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『西郷南洲翁遺訓』
私の尊敬する経営者の一人である稲盛和夫 京セラ名誉会長が、私淑する西郷隆盛。その西郷隆盛の、彼を慕う人々に向けた談話を、後世に旧庄内藩の人々がとりまとめたものが「西郷南洲翁遺訓」である。本篇は41項目、追加分2項目の合計43項目で、西郷が語るリーダー論、政治論、経済論、人生論、運命論が治められている。西郷は幕末のその他の多くの志士と同様に、「知行合一」、言行一致の行動を重視する中国思想陽明学の信奉者であり、その思想が遺訓の端々に感じられる。
稲盛さんがこの遺訓を、そのビジネス経験とあわせ、自分なりに解説した「人生の王道〜西郷南洲の教えに学ぶ」を再度読み返してみた。稲盛さんは、「無私」、「試練」、「利他」、「大義」、「大計」、「覚悟」、「王道」、「真心」、「信念」、「立志」、「精進」、「希望」の12のキーワードで遺訓を整理されている。私なりに心に残った遺訓の言葉は以下の通りである。
■ 廟堂に立ちて大政を為すは天道を行うものなれば、些とも私を挟みて済まぬもの也 (遺訓1条)
■ 幾たびか辛酸を歴て志始めて堅し。児孫の為に美田を買わず (遺訓5条)
■ 道は天然自然の道なるゆえ、講学の道は敬天愛人を目的とし、身を修する克己を以って終始せよ (遺訓21条)
■ 命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るもの也。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は為し得られるなり (遺訓30条)
■ その大体を申さば、入るを量りて出ずるを制するの外更に他の術数なし。出るを見て入るを計りなば、民の膏血を絞るの外ある間敷也 (遺訓14条)
■ 忠孝仁愛教化の道は政事の大本 (遺訓9条)
■ 何程制度方法を論ずる共、その人に非ざれば行われ難し (遺訓20条)
■ 聖賢に成らんと欲する志無く、古人の事跡を見、とても企て及ばぬと云う様なる心ならば、戦に臨みて逃ぐるより猶卑怯なり (遺訓36条)
■ 過ちを改むるに、自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し。その事をば棄て顧みず、直ちに一歩踏み出すべし (遺訓27条)
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