a2cのらくがき部屋

ショウコリモナクカキツヅケルノダ!!

とりとめのない話

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 前のページ | 次のページ ]

「お客様を快適に最短最速で目的地にご案内すること。
 ただそれだけを純粋に貫いたタクシー。
 弾丸タクシーと言われた彼の憂鬱を話そう。」
レースカーが通り過ぎるのを眼で追うようなしぐさで変な鳥は言った。

「すぐ近くですがお願いできますか。」
ツギハギ猫は両手を頭の後ろに回して寝転んでいた。
眼は閉じていた。そして、足を組んでそう言った。


イメージ 1



「手を挙げれば寸分の狂いも無く客人の前でピタリと停まる。」

「最低限のことだ。まずは合格だ。」

「カチャリと乾いた金属音を鳴らし静かにドアが開く。
 それはまるで手を差し伸べるように、優しく後部座席へと誘(イザナ)う。」

「車内の匂いも悪くない。シートも硬すぎず軟らか過ぎず。だな。」

「静かにドアが閉じ。感じのいい笑顔でさわやかに目的地を訪ねる。」

「緊急の用事で急いでいる。森の病院まで頼む。でどうだ。」

「わかりました。とただ一言言って静かに、軽やかに、そして速やかに加速する。
 客人はしばらく走り出したことに気づかないほどに。」

「本当に急いでいるんだ。頼むよ。」

「運転手は穏やかで礼儀正しい声で。「おまかせください」と言い。
 その言葉が終わると同時に微笑ながら「おまたせしました」と振り返る。」

「着いた?まさか・・」

「しばし、起こった出来事を認識できないでるが、
 ドアの向こうにはこの辺りでは最も評判のいい病院
 『森の病院』が待ち構えていた。」

「最高だ。エクセレント!」

「客人が支払いを終えると開いた時と同じく静かに扉が開いた。
 客人はゆっくりと降り立ち、そして病院を見上げる。
 不思議そうな面持ちで振り返ると、そこにはもうタクシーはいなかった。」

「ん〜いいねぇ。高いポリシーを感じるねぇ。
 でも、そこまで完璧でいったい何が憂鬱なんだ?
 まさかタクシーの大きさもも弾丸サイズとか?」

「・・・」

「え・・?図星?」

「次の話を始めます。」

「そうなんだな!当りなんだな!フフフフフ♪」

第9話 グワさん降臨

「胸を締め付けられる思い。その瞬間。切ない閃光が胸を射す。」
短い羽根を胸元に押し当てながら俯き加減で変な鳥は言った。

「なんだそれは?突然センチメンタルを発症したのか?」
細く冷たい眼で鳥を見ながらツギハギ猫は言った。
口元には若干笑みが浮かんでいる。

「びっくりした時。恋をした時。悔しい時。悲しい時。感極まった時。
 胸がグワっと締め付けられる。
 それは、そこにグワさんがいるからだ。」

「グワさん?誰だそれ?一体どこに現れるというんだ?」


イメージ 1



「グワさんは胸を締め付けられた時。そこにいる。」

「二人以上が同時にグワっとしたらどうする?」

「複数のグワさんがいる。」

「なるほどねぇ。そしてそれは見えないのか?」

「見えないからやり場のない感情に襲われるのだ。」

「迷惑なやつだな。」

「そうでもない。恋に落ちた時の『どきどきグワさん』は
 時としてキューピットと言われる。」

「どきどきグワさん?ぷぷぷ。」

「びっくりグワさん。せんちめんたるグワさん。めそめそグワさん。」

「ずいぶんいるんだな。」

「せくしーグワさん。ちゃっかりグワさん。くれいじーグワさん。えーっとそれから・・」

「ちょっと待て!後半おかしいぞ!
 そいつらは一体全体どんな状態の時に胸を締め付けると言うんだ?」

「次の話をはじめます。」

「・・くれいじーグワさん降臨?」

第8話 妄想する豚

「アヒルが脇の下に挟まって取れなくなった。」
唐突に変な鳥が言った。

「なんだい!?そりゃ?」
びっくりした面持ちでツギハギ猫が聞いた。

「妄想豚ブルー・ピギーの手記はこの言葉から始まる。」

「妄想豚だって?あいつら妄想どころか目の前の食べ物以外のことなんて
 これっぽっちも考えてなんかないさ!」

「多くの豚はそうかもしれない。」

「もし本当だとしたらいつのまにか自分のヒゲの一本が
 カイワレダイコンになっていたことより奇想天外だよ。」



イメージ 1


「ブルーもかつては食べ物に魂を虜にされた普通の豚だった。
 彼が妄想するようになったのはあの事件の後からだ。」

「事件ねぇ。そうだな。大事件だ。信じられない。」

「ある日の夕暮れ時のこと、ブルーはいつものように腹を空かせていた。」

「あいつらいつもとんでもなく腹を空かせているんだ。とんでもなくだ。」

「エサ箱は底をついていたが、じっと空になった箱を見つめていた。
 そこへ一羽のいたずらアヒルが舞い降りた。」

「箱の中に?正気の沙汰じゃないね。あいつら
 あの豚ってのは何も考えずに ただエサ箱の中のものに突進するんだ。」

「そう。その時も彼はアヒルめがけて突進した。」
 あまりの勢いと迫力にアヒルもおどろいた。」

「鼻息とヨダレをまき散らしながらだろ?あぁおぞましい。」

「突進した彼に頭からかぶりつかれるその一瞬前。
 アヒルは彼の腹の下にもぐりこんだ。
 あわてた豚はとっさに腕で押さえようとしたが
 自分の体重を支えきれなかった。」

「あわれなアヒルだ。オレならもっとスマートに食べてあげたのに。」

「そしてアヒルが脇の下に挟まって取れなくなった。」

「取れなくなるってのは、一体どういうことだ?」

「それについて詳しくは書かれていない。
 それ故彼は妄想する豚と呼ばれている。」

「はじめて食を逃して考えることをしたからなのか?」

「次の話をはじめます。」

「妄想する豚・・」

第7話 鍵穴の住人

「鍵を開けるとき、鍵穴に素早く鍵を挿入してはいけない。」
変な鳥は思い出すように一点を見つめて言った。

「ん〜。しばらく鍵とは無縁の生活をしているからなぁ。
 ぴんとこねぇなぁ。」
つぎはぎ猫は同時に髭をピンとした。



「暗い穴の中はよほどのことが無い限り見ることはできない。
 たまに向こうの景色が見えるものがあるが、
 鍵穴自体を見ることはないだろう。」

「そうかもしれねぇな。」

「そこには、世界がある。」

「世界?」

「鍵穴の住人達の世界がだ。」

「鍵穴の住人かぁ。またそんな狭いところに。」





イメージ 1




「鍵穴は小さいけどその世界は大きい。
 無限に広がっている。
 ただ、それはとてもとてもデリケートなので
 あまりに勢いよく鍵を入れると壊れてしまう。」

「まったくトンチンカンな話だ。」

「いつもの入り方と違うと感じたことは?」

「さぁな。あったかもしれないし、
 なかったかもしれない。」

「いつもと違う音がしたことは?」

「・・・」

「開けたはずなのに開いていなかったので
 反対に回したらやっぱり開かなかった
 なんて経験は?」

「ん〜ん〜ん〜。」

「その小さな穴に無限に広がる世界があり、鍵にまつわる不思議なことは
 無論、住人の仕業である。」

「いるのか?本当に!?」

「次の話をはじめます。」

「はは。この話はマチルダホテルの鍵男に教えてやろう。」

第6話 都会の雨

「君は雨がどうやって降るのか知っているかい?」
変な鳥は小さな羽を空へ突き立てた。

「空気中の水蒸気が気圧の変化で液体化して・・とか
 そういうの?」
つぎはぎ猫は生真面目な顔をして答えた。


「うむ。この辺りじゃそんなようなことで雨が降る。
 だけど、都会の雨は違う。君は都会で暮らしたことは?」

「数年前は都会に住んでいた。
 コンクリートと埃にまみれた街のホテルで飼われていたよ。」

「そうか。ホテルか。なんというホテルだ?」

「マチルダホテル。」

カラカラカラ。

変な鳥が笑った。




イメージ 1


「都会の雨の日。マントを着た人々が続々とビルから這い出てくる。
 そして、やや高いビルへと登って行く。
 それはゾロゾロと列をなし、沈黙のまま屋上に集う。」

「気味が悪いな。」

「ビルの屋上に登った人たちは
 どんよりとした空へマントを投げ捨て
 地上へ向けて身を乗り出す。」

「まさか、飛び降りるのか?」


イメージ 2



「やがて、静かに肩を揺らしながら泣き出す。
 涙はシクシクと流れ落ち、やがてシトシトと雨となる。」

「ふむ。」

「それが都会の雨だ。」

「そうだな。都会の雨はどこか悲しい。」

「都会の雨は悲しいものだ。」

「・・・」

「次の話をはじめます。」

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
a2c
a2c
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

標準グループ

友だち(9)
  • takimura-ryu
  • mayuge
  • (☆☆☆)
  • 登る人旦那
  • kazoo
  • taigunaredo
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事