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「白夜行」 |
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「陰翳礼賛」 谷崎潤一郎 (中公文庫 1975年) 日本建築の、日本文化の趣を 独自の感性で豊かに描いた作品。 何かと例に挙げられることが多い。 御存知の方も多いだろう。 苛々している時、悩んでいる時など この本を読むと、 日本人として、原点に立ち戻って考えることができ 心が洗われる気がする。 「日本の厠は実に精神が安まるように出来ている。
それらは必ず母屋から離れて、 青葉の匂や苔の匂のして来るような植え込みの蔭に設けてあり、 廊下を伝わって行くのであるが、そのうすぐらい光線の中にうずくまって、 ほんのり明るい障子の反射を受けながら瞑想に浸り、 または、窓外の庭のけしきを眺める気持は、何とも云えない。 (中略) 或る程度の薄暗さと、徹底的に清潔であることと、 蚊の唸りさえ耳につくような静かさとが、必須条件なのである。」 「漆器の椀のいいことは、まず、その蓋を取って、口に持っていくまでの間、
暗い奥深い底の方に、容器の色と殆ど違わない液体が音もなく 澱んでいるのを眺めた瞬間の気持ちである。 人は、その椀の中の闇に何があるかを見分けることは出来ないが、 汁がゆるやかに動揺するのを手の上に感じ、椀の縁がほんのり汗を掻いているので、 そこから湯気が立ち昇りつつあることを知り、 その湯気が運ぶ匂に依って口に啣む前にぼんやり味わいを覚える」 「われわれが住居を営むにには、何よりも屋根と云う傘を拡げて大地に一廓の日かげを落し、
その薄暗い陰影の中に家造りをする。 (中略)日本の屋根を傘とすれば、西洋のそれは帽子でしかない。 (中略)暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、 やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。」 様々な国に影響された発達した文化の中で暮らしていても、 この本に描かれていることが少しでも感じ取れることができたら、 根本にある「日本の心」がまだ生きているのかなと思う。 そして、それは、時代と共に様々な形に変わっていくかもしれないが、
日本の素晴らしい「陰翳」を、建築や、文化や、生活に、継承していけたらと願う。 |
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生まれて初めて読んだ三島由紀夫の作品。自分の生涯をあの衝撃的な事件で終わらせてしまった作家。 |



