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鴨川自然王国の帰農塾のOB会で、民俗研究家で、宮城教育大学講師の結城登美雄さんのお話を聞いた。結城さんは、仙台で広告会社の経営に携わったのちに、東北の中山間地の農村を800ケ所まわり、約3000人の高齢者の現場の声を聞くフィールドワークを実施し、農と地域のあり方について考察を深めている。また、まちのこれからを考える前に、まずこの地元がどんなまちであったかを考え、地元の資源とそれを生かす知恵と技術と哲学を学ぶ「地元学」の第一人者である。今回初めてお会いしたが、講演会の後の懇親会も含め非常に多くのことを学ぶことが出来た。学びの内容を整理すると次の通りである。
● 中山間地の高齢者が今でも厳しい農業に関わっているのは、経済的に合うからやっている、合わないからやらないという次元の話ではない。
● 耕作放棄と同じくらい、漁業放棄(使われない船)が全国にある、それも大きな問題。
● 農山村の3点セット パチンコ店、外食店、消費者金融。
● 農業で上手く食べている人は、生産したものを待っている人が存在し、それを励みにしている人。待っている人が見えるような仕組みを作ってあげる必要がある。
● CSA(Community Supported Agriculture):地域が支える食と農、の仕組みをいかに作るかが地域農業の課題。その取組として、「鳴子の米プロジェクト」(30戸が1つの農家とつながる仕組みを作り)を宮城県で展開中。
● 従来村の人が大切にしたのは「水」「光」「風」「土」
● 日本の戦後は「つくる暮らし」から「買う暮らし」に変化。買う力から再び作る力へ戻る必要がある。つまり、市場経済へ外部化した部分を、相互扶助の領域に取り戻すことが不可欠。
● 3%の農業者が残り97%の食料を支えている現実。しかもその70%以上が70歳以上の高齢者。この状態で誰が日本の食を支えるのか。
● 地域とは家族の集まり。FamilyもFarmerも同じラテン語のファミリア(一緒に耕し一緒に食べるものたち)
● 食の安全よりも食の安定が重要。
● 地方の宝は、自分達の食べ物を作っている人々が身近にいるということ。
● 地域の自給率、自給力を考える。野菜、肉、魚等、自給率のバランスが一番良いのは青森県。
● 統計数値だけではなく、現場の実態を見た政策を実施する。農水省はそれが出来ていない。
農業、地域再生に関して、多くの示唆に富むお話しがうかがえた。その中でも一番心に残ったのは、結城さんが「鳴子の米プロジェクト」を実践しながら感じたという次の言葉である。「相手が額で話を聞いているうちには物事は動かない。いかに顔を上げてもらうかとこと」。住民が額をあげ、ワクワクしながら話を聞き、実際に行動し始める。その為には、そう感じる地域ビジョン、マニフェストを示し、自ら沸きあがるオーラをもってそれを伝える能力が政治家には必要である。まだまだ研鑽が足りないと痛感した。
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