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安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は29日の首脳会談で、停滞していた北方領土交渉の「再スタート」で合意した。経済協力をてこに領土問題を動かしたい日本と、極東地域開発で日本の技術・資本に期待を寄せるロシアの思惑が重なり合った形だ。ただ、首相が「戦後67年たっても解決しない問題を一気に解決する魔法のつえは存在しない」と認める通り、交渉の行方は見通せない。
◇「交渉加速」も期限なし 「幅広い問題について胸襟を開いてじっくり話し合い、個人的信頼関係を構築することができた」。安倍首相は会談後の共同記者会見で、日本の首相として10年ぶりとなった今回の公式訪ロにより、領土問題解決に不可欠な首脳同士の信頼関係が醸成できたと自信を示した。 会談後発表された共同声明は、領土問題について「双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させる」よう両国の外務省に指示することを明記。事務レベルの交渉結果を「両首脳の議論に付す」ことも盛り込んだ。ただ、具体的な期限が示されたわけではなく、「交渉加速」も過去に何度となく繰り返されてきたもので目新しさはない。 北方四島(択捉島、国後島、歯舞群島、色丹島)について、日本政府は「帰属の問題を解決して平和条約を締結する」ことが基本方針。第2次世界大戦の結果、四島は領土になったとするロシア側との溝は深く、小泉政権以降、事務レベルでの対ロ交渉は「入り口で平行線に近い協議が続く」(外務省幹部)状況だった。今回、安倍首相、プーチン大統領ともに一定程度安定した政治基盤を背景に交渉仕切り直しで合意したものの、事務方が担う話し合いの行方は予断を許さない。 「大統領と一緒に5年やればいい。その間に平和条約も結べばいい」。首相側近は、第1次安倍政権時から数えて4回目となる今回の会談で個人的関係が深まったとして、残り5年のプーチン氏の任期内に、じっくり腰を据えて領土問題に取り組めばいいと、首相の心中を代弁する。 交渉加速化への環境整備について、大統領は共同会見で「経済協力が最も良い役割を果たす」と指摘した。特にカギを握りそうなのがエネルギー分野だ。米国の「シェールガス革命」により、ロシアの天然ガス輸出量は伸び悩んでおり、日本も相次ぐ原発停止や円安の影響で、ロシア産の輸入拡大を視野に入れる。日ロ両国にとっては、北東アジアで台頭する中国への警戒感も共通している。首脳会談では、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の創設で合意した。安全保障面での日ロの接近には、中国をけん制する思惑もある。 ◇2島で「引き分け」 「あした解決することはあり得ない」。プーチン大統領は共同会見で、平和条約交渉の難しさをこう表現した。 首相特使として2月に訪ロした森喜朗元首相に対し、大統領は自らが言及した「引き分け」提案について、「勝ち負けのない、双方に受け入れ可能な解決」と説明。大統領のこの言葉は、今回の共同声明にも色濃く反映された。 大統領は2001年、森氏との間でイルクーツク声明に署名。声明は、平和条約締結後の歯舞、色丹2島引き渡しを明記した日ソ共同宣言の法的有効性を確認する内容で、大統領の本音は「2島引き渡しでの決着」との見方が強い。 これに対し、日本側では「2島返還で安易に妥協しては駄目だ。プラスアルファがどこまでかを話すべきだ」(自民党閣僚経験者)と、くぎを刺す声が早くも上がる。仕切り直し後の交渉も、厳しいものとなるのは間違いない。(モスクワ時事) 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は29日の首脳会談で、停滞していた北方領土交渉の「再スタート」で合意した。経済協力をてこに領土問題を動かしたい日本と、極東地域開発で日本の技術・資本に期待を寄せるロシアの思惑が重なり合った形だ。ただ、首相が「戦後67年たっても解決しない問題を一気に解決する魔法ない。着実な安倍外交に国民は期待する。
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