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虫の声に紛れて乾いた音がした。 ツギハギ猫が腹を押さえながら顔ヒゲの手入れをしている。 変な鳥は夜風に羽毛をはためかせながら無表情でこう言った。 「また魚の話をしよう。」 「我慢の限界は刻一刻と迫ってきている。精神状態によって加速することもあり得るぞ。」 ツギハギ猫が静かに言う。 「魚の群れは不意にやってくる。」 変な鳥は躊躇せずに始めた。 ツギハギ猫はちらりと鳥の方を見たけれど何も言わなかった。 「その日も国道は大渋滞。ハイウェイは遙か遠く地平線を走っていた。 エンジン音は輻輳して地響きのように空へ向かう。 最後尾の憂鬱は後ろの景色を幻想に変えているようだった。」 「トイレが気になる。考えるほどに止まらない時間。そして、止まった空気・・だな。」 「ブレーキペダルを踏む足首が鈍く軋みはじめたころ。遠い交差点辺りから 車の動きが波のように始まった。」 「その波がとにかく僕の所へ届きますように。愚かな人間はただただそれを祈るだけだ。」 「順番にアクセルを噴かしてゆっくり加速し始める乗り物たち。 自分の所まであと何メートルかカウントダウンして待つ。」 「動いては止まる小さな波か、一気に流れる大海嘯か ・・運命は過ぎ去ってから決まるものだ。」 「やがて波に触れて磯へと泳ぎ出した最後尾。 あの交差点を一気に駆け抜けたい。 外灯もネオンも線を描いて通り過ぎてゆく。 順調な滑り出し。 ついに交差点に差し掛かる。」 「運命の日記が書き込まれる瞬間だ。」 「交差点を魚の群れが通り過ぎた。」 「予想できない運命。故に生きたいと思う。」 「次の話をはじめます。」 「流れ星を見た時。君だったら何を祈るんだい?」
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2007年07月09日
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