歴史を学べ、学ばなければ亡びる!

過去を知らなければ、未来は創造出来ない!

ポエトリー

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      伊藤 整 「良い朝」
 
今朝ぼくは快い眠りからの目覚めに
雨あがりの野道を歩いて来て
なぜかその透き通る緑に触れ その匂いに胸ふくらまし
目にいっぱい涙をためて
いろんな人たちの事を思った。
私の知って来た数かずの姿
記憶の表にふれたすべての心を
ひとつひとつ祝福したい微笑みで思い浮かべ
人ほど良いものは無いのだと思い
やっぱりこの世は良いところだと思って
すももの匂いに
風邪気味の鼻をつまらし
この緑ののびる朝の目覚めの善良さを
いつまでも無くすまいと考えていた。
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        伊藤 整 「丘の乙女」
 
朝は東から明ける
赤松の林の中は草のみどりの深いすじ
頬あかく高い乙女は 思いをあまして
唄はない日とてはなかった。
声はふるえて 青い林に霧となり
草を分け歩き
若い身と思いはなやましく胸を張る
あゝ丈高い
ネルを来た すなおな身の乙女よ。
朝東の海から日がのぼれば
何事もない目下の街が人を織り
工場は白い煙をはくけれども
この丘から見れば
ただ絵のよう 過去のよう。
幾日も虫たちはそこの美しい土から生まれ
小鳥たちは枝をかえた。
でも此処でその乙女が
どんなに見知らぬ幸福を待ち焦がれているかは
ある日坂を下る私の帽子がそっとうなずいた外には
誰も知っていない様だった。
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         伊藤 整 「月光」
 
蒼白い月光に照らし出されたものは、
家並みの明るさをさまよう犬と
怪しいペルシャ模様を投げる草と
夜の猛獣となる森と
光にすいた髪の毛と
こいびとよ お前の真白い足袋のつま先。
夜の気の冷たさの中に
どんなにキスする唇もひえびえとしたことか。
キスするときの私は
月光にさらされた色んなものの姿におびえる。
夜の黒いもの蔭に浮いて
きらりと涙ぐんだ二つの瞳。
それが私に追いすがった。
しきりに照りかげる草道を戻って来たのは
なぜか泣きたい思い出いっぱいな
其の夜の私の白い姿である。
 
 
 
 
                                写真は吉里吉里の月宵
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    伊藤 整 「池のほとり」
 
虫の鳴いている黄色い草を分けてゆくと
此処には
涸れた池をめぐって
私のほかに誰も喜びを持たない
まずしい木立がある。
その黒い幹に手を触れて いま
この身の静かなのは
思いの もっとも豊かな時なのだ
私は実に
彼女のことを 数知れず考えては
微笑んだが
何よりも光に満ちているのは
愛して
愛でいっぱいになっている私自身であった。
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      伊藤 整 「悪夢」
 
故郷の海だ 雨が降っていて 濁っていて 泡だって
なんという わびしい海のいろだったか。
そこに おまえが死んで浮いていたのだ
あゝ それはお前に異いない
夢にも忘れなかった 昔どおりのお前だった。
髪は水にとかれて 藻のように散り
おまえの蒼白い身体の上を
濁った波が次々に砕けていった。
あゝ誰も居ない海の上で
私は寂しく 恐ろしく どんなにこれを信ずるまいとしたか。
けれども私も灰色の大きな鴎だったので
寒いしぶきをあびて
いつまでもお前の上に輪をかいていた。
あゝ 彼女は死んだのだ 彼女は死んだのだ。
いくら嘆いて 泣いても
私は言葉が出ないので
こんなに恐ろしい お前と私の果てを
誰もひとりも気付いてくれない。
私は悲しく閉ざされたおまえの睫毛を覗込みながら
いつまでも羽をひろげて
つめたい雨風に叩かれていた。
こんなことになった二人の過ちの結果を
今さらどうして宜しいかも知らず
私はさめざめとお前の上で泣いていた。

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