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雑文

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 「物の興廃は必ず人に 由 ( よ ) る」「真俗離れず」「如実に自心を知る」――。
 日本密教の祖、弘法大師空海の言葉が注目を集めている。解説本は版を重ね、展覧会では、書に多くの来場者が見入る。崇高な悟りの中にも、どこか人間味あふれる言葉が、混迷の時代に生きる現代人の心を揺さぶるのか。
 東京国立博物館で開催中の「空海と密教美術展」(25日まで)には若き日の“出家宣言”である「 聾瞽指帰 ( ろうこしいき ) 」(国宝)や、最澄への手紙「 風信帖 ( ふうしんじょう ) 」(同)、弟子がまとめた「 性霊集 ( しょうりょうしゅう ) 」(重要文化財)など書が並ぶ。全て漢文で一般人が読み解くのは難しい。だが、風格ある文字から何か教えを得ようとするのか、人だかりが絶えない。
 館が開く講演会は毎回満員で、8月末、京都・醍醐寺の仲田 順和 ( じゅんな ) 座主(77)が登壇した回は約400人が聞き入った。東京都中野区、水島道雄さん(70)は「新しい信仰の分野を切り開いた先駆けの人。言葉もオリジナリティーにあふれ、非常に魅力的だ」と話す。
 21体の仏像を使い、 曼荼羅 ( まんだら ) を立体的に表現するなど、視覚的に訴えかけ、分かりやすく教えを広めたイメージが強い空海。ただ、著書『ほっとする空海の言葉』(二玄社)で、70の言葉を紹介した密教研究者の安元剛さん(45)は、「その文章にも包容力、人間味がにじみ出ている」と語る。
2011年9月18日11時02分  読売新聞)
 
空海の言葉を書いてみます。読んでください。                                                                                         
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥し


虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願も尽きん。
  
現代語訳:虚空、衆生、悟りが尽きれば、私の願いも尽きるであろう。


高山は風起り易く、深海は水量り難し、空際は人の察する無く法身のみ独り能く詳らかなり。
現代語訳:高山は風が起こりやすく、海の水の量は測ることができない。この空の果てがどうなっているのかは、人はわからない。ただ大日如来が知っているだけだ。



弧雲、定処無く、本自り高峰を愛す、知らず、人里の日、月を観て青松に臥す。
現代語訳:空にぽっかり浮かんだ雲はひと所にとどまっておらず、もとより高い峰を愛している。人里の生活を知ろうとも思わない。ただ月を見ながら松の根元に寝るだけだ。



遮那は中央に坐す、遮那は阿誰の号ぞ、本是我が心王なり。
現代語訳:大日如来は中央にすわっておられるが、大日如来とは誰をさすのか、そのもとは自分の心である。



波濤万万にして、雲山幾千ぞ。来ること我が力に非ず、帰ること我が志に非ず。
現代語訳:超えてきた波濤は幾万、雲、山は幾千。来れたのは私の力ではなく帰るのは私の意志ではない。



物の荒廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り。
現代語訳:物の荒廃は必ずその人による。人の昇沈は必ずその道の学び方にある。



貧道と君とは遠く相知る。山河雲水何ぞ能く阻てん。白雲の人、天辺の吏、何れの日か念ふこと無からん。
現代語訳:私とあなたとは昔からの知り合い。山河雲水がどうして隔てられましょう。出家の身と辺境の官吏ではあるが、あなたを思わない日は1日たりともない。



業障は重く功徳は軽し。
現代語訳:業障は重く、功徳はわずかである。



家も無く国も無く郷属を離れ、子に非ず臣に非ず孑として貧に安んず。
現代語訳:家もなく国もなく、郷里の縁者のもとを離れ、子でもなく臣でもなく、ただひとり貧しさに安んじる。



身は華と与に落ちぬれども、心は香と将に飛ぶ。
現代語訳:体は華が落ちるように地に落ちてしまうが心は香りが空中に漂うように飛んでいく。



文は是れ糟粕、文は是れ瓦礫なり。糟粕瓦礫を受くれば則ち粋実至実を失う。
現代語訳:文と言うのは糟粕であり、瓦礫である。そうした文を得てそれのみによれば、純粋な本質を失うことになってしまう。



親を辞して師に就き、飾を落して道に入る。
現代語訳:親元を離れて師に就き、虚飾を捨てて仏門に入った。



六大無碍にして常に瑜伽なり四種曼荼、各々離れず三密加持すれば速疾に顕わる重重帝網なるを即身と名づく。
現代語訳:宇宙を構成する六大に妨げがなければ、それらは常に溶け合っている。そして四曼荼羅は互いに離れることなく作用し合っている。仏と凡夫の間でなされる3つの働きを加持することによって宇宙の根源仏である大日如来と一体になり、成仏を可能にする。



貧を済ふには財を以てし、愚を導くには法を以てす。財を積まざるを以て心と為し、法を惜しまざるを以て性と為す。故に、若しくは尊、若しくは卑、虚しく往きて実ちて帰り、近き自り遠き自り、光を尋ねて集会することを得たり。
現代語訳:貧しい者を救うには財貨を用い、愚かな者を導くには仏法を用いた。財貨を蓄えないことを旨とし、仏法を教えることに力を惜しまない。そのため尊い者も、そうでない者も空虚な身で出掛けて、満たされて帰り、近い者も遠い者も光を求めて集まる結果になった。



風燭滅え易く、良辰遇い難し。
現代語訳:まさに生命は風前のともしび、よい星に遇うことは難しい。



仏法遥かに非ず。心中にして即ち近し。
現代語訳:仏は自分の心のなかにいる。



人の昇沈は定んで道にあり。
現代語訳:人が出世するか没落するかは、道理に基づいた生き方をするかどうかで決まる。



摩尼、自ら宝に非ず、工人能く瑩く
現代語訳:宝玉は、はじめから宝玉の形をしているわけではない。研鑚の職人が一生懸命磨いて光輝く玉となる。



能書は必ず好筆を用う。
現代語訳:弘法は筆を選ぶ。「弘法は筆を選ばず」などと誰が言い出したかは知りませんがこの文章を読む限り間違いですね。




 

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