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渡辺淳一の書いた小説で一番美しい自殺の仕方は何かと述べている。それは、睡眠薬や、首つりでも、切腹でもないと云う。美しいのは、雪の中で凍死することであるとしている。雪という大自然のモザイクは生きる人を宇宙の奇跡というもので死者を覆ってくれるからだと思う。そうなのだ、寒さは凍死は人間の身体を自然死をさせてくれるのである。西行は桜の下で世を終わりたいと云ったというが、冬から春になり自然・生物が魂を再生・復活して生命溢れるときにそこが生の終焉だというのは、凡人の俺には理解不能である。
数日前、夢を見た。三十年以上、俺を影・日向になって面倒みてくれたS女史が俺にいうのだ。今すぐ死んでくれ、高齢になり、脳内出血で左半身不随で苦労している俺の姿を見たくないということだ。代議士になり、県議を四期して、市議を二期をした青年政治家の輝いていた、志高かった俺のことと歩んできたから、今の俺の潰れた精神と、破壊された肉体を見たくないということだ。S女史は言うのだ「貴方は、もう貴方ではないのだ。江藤淳だって、そう言って風呂場で自殺した」。ことを語り、もう長生きしないでと叫んだ。・・・俺は泣いてわかったと言った。評論家の福田和也氏は江藤の母方の祖父が海軍だったから、水ということで、風呂場を関連づけたようである。いつでも、覚悟して生きていると、爽やかな気持ちになった。
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旅人
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