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kenplatzより 1965年に完成したオフィスビルを耐震改修した。
JR山手線の神田駅前に建ち、電車からも見える。外観を全面ガラス張りに一新した姿は、 多くの人が新築と見間違うほどだ。 耐震改修の場合、耐震性能だけを高める場合と、 内外装や設備を含めてリニューアルするケースに分かれる。 オーナーである上野産業が最終的に選択したのは、後者だった。 当初、建設会社が提案していたのは、内部に鉄骨の柱などを増設して耐震性能を高める案だった。 コストは1m²当たり約3万円。 「見た目や使い勝手の面ではむしろマイナス」と判断した上野産業は、 設備の更新などを依頼していた環境エンジニアリングの和田隆文代表に相談した。 「耐震性能を高めるだけでなく、多少のコストはかけてでも、テナントビルとしての価値を高めたい。 補強してあることが外からも見えるようにもしたい」。 このオーナーの意向に対して和田氏が設計者として紹介したのが、みかんぐみだった。 「耐震改修では、コストを抑えるため、必要最低限の補強にとどめることが多い。 これに対してコストをかけてでも付加価値を高めたいというのは珍しいケース。 そのモデルにしたいと考えた」(みかんぐみ)。 SRC造、地下2階・地上9階建ての上野ビルは、道路に面した西側と北側がカーテンウオール、 東と南側は大半がRCの外壁だった。 「2面の顔を持ったビル。2方向とも耐力壁の配置が偏っていて、明らかに外壁の耐力が不足していた」と 構造設計を担当した金箱構造設計事務所の金箱温春氏は振り返る。 ■既存技術の組み合わせで対応 2面のデザインを一新して、いかに耐震性を高めるか。 「耐震ファサードの追求がテーマだった」(みかんぐみ)。 ブレースやパネルを用いたり、ファサードをメッシュ状にしたりするなど多くのプランを作成。 コスト比較などを含めて検討し、3案に絞ってオーナーに提案した。 採用になったのは、西と北面の外壁に新たにブレース付きの鉄骨フレームを取り付け、 ガラスカーテンウオールで覆う案だった。 Low-Eペアガラスのファサードを通してブレースが透けて見える。 夜はブレースをLEDでライトアップするといった“見せる”工夫もした。 構造面では、ブレースの効果を最大限に発揮させるため、鉄骨の柱を地下まで入れて、 既存の地下躯体と一体化した。さらに、 ブレースだけでは短辺方向の耐力が不足するため、エントランスホールを鉄骨で補強した。 これもオーナーの「見せる補強」の要望と合致した。柱には炭素繊維を巻いて、粘り強さを増した。 外観のイメージを一新して、補強したことが見えるようにする。床面積を減らさない。 銀行などのテナントは営業したままで施工する─。 「これらのテーマに対して既存の技術で対応した。組み合わせ次第で、 既存の技術に様々な可能性があることを示した例だ」(金箱氏)。 今回は意匠、構造、設備の各設計者が個別に発注者と契約した。 「各人が責任ある立場で対応すべきと考えて個別契約を提案した」(和田氏)。 コストは和田氏、設計全体のマネジメントはみかんぐみが担当した。 耐震補強という性能的な条件もしっかり満たした上で、 コストをかけてでもテナントビルとしての性能を満たしたい。 その、先を見据えたオーナーの計画が功を奏した計画だ。 カーテンウォールから透けてみえるブレースは「魅せる」ファサードにおいて重要な役割を果たしており 耐震補強をされているという「安心」のデザインにもなっている。 一つ一つの建物がこのように考えてつくられていけば
日本の建築も、都市も良くなっていると思う。 |
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2007年10月06日
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