真正保守を訴える

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旅人

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旅の終わり

寺山修司は「自殺」にこだわっていた。青少年のための自殺学入門はランボーの「地獄の季節」を超えた悪魔の書である。寺山は「自殺」より「心中」を美しいものであると書いている。寺山は一人の自殺は簡素な場合が多いが二人となると、場所選びも書置きにしても方法にしても工夫がこらされる。歌舞伎でも(道行)の場となると、ひとき見せ場としての演出がこらされている。寺山は「心中」とは語源的には深く真実に想うということであるとしている。ただの逃避行とは、はっきり峻別されると。また、寺山はマルクス主義に自殺論はなく・・・・右翼にはあるとしている。右翼の農本主義者の橘孝三郎の天皇論に「心中は、あはれふかい、しかしだにふがいなきものでも、女々しきものでもなく一面に於いて実にたけあるものたけだけしものであるのだ。」ということになる。
 
 坂下次郎は、師走のはじめに、一人の妹のように親しく付き合っていた女に電話をした。「あら・・・元気。あなたの親しかった女の人達はもう、あなたとはもう遠い存在なのよ。メールも携帯電話も出ないでしょう。メールも見ていないわよ」。そうなんだ。そんなことは分かっている。30年間も政治的同志として共に政治活動をしてくれた女。県議から衆議院議員に出馬するときに、家族ぐるみで応援してくれた人たち、みんな、それもこれも夢なのか、誰にも言えないけど、愛しい、好きな、あこがれの女のひとたちがいたから政治家として衆議院議員までなれたのである。
 
 それなのに、あの女の人達の笑顔も励ましも、もう、まったくなくなにってしまった。30年間共に歩んだ女の人は、衆議院議員として死んだほうがいいと語った。「江藤淳が脳梗塞になり、」「今の江藤淳は本当の江藤淳あらずとして」自ら命を絶った。坂下次郎も今の自分もそんなことを想っている。もう、ペットに座り、パソコンをしながら、自分の人生をふりかえりながら、考えているのだ。懐かしい人達がどこに行ったのか。もう。ふるさとには存在しないのだ。坂下はトボトボとだれもいない冥府に歩き続ける。もう、誰もいないのだ。ランボー詩集を読みながら、どこかに旅立っていったのである。人生なんて・・・・サヨナラだ。
これはフィクションです。

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