a2cのらくがき部屋

ショウコリモナクカキツヅケルノダ!!

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第12話 野獣の心

ツギハギ猫は眠りについてしまった。
細い眼はいっそう細く。
夜はどんどん深くなっていった。
変な鳥は時々虫の声に反応するように
『ギョッチ・ギョッチ・・』
と鳴いた。

「君が眠ろうとも僕は話を続けなければならない。
 これは君との契りだから。」

変な鳥はツギハギ猫をしばし眺めて
また話を始めた。


「遠い遠い森の奥。人里離れた深い森に野獣は住んでいた。
 野獣はとても醜くそしてとても悲しい眼をしていた。
 人間とは残酷な生き物だ。
 彼はその醜さ故に人々に忌み嫌われ森の奥に追放されたのだ。」 
 


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「彼は一つだけ似つかわしくない物を持っていた。
 胸からぶら下げた銀のスプーンだ。
 それがいつからそこにあるのか、彼自身も知らない。
 
 ある日いつものように醜く、いつものように悲しい顔で
 泉のほとりを散歩していた。
 そこは鬱蒼と木々が生い茂った深い森の中で
 唯一光のあたる場所だった。
 
 彼はふと空を見上げた。
 
 空には何も無かったのだが
 彼の中に空虚な感覚が訪れた。 
 彼は泉の水面を見下ろした。
 相変わらず醜く悲しい顔がそこに映し出されていた。
 来る日も来る日も水面を見つめて
 絶望と落胆そしてため息で一日を終えるのが彼の日課であった。

 だけど、このときばかりはいつもと違った。
 何も感じないのだ。

 彼は心を落としてしまったのだ。

 しばらく泉に映った自分の顔を静かに眺めていた。
 空気は息詰まることも無く
 ただただ静かであった。

 すると水面が揺れ始め一匹の魚が現れた。」


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「魚は野獣に訪ねた

  『君が落としたのはこの銀のスプーンかい?』

 そう言って銀のスプーンを空へ投げた。
 野獣は胸元に手を持っていって胸をさすった。
 宙を舞うその美しい光は紛れもなく野獣のスプーンだった。

 眩い光を覆って煌びやかに宙を舞い
 やがてまた泉に引き寄せられる。

 『いや。違うな。オレの心はもっと寂れて醜いものだ。』

 野獣は心無い表情で答えた。

 『そうか。』

 魚がそう言ったと同時にスプーンは短い音をたてて水面下へと消えた。
 魚も一瞬野獣の方を見て泉の底へと潜っていった。」

「自分の心が美しいことを知らなかったのか。」
ツギハギ猫は眼を開き宙を見つめたまま呟いた。

「次の話をはじめます。」

「それともあえてその道を選んだのか。
 悲しいものだ。」

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