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『伝習録』 現代「陽明学」入門 (守屋洋)
「伝習録」は、中国明代の儒学者である王陽明の主張をまとめた語録、書簡集である。陽明学の入門書として日本でもひろく読まれている。陽明学は、孔子、孟子の儒学思想をベースに、行動や実践に対するやみがたい欲求を持つことを特徴とした思想である。それを象徴的に表す言葉が「知行合一」、「事上磨錬」である。知ることと行うことは、本来一つのことであり、知識は行動を伴わなければならない。事の上で磨錬する、毎日の仕事の中で自分を鍛える、それが大切だというのである。
また、陽明学では、人間形成の4つの指針として、「立志(志を立てそれを実現する意欲を持つ)」、「勤学(学問に勤める)」、「改過(過ちを改める)」、「責善(善を勧める)」を挙げている。
日本でも、吉田松陰、西郷隆盛など、幕末の志士にはその思想をうけついだ人が多数いるといわれている。政治の世界、ビジネスの世界、日常生活においても、行動のともなはない発言、知識が氾濫する現代にも大いに有効な教えであると思う。
以下「伝習録」の中で、気に入った名言は以下の通り。
■ 知はこれ行の始め、行はこれ知の成るなり
■ 人はすべからく事上に在って磨くべし
■ 善なく悪なきはこれ心の体、善あり悪あるはこれ意の動、善を知り悪を知るはこれ良知、善をなし悪を去るはこれ格物
■ 志立たざれば、天下成るべきの事なし
■ 志の立たざるは、舵なきの舟、銜なきの馬の如し
■ すでに志を立てて君子たらんとすれば、自らまさに学に従事すべし
■ 過ちなきを貴ばずして、能く過ちを改むるを尊ぶ
■ およそ人の短を訐き、人の陰私を攻発して、以って直を詁るは、みな以って善を責むると言うべからず
■ 山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し
■ 人生の大病は、只だこれ一の傲の字なり。謙は衆善の基にして、傲は衆悪の魁なり
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