ここから本文です
自虐史観の葬送のために!守るべきは社稷であって国家ではない!

書庫全体表示

《追加投資を行うために利潤を追求し(追加投資のための利潤)、利潤追求を基準に追加投資の意志決定を行う(利潤のための追加投資)のであるから、企業の利潤獲得と追加投資とはお互いを目的とするひとつの循環運動となっている。この循環運動が広義の資本蓄積である。通常、利潤獲得が自己目的化していると言われるのはこのような状態を指すのであるが、それは資本蓄積(追加投資)が自己目的化していると表現してもかまわないのであり、利潤を得て運動が終わるわけではないという点が重要である。》[1]


《個人消費と民間粗投資の2つの需要項目は、企業の生産資本投資(設備投資と雇用拡大)に最も強く規制されて増加している。》《企業の生産資本投資は生産能力の増強と中核的需要の生成という2つの役割を同に果たすが、この両者は必ずしも一致せず、戦後アメリカ経済について言えば、1966年以降、(循環的変動を含みつつ)過剰な生産能力が堆積していくトレンドが貫かれている。》[2]

 

《現在の日本が直面している政策課題として、長期的な経済成長率を高めるための成長戦略をいかに立てるかという問題がある。政府は 2013 年6月に「日本再興戦略」を策定したが、その中で生産性の向上策と並んで投資減税を通じた設備投資の促進が提案されている。近年の日本の経済成長率の低迷の原因の1つに「過小投資」を挙げているが、低下傾向にある貯蓄率・投資は過去の過剰投資の調整過程であるとも考えられ、その中で投資減税という補助金的性質をもつ支出を行うことには、中国が陥っているような「過剰投資の罠」のリスクがある。》[3]

 

《一般に、資本主義経済はすばらしいものだと礼賛し、財界の立場に立つことの多い経済学者(主流派とか、保守派とか、新自由主義者と呼ばれる人々)は、経済は常に完全雇用状態であると信じ(それはまさに宗教的な市場信仰と言っても過言ではありません)、需要側の低迷は無視して、供給側の成長力を高めることを提唱します》《総供給より総需要が少なくなった場合には、デフレや失業といった問題が起こります。そこで、雇用を拡大させて失業をなくすためには、この総需要を拡大しなければなりません。これは、経済成長には違いないのですが、「天井」の成長である生産能力の成長とは違います。これは「天井」の「経済成長」とはっきり区別するために「景気回復」と呼ぶべきでしょう》[4]


 一国総体の GDPが増えても生活水準が上がるとは限らない。では、GDPが減った場合はどうか、人口などの他の条件が変わらないままGDPが減少すれば、当然生活水準は下がる。逆にマイナス成長でもより急速に人口減少が進めば、生活水準が向上する余地は残る。一人当たりGDPが増えるからである。しかし、それが現実に人びとの生活を豊かにするかどうかは、このGDP額に示された価値量がどのように使われるかに依存する。その大半が貯蓄=投資に回るなら過剰生産能力の堆積や投機マネーの洪水を引き起こすだけだろう。GDPが増えても減っても、重要なのは、生産能力の過剰を抱え投機や海外投資へ向かわざるを得ない企業や、可処分所得に余裕があって追加的な所得があれば預貯金や投機に回す可能性が高い層へではなく、必需的消費のための収入を切実に必要としている層にカネを回すことである。しかし、そのためには、パイが小さくなるよりは、大きくなってくれた方が、ことは進めやすい。パイが小さくなっていく場合には、救済は、救済対象以外の層の既得権を一部削ることによって行うほかなく、これは当然を反発呼ぶからである。

 過剰投資や過剰蓄積からの離脱を、できるだけ長期の、可能であれば永久的な離脱を「脱成長」と規定するなら、その実現は生活の切り下げを必然的に伴うものではない。むしろ、この意味での「脱成長」は、生活向上の条件であるとさえいえる。その際、GDPは、総体としても一人当たりとしても増える可能性もあれば減る可能性もある。ただし、一人当たりGDPが減る状況下では、今述べた意味での「脱成長」も実現の可能性が著しく低下するだろう。


[1] 平野健「過剰資本と現代のアメリカ経済」中央大学経済研究所 DiscussionPaper No.26320162月。

[2] 同上。

[3]蓮見亮「投資、資本と経済成長」『経済のプリズム』No12420142月。

[4] 松尾 匡、朴勝俊、森永卓郎「民進党が勝利する経済政策のために」(エコノミック・ポリシーレポート)






莽崛起(The Rising Multitude )

この記事に

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
  • 名前
  • パスワード
  • ブログ

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事