要素において叙述してきたような労働過程は、諸使用価値を生産するための合目的的活動であり、人間の欲求を満たす自然的なものの取得であり、人間と自然とのあいだにおける物質代謝の一般的な条件であり、人間生活の永遠の自然的条件であり、したがってこの生活のどんな形態からも独立しており、むしろ人間生活のすべての社会形態に等しく共通なものである》(同上、S.198)。

やはりここでも、労働は「使用価値の生産」、「自然的なもの取得」と規定された上で、「人間と自然とのあいだにおける物質代謝の一般的な条件」、「人間生活の永遠の自然的条件」であるとされている。この文脈においても「人間と自然とのあいだにおける物質代謝」と「人間生活」は、ほぼ置き換え可能なものであるように見える。
これとほぼ同一趣旨の文言は、資本論に先立つ「61―63草稿」においても確認できる。
《使用価値を創造するかぎりでの、人間の欲望――これらの欲望が生産の欲望であろうと個人的消費の欲望であろうと――のための自然的なものの取得〔同化〕であるかぎりでの、実在的な労働は、自然と人間とのあいだの素材変換〔新陳代謝〕の一般的条件であり、またこのような人間生活の自然的条件としては、人間生活の規定された社会形態の全てから独立しており、それら全てに等しく共通したものである》(「61―63草稿」S.56、『資本論草稿集 第4分冊』大月書店、1978年)

まず、「実在的な労働」が「使用価値の創造」すなわち「人間の欲望のための」「自然的なものの取得」と同定されている。次にこの「実在的な労働」が「自然と人間とのあいだの素材変換〔新陳代謝〕」(=物質代謝)「の一般的条件」であるとされている。また、この物質代謝の一般的条件は、「人間生活の自然的条件」とも言い換えられている。資本論からの引用と同様、自然と人間とのあいだの物質代謝と「人間生活」がほぼ同義のものとされているのである。

これらの用例においては、労働は、自然的なものに人間の欲求に対応した形態を与えることとされ、これが自然的なものの取得とされている。しかし、それ自体は、マルクスがここで言う「自然と人間とのあいだの素材変換」(自然と人間とのあいだの物質代謝)と直接的に同一のものではなく、この物質代謝の条件、あるいはこの物質代謝を媒介するものとされている。

すなわち労働とは,人間が,自分と自然とのあいだの物質代謝を自分の行為によって媒介・規制・制御する過程である。この過程で人間は,自然の一部を素材・対象として,それ自体自然(物質的)存在である自分の身体を用いて働きかけを行う。その結果,対象としての自然と人間の身体という自然の両方に変化が生じる。人間以外の生物もこれとよく似た活動をしばしば行うが,人間の場合は,この過程が多かれ少なかれ,意識的・計画的に制御されている点に特徴があるのである。





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