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自虐史観の葬送のために!守るべきは社稷であって国家ではない!

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今日の資本主義の特質

 少し前のことになるのであるが、9月26日に、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年2〜2.25%にすることを決定した。それと同時に、2020年に利上げを打ち止めにする可能性をも示唆した。このばあいには、金利は3.25〜3.5%という程度にとどまることになる。
 これは、従来の金利の引き上げと比するならば、きわめて低い水準である。このことは何を意味するか。
 国家独占資本主義という形態をとる現代帝国主義経済は、その国の政府が基本的には金融緩和政策をとりつづける以外にない、という状況においこまれている、ということを、それは意味するのである。
 このことは、次のことにもとづく。すなわち、リーマン・ショックというかたちであらわれた金融危機=経済危機をのりきるために、アメリカの政府および金融当局は、金融緩和政策をとり、膨大な資金を市場に投じたのであったが、この資金は金融的利益をもとめる者たちによって投機的に運用され、鉄鋼業などの製造業の直接的生産過程の技術化および横への拡大としては実現されなかった、ということを、それは根拠としているのである。
 そして右のことは、賃金も物価も上がらず、株価だけが上昇するという、金融的資産の仮装的な蓄積として、すなわち金融的バブルの膨張としてあらわれたのである。このバブルがそのまま維持されており、そのまま維持するための政策を政府および金融当局がとっている、というのが今日の資本主義の特質なのである。
 このことはまた同時に、金融的資産・金融業の膨張と結びついた情報通信産業の発展と肥大化に規定されている。この産業は、株式を売買したり・あやしげな証券を発行して売りさばいたりするというような金融業そのものとは異なる。それは、情報そのものを、そしてその情報の通信を、商品として売買する産業なのである。いまやアメリカでは、GAFAすなわちグーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンの4社、これにマイクロソフトを加えた5社が、株式の時価総額のトップ5を占めているのである。そしてこの産業部門は、その拡大に比してあまり労働力を吸収しないのである。
 さらに、この情報通信技術の発展およびこの産業の肥大化に規定されて、直接的生産過程および事務部門、そして流通部門もまた変貌してきた。これらの諸部門のなかでIT技術を駆使しうる諸作業にかんしてはこれをどしどし導入して労働力を削減し、残った労働者たちには労働強度の強化を強要する、という行動を独占資本家たちはとってきたのである。それと同時に、彼らは、IT技術を導入することのできない・あるいはそれにふさわしくない・種々の付随的な諸作業やさまざまなサービス業においては、移民やその他のマイノリティの労働者たちを低賃金で酷使してきたのである。
 これらのことに規定されて、賃金はあまり上がらず、物価もゆるやかな上昇にとどまっていたのである。
 私は、かの原油価格の暴落を、これは原油バブルの崩壊すなわちシェールオイル・バブルの破裂であり、――アメリカ金融当局が利上げに転じることと相まって、――金融的バブル全体の崩壊=金融危機の出発点をなす、と捉えたのであったが、これは誤りであった。事態はそのようには推移しなかった。この誤りは、原油価格の暴落を、リーマン・ショックの前提をなすサブプライム住宅ローン・バブルの崩壊との類推において、私が捉えたことにもとづく。リーマン・ショックというかたちであらわれた金融危機=経済危機をのりきるためのアメリカ政府および金融当局の金融緩和政策の実施と超低金利の状態の持続そのもの――日本やEU諸国でも同様にあらわれたそれ――、これらのもつ意味の把握が浅いものであった、と私は反省する。これらの新たな事態を分析する分析力を私はもちえなかったのである。
 かの原油価格の暴落は、原油バブルの崩壊したがってまたシェールオイル・バブルの破裂として、金融部門の一分野のバブルの破裂、および、シェールガスオイル諸企業の倒産という一産業分野の活況の逆転、という事態の生起にとどまったのである。原油価格の暴落は、金融部門全体からするならば、その一分野の空気が抜けたものとして、ガス抜きという意味をもった、と私は今日では考えるのである。
 このようなこととなった諸条件は、アメリカの金融当局がゆるやかなかたちで利上げを実施したのであり、低金利の状態は持続されたことにある、といえるであろう。
 トランプ政権が、自国に追い迫る中国に貿易戦争を挑み、「製造強国」をめざす習近平の中国がこれに報復した、という今日このときに、FRBが、金利をそれほどには上げないうちに利上げを打ち止めにするという展望をうちだした、ということは、それ独自の意味をもつ、といわなければならない。この貿易戦争を要因として貿易および経済の収縮(と言っても経済成長の鈍化という程度のことであるが)がもたらされることにたいして、低金利状態の持続という・そののりきりの条件を、金融当局がトランプその人に与えた、という意味をそれはもつのである。

転載元転載元: 北井信弘のブログ

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