a2cのらくがき部屋

ショウコリモナクカキツヅケルノダ!!

とりとめのない話

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第15話 演芸場

遠くの方で列車の音が聞こえる。
相変わらず静かで月夜が美しい森の中。
池のほとりにカメレオンのような派手な色合いの鶏冠をした
グルグル目玉の変な鳥と
体にツギハギのあるパンツを履いたネコがいる。

「演芸場の話をしよう。」
変な鳥はそう言ってプルッと首をひねった。

「リトルマーメーメイド。なんて演目は勘弁してくれよ。
 見ているだけの魚なんて拷問みたいなもんだ。」
ツギハギネコの白いひげが言葉に合わせて揺れた。

「いつもは目に付かない街の小さな演芸場がふと目に留まった。
 ずっと以前から決まっていたかのように演芸場に吸い寄せられた。」

「入り口にバニーガールでも見えたのか?」

「席に着くとやがて開演のブザーがなり
 暗闇に薄っすらと赤い光が灯された。
 海の音と枕木が軋む音が聞こえる。」

「陰鬱なオープニングだ。」

「やがて一筋のスポットライトが落ち
 光はどんどん強くなる。
 それにあわせて列車は加速し枕木の軋みは鼓動に変わる。」

「動悸息切れにご用心。」

「照明の眩しさに目を細めていると
 大きな影がスクリーンに浮かぶ。
 赤子の鳴き声が響き渡り、影は二人の男女となった。」

「なるほど。誕生か。男の方はお父さんと見せかけて医者なんだろ?」

「くるくると色鮮やかな照明が回り
 遊園地の音やセミの声、運動会の音
 めまぐるしくステージを駆け回る影たち。
 子供の笑い声。大人の笑い声。」

「演劇ってどうしてもっとわかり易くしないのかねぇ。
 どうせならレ・ミゼラルブをやれよ。ジャンバラジャンジャンをさ。」

「やがて静かになり優しい照明となる。
 穏やかにフェードインするムード音楽。
 一人の女性の影が手を振った。
 また映像がめまぐるしく移り変わる。
 電車、信号、顔、顔、顔」

「誰だっけあれ。懐かしいなぁ。」

「光と音がしずかに消え
 雨の音が聞こえる。
 次第に雨脚は強くなり
 不意に照明がこちらを照らす。
 雷鳴が轟く。」

「うわっと。へそを押さえろっ!あれ!?俺へそが無い・・。」

「照明は消え、あたりは暗闇と静けさだけ。
 終演を迎えたようだ。
 演目は・・」

「走馬灯だろ?」

「次の話をはじめます。」

「遣り残したことがある。新しいパンツを買わなきゃ。」


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第14話 手の顔

変な鳥はトサカが大きく伸びて雲を越えていた。

ツギハギ猫はツギハギだらけになって、

ほとんど猫の部分を失っていた。

時空が歪んで次元が混線しているのだ。


「実はこんなことは頻繁に起きている。

 けれど記憶や認識も同じように歪み

 同じように正常に戻ってしまう。

 それゆえ誰もそのことを知り得ないのだ。」

「♂%@☆◎◆※」

ツギハギ猫は何を言っているのか判らなかった。


「ある女は、自分以外誰もいない列車の中で

 突然激烈な恋に落ちてしまい、

 その対象がいないことにとまどっていた。

 ある老婆は、曲がった腰を伸ばしてみると

 エッフェル塔の高さを越えてしまった。

 それどころか非常に空気が薄い層にまで到達してしまい

 もはや絶命の危機に直面していた。

 ある男は、壁にもたれてそっと手のひらを覗いてみた。

 なぜか手のひらに顔があると思いこんでいた。

 しかし、そこには顔が無かったので驚愕した。」

「♂%@☆◎◆※」


イメージ 1



「これらは時空に歪みが生じたときにおこる

 とてもよくある話の類だ。」

「♂%@☆◎◆※」

「そして歪みは潮が引くようにすぅっと元にもどる。」

「・・・」

「女は恋に落ちていない、老婆の腰も伸びることはない。

 もちろん男は手のひらに無いはずの顔があるのを見て驚愕している。

 すべては元通りだ。」

「ツギハギだらけになって、ツギハギというツギハギから

 猫じゃらしが一斉に生えてくる夢を見たよ。」

猫はツギハギだらけで

ツギハギというツギハギから猫じゃらしを生やしていた。

「次の話をはじめます。」

「怖い夢だった。」
虫の声に紛れて乾いた音がした。
ツギハギ猫が腹を押さえながら顔ヒゲの手入れをしている。

変な鳥は夜風に羽毛をはためかせながら無表情でこう言った。

「また魚の話をしよう。」

「我慢の限界は刻一刻と迫ってきている。精神状態によって加速することもあり得るぞ。」
ツギハギ猫が静かに言う。

「魚の群れは不意にやってくる。」
変な鳥は躊躇せずに始めた。

ツギハギ猫はちらりと鳥の方を見たけれど何も言わなかった。



「その日も国道は大渋滞。ハイウェイは遙か遠く地平線を走っていた。
 エンジン音は輻輳して地響きのように空へ向かう。
 最後尾の憂鬱は後ろの景色を幻想に変えているようだった。」

「トイレが気になる。考えるほどに止まらない時間。そして、止まった空気・・だな。」

「ブレーキペダルを踏む足首が鈍く軋みはじめたころ。遠い交差点辺りから
 車の動きが波のように始まった。」

「その波がとにかく僕の所へ届きますように。愚かな人間はただただそれを祈るだけだ。」

「順番にアクセルを噴かしてゆっくり加速し始める乗り物たち。
 自分の所まであと何メートルかカウントダウンして待つ。」

「動いては止まる小さな波か、一気に流れる大海嘯か
 ・・運命は過ぎ去ってから決まるものだ。」

「やがて波に触れて磯へと泳ぎ出した最後尾。
 あの交差点を一気に駆け抜けたい。
 外灯もネオンも線を描いて通り過ぎてゆく。
 順調な滑り出し。
 ついに交差点に差し掛かる。」

「運命の日記が書き込まれる瞬間だ。」



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「交差点を魚の群れが通り過ぎた。」



「予想できない運命。故に生きたいと思う。」

「次の話をはじめます。」

「流れ星を見た時。君だったら何を祈るんだい?」

第12話 野獣の心

ツギハギ猫は眠りについてしまった。
細い眼はいっそう細く。
夜はどんどん深くなっていった。
変な鳥は時々虫の声に反応するように
『ギョッチ・ギョッチ・・』
と鳴いた。

「君が眠ろうとも僕は話を続けなければならない。
 これは君との契りだから。」

変な鳥はツギハギ猫をしばし眺めて
また話を始めた。


「遠い遠い森の奥。人里離れた深い森に野獣は住んでいた。
 野獣はとても醜くそしてとても悲しい眼をしていた。
 人間とは残酷な生き物だ。
 彼はその醜さ故に人々に忌み嫌われ森の奥に追放されたのだ。」 
 


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「彼は一つだけ似つかわしくない物を持っていた。
 胸からぶら下げた銀のスプーンだ。
 それがいつからそこにあるのか、彼自身も知らない。
 
 ある日いつものように醜く、いつものように悲しい顔で
 泉のほとりを散歩していた。
 そこは鬱蒼と木々が生い茂った深い森の中で
 唯一光のあたる場所だった。
 
 彼はふと空を見上げた。
 
 空には何も無かったのだが
 彼の中に空虚な感覚が訪れた。 
 彼は泉の水面を見下ろした。
 相変わらず醜く悲しい顔がそこに映し出されていた。
 来る日も来る日も水面を見つめて
 絶望と落胆そしてため息で一日を終えるのが彼の日課であった。

 だけど、このときばかりはいつもと違った。
 何も感じないのだ。

 彼は心を落としてしまったのだ。

 しばらく泉に映った自分の顔を静かに眺めていた。
 空気は息詰まることも無く
 ただただ静かであった。

 すると水面が揺れ始め一匹の魚が現れた。」


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「魚は野獣に訪ねた

  『君が落としたのはこの銀のスプーンかい?』

 そう言って銀のスプーンを空へ投げた。
 野獣は胸元に手を持っていって胸をさすった。
 宙を舞うその美しい光は紛れもなく野獣のスプーンだった。

 眩い光を覆って煌びやかに宙を舞い
 やがてまた泉に引き寄せられる。

 『いや。違うな。オレの心はもっと寂れて醜いものだ。』

 野獣は心無い表情で答えた。

 『そうか。』

 魚がそう言ったと同時にスプーンは短い音をたてて水面下へと消えた。
 魚も一瞬野獣の方を見て泉の底へと潜っていった。」

「自分の心が美しいことを知らなかったのか。」
ツギハギ猫は眼を開き宙を見つめたまま呟いた。

「次の話をはじめます。」

「それともあえてその道を選んだのか。
 悲しいものだ。」

第11話 ネオンの魚

「好きな魚はと聞かれてネオンの魚だと答える人は少ない。」
変な鳥は物憂げにつぶやいた。

「当たり前だ。脂ののったマグロが一番だ。」
舌なめずりをしながらツギハギ猫は答えた。


「ネオン街には様々な色の看板が立ち並んでいる。」

「ああ。とってもセンスが無く混沌に満ちた世界だ。」

「多くのネオンは店の看板や商品の宣伝となっている。」

「cafeとかBARとかね。大関ってのもあるね。」

「薄暗い路地裏の一角に小さな魚のネオンがあった。
 文字らしきものも無く。設置されているビルも地味なオフィスビルだった。」


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「ネオンの魚じゃ食えないしな。価値の無いことだ。」

「その路地裏から一人の若者が走り出す。
 派手な色合いの服を着た彼は
 何かから逃げ出すように必死だった。」

「おおかた盗みでも働いたんじゃないのか。都会の若者は皆病んでいるからな。」

「やがて表通りの人混みの中に飛び込んだ後、
 ゆっくりと歩き出した。肩で息をしながら苦しそうに。」

「薬をやっていたのかもしれない。」

「彼は度々出てきた路地の方を振り返りながらひた歩いていた。
 その表情はますます苦しそうで顔は青白い。」

「やっぱり。」

「川を渡った辺りでまた振り返ると路地は小さく見えた。
 若者は少し嬉しそうな顔してまた路地と反対の方向に歩き出す。」

「可愛そうに。きっと逃げられない。追いかけているのはいつだって自分だからな。」

「路地が見えなくなろうとした時。若者は突然苦しそうにもがきだした。
 顔はますます青白く冷や汗が流れ出す。
 頭を抱え込んでうめきだした。」

「どうしてそこへ行こうとするのか。理解に苦しむね。」

「またあの路地を振り返った。
 一瞬動きが止まると瞳孔が開いた。
 ストロボが数回点滅する。
 若者はフラッシュモーションの数コマとなり
 ゆっくりと胸を押さえて倒れた。」

「若気の至りとは残酷なものだ。」

「彼のシャツとパンツは色を失って灰色となっていた。
 静かに横たわっている彼。
 小さな魚の彼。」

「そうしてネオンは命を終えるのか。」

「次の話をはじめます。」

「終わりは始まり・・。」

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