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春とか秋とかいう季節が昔はあったような…・

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新しい書庫

ビデオルームをはじめました。

実は第一回目を書いて添削している途中で、急用が出来てパソコンを離れました。
その結果まだ途中段階なのに公開されてしまい、しかも夜になるまでさわることが出来なかったのです。

でもまあいいか、繕わずにそのままのほうが良く伝わるということもあるし。
これは毎回ビデオを見直しながら書くつもりなので、そんなに頻繁に更新できませんが、気長にお付き合いください。

灰とダイヤモンド

灰とダイヤモンド

1958年ポーランド
監督 アンジェイ・ワイダ
主演 マチェック・・・・ズビグニェフ・チブルスキー
   クリスチーナ・・・エヴァ・クルジジェフスカ

まずこの映画を最初に取り上げたのは、やはり最も心に残った作品であると自信を持って言えるからです。
初めて見たポーランド映画でもあります。
ヒトラーによって世界地図から消されかけた国です。

第二次大戦の末期、ポーランドを占領していたナチスドイツはソ連赤軍の攻撃に敗走し、赤軍の勢力が首都ワルシャワに近づいたとき武装蜂起が起こりました。

ポーランド兵と、老人、女性、少年をも含む一般市民が、武器を持ってドイツ軍に抵抗し始めたのです。
ところが武装蜂起が伝えられたとたんにソ連赤軍の進軍が止まり、ドイツ軍は引いた潮が津波となって押し寄せるようにワルシャワへの攻撃を開始しました。
このときソ連軍はこれを支援するどころか、後方から支援しようとしたイギリス軍をも妨害しました。

そして20万人を超えるとも言われるポーランド人虐殺が行われ、ワルシャワが廃墟となったとき初めて、ソ連軍はワルシャワへの進攻を再開しました。
完全な勝利を収めたソ連軍はポーランドに駐留し、ポーランドはソ連の傀儡政府が治める社会主義国家となりました。

ポーランドはそれまでイギリス寄りの国だったのです。
かつてドイツ軍に対して執拗な抵抗を続けた親英派地下組織の矛先は、こんなことから親ソ政府要人に向けられることになりました。

そんな背景の元に描かれたこの映画は、親ソ派の政府要人シチュカ暗殺を目的とするテロリスト、マチェックがその若い命を散らすまで、午後から翌朝までの十数時間の物語です。

この映画は町外れの無人の教会から始まります。

午後のおだやかな日を浴びて教会前の草地に寝転ぶ二人の男、年かさのアンドルジェイと、若いマチェックです。
そこへ小さな女の子が教会に供える花を持って登場します。

のどかにも見えたその場の空気は、一台の車の接近で突然あわただしく変化していきます。

男たちは少女を追いやると車に向かって軽機関銃を構えます。
最初の銃撃で車に乗った男たちの一人は息絶え、車から飛び降りたもう一人は教会へ逃げ込もうと扉をたたきますが、マチェックに至近距離から銃弾を打ち込まれ、教会の中へ倒れこみます。

この展開は刺激的でした。
のんびりした日向ぼっこから、いきなり襲われた車の暴走、そして銃弾を打ち込まれた背中がはじけてボッと火がつく迫力は、それまで見たことのないものでした。

結局その攻撃は情報の誤りから起きた人違いでした。
二人は地下組織の上官によって、再びシチュカを襲うことを命じられ、マチェックはホテルに部屋を取ります。

そのホテルのバーで働くクリスチ−ナにマチェックは冗談半分で誘いをかけ、思いがけなく数時間を共に過ごすことになるのです。
クリスチーナの心に触れてマチェックは暗殺を迷い、アンドルジェイと口論になります。

しかし結局は夜半に任務を果たし、クリスチーナに別れを告げて夜明けの町へ出て行きます。
ホテルでは夜を徹して終戦記念パーティーが行われていました。

クライマックスは最後の数分間で、マチェックとクリスチーナそれぞれを交互に見せています。

マチェックはほんのちょっとした不注意から保安兵にぶつかって銃を持っているのを見られ、走って逃げるところを撃たれてしまいます。
転がるように塀の中に逃げ込み、広場いっぱいに干してあるシーツの陰に隠れます。
保安兵が探しに来ますが見つからずに行ってしまいます。
シーツの陰から手が出て、そっと押さえると血がにじんで広がります。

シーツから顔を出したマチェックが、手についた血のにおいを嗅いで顔をしかめるところはちょっと気が抜けて笑ってしまいましたが。

バーで呆然と立ちつづけるクリスチーナ。
最後のダンスにクリスチーナは誘われ、放心状態で輪の中に入ります。

マチェックは息を切らし廃墟の中をよろめきながら走り続けます。

クリスチーナは手を引かれて遠くを見つめながらゆっくりと行進しています。
その顔には笑みが浮かび、同時に涙が頬を伝い落ちます。

マチェックは広大な、見渡す限りごみを敷き詰めたような中で力尽きて倒れます。
身体を丸めて弱々しい泣き声を上げ、獣のように痙攣してやがてその動きが止まります。

高校生のころ最初に見た神戸の映画館では、その強烈なラストシーンに劇場内に灯りがつけられても多くの人が動こうとはせず、私もまた立つことができませんでした。
その後大学生のころ、池袋の安い映画館で20回以上見た覚えがあります。

原題どおりの「灰とダイヤモンド」は劇中、町の教会の墓碑銘に刻まれた、チプリアン・カミユ・ノルヴィッドの詩を引用したものです。

なんじの身、たいまつのごとく燃え盛り
その身より、火花の飛び散るとき
なんじ、自由の身となるを知らずや
持てるものは、失わるべき運命にあり
残るは、ただ灰と混迷
落ちゆく深淵の、灰の底深く
残るは、燦然たるダイヤモンド
永遠なる勝利の暁に

主演のズビグニェフ・チブルスキーは、舞台出身のせいか表情や動作は必要以上に大きいのですが、孤独で感じやすい若者をよく演じていました。
この映画を撮った9年後に列車事故で40歳の生涯を閉じています。
映画の出演作は7本でした。

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