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2009年1月。
本年最初の読書批評「星の数だけ抱きしめて」
略して『星数』(今年より命名)
年末から風邪を引いたのもある。
本を読む時間が多く取れた。
それに年末に買い置きしていた本は大当たり。
この3つの事情により新年早々、収穫いっぱいです。
今回から『星数』を最初にしてお勧め度を明解にスマスタ。
01)『お金とモノから解放されるイギリスの知恵』 井形慶子
>☆☆☆
別段新しい本ではないですが、もう15年ほど前から英国に
関する本は好きで新刊ではなく見つければ読んでます。
で、井形さんのももう何冊目になるのだろう?
毎回気に入った記述が有り、今回は『日本人は実用的なもの
を送ろうとして無駄を作り、英国人は無駄とは考えずに祝う』
いやなに結婚式の引き出物です。確かに日本の結婚式の引き
出物って実用的な方が喜ばれると考えてキッチン用品が多いで
すよね、私もある時期ケトルとかお皿とかカップセットとか捨
てるに捨てられない物が増えましたね。
新ためて言われると確かに『実用的で要らないもの』です。
それならその分二次会で盛り上がった方が良いですよね。
・・・とか。
オックスフォード&ケンブリッジVS東大&京大の大いなる
差については、社会をリードしたり、トップに立って国を形成
して行く人達(言わばスーパーエリート)を排出するんだから、
オックスフォード&ケンブリッジにおいての一番大事な学問は
『人間教育』(哲学)であり「人としての人間性」を後世に繋
いで行く事である。
としているので『ここ3年ほどの日本の政治家とか官僚レベ
ル』の幼稚な人間性が露呈してしまう人の生まれようも無く。
・・・とか、英国好きにはたまらない書です。
02)『警官の血・上』
03)『警官の血・下』 佐々木譲
>☆☆☆☆☆(満点)
これは『警察官とは』をテーマにして奏でられた大河ドラマ
です。
戦後すぐに始まった民主警察から現代までの親子3代に渡る
警察官と言う『血』(志)を描く事で、あまたある『警察小
説』と言うものの頂上を極めた感が有ります。
これは2007年度のこのミスのベスト1。
読後の充実感は上質な物語に出会った幸福感も内包している。
04)『美女と野球』リリー・フランキー
>☆☆☆★
評価が甘いとは思いますが「下品だけれどこういうものが
あったってイージャン」な気分です。
だいぶ前のですが105円で結構笑えた。
この本も含蓄のあるフレーズ有りますよ。
『純粋に何かに頑張る気持ちは美しい。しかし、その辺で
見かけるほとんどは頑張っているのではなく「ただ低俗な
野心」を燃やしているだけだ。ただ陽当たりの良い所だけに
憧れているだけだ。
人は根拠の無い自信と自分に不釣り合いな野心に燃えている
ヤツが一番醜い(自己批評が欠落している奴)』
いえね、片岡鶴太郎の書だか画だかについてだったかな?
05)『東京島』 桐野夏生
>☆☆☆
桐野さんのものは直木賞のもの以外読んでなくて、これが
2作目です。 何故読まないか、これを読みながら再認識
しました。 この作家はやはり粘着質なんすね。で本自体は
面白いんでしょうが読後感ならず読中感というならこれが私
に合わない。 いわゆる無人島ものなんですが『展開がなん
か閉塞感いっぱい』だから、こういうカタルシスを抱かせる
のが作者の狙いなら『凄く上手い作家』なんだろうけれど、
読むのが「楽しくない」。
後半面白くなるだけに、やっぱり好みの作家じゃないな。
残念。
06)『悼む人』 天童荒太
>☆☆☆☆★
読んでいる最中にこの本が『直木賞』に決まった。
これだけの作家が今頃直木賞?
とも思うが誰の感想も同じで、「今年取らなかったらこの寡
作の作家は下手をすると直木賞を取れなかった作家として一
生を終えそう」と言う笑えないジョークが載っていた。
私の一生のベストテンに『永遠の仔』は入っている。
なのでこの本も『心身ともに絶好調な時に読もう』として読
み始めた。
重いテーマを求道者の様に書いている。
『亡くなった人の人生とはその死に方ではもちろんなく、誰
を愛したか、誰に愛されたか』ではないのか。 有名な人
の死も無名な死も平等に悼まれるべきではないのか?
この本は『人間と言うものの愛と死と執着について』書かれ
ている。
まるでドストエフスキーの様に。
こんな本を書いている作家が日本にいる事は日本人として嬉
しい。
07)『夜明けの街で』東野圭吾
>☆☆☆
この本について拾うべき言葉は何も無かった。
愛とか愛憎とか言う世界に関しては女性は男性の100倍の
感度を持っている事を確認出来た事かな。
東野圭吾作品としては火曜サスペンス級です。
08)『夜のピクニック』恩田 陸
>☆☆☆☆★
4年前の本屋大賞で、始めて読みました。
好きと言う感情には答えは無い。何が解決策なのか誰も教え
てくれないし、自分でもなかなか見つけられない。
自分の中で後生大事に抱えてうろうろするしかないのだ。
好きと言う気持ちには、どうやって区切りを付ければ良いの
だろう。 どんな状態になれば成功した、満足だと言えるのだ
ろう。
告白したって、デートしたって、妊娠したって、どれも正解
には思えない。
だとすれば、下手に行動を起こして後悔するより自分の中だ
けで大事に持っている方がよっぽど良い。
女性は高校生のうちからこんな事を考えている。
なんて大人なんだろう。それに比べて高校生の頃の俺と来たら
何と幼なかったのだろう。
愛だ恋だ、なんてーのは女性の専門科目である事が良くわか
る。
09)『捜査官ガラーノ・前線』 パトリシア・コーンウェル
>☆☆☆
前作「捜査官ガラーノ」は新鮮さもあって面白かった。
第一パトリシア・コーンウェルの検死官シリーズは暗いから。
作家もそれを意識してこちらはかなりお気楽に書いているし
彼女のユーモアのセンスもわかる。
なのに、前作はミステリー読者には評判が悪かった。
今回も台詞回しなどは私は好きだけれど。作品としてどーよ
?と聞かれたら「ふーむ」となる。
ガラーノのキャラも好きだし高飛車の女検事も良いのだが、
ストーリーが軽すぎる。TVドラマとしたら30分で解決しち
まう。
でも、好きな台詞はある。
「どうしてそんなつまらない事を知ってるの?」
「つまらない人間だからさ」
ふーーむ。
以上2009年1月は9冊でした。
新刊2冊に古本7冊。
今年の目標は80冊です。
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