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川端康成記念会理事長の川端香男里氏が、中央公論2013年6号に川端康成「美し!」発見という事件を書いている。「福岡日日新聞」(現在の西日本新聞)に掲載された小説をリスト化する作業の中で、今年2月に発見された川端康成の最初の新聞小説「美しい!」は、斬新な表題からもその内容からも、大きな反響を呼んだが、この発見は文化史、文学史研究の上でも重要な事件であったように思えると。
川端康成のこの「美しい」は、そんな美しい人物が出てくる小説ではない。財閥の社長が妾に子どもが生まれた、その子どもは障害児であった。「こんにやく人形」「蛸(たこ)のお化け」といわれるような。そんなわが子をY東温泉に別荘をつくり地域の人に寄付や地域振興にもつくした。
あるひ小春日和の午後、3カ月ぶりで別荘に来た社長の父は障害のある息子を豆児童車に乗せ街道を走っていると、一人の跛(びっこ)の少女に追附いた、彼女は学校の帰りらしくカバンを提(さ)げて松葉杖の上に両肘をのやうに拡げながら、ぴょつくりぴょつくり飛んでゐた。息子は「うわあー。」といった。「うん、うん―あの子を乗せてやれというのだな。
少女は見向きもせず暗くうつむいたまま松葉杖を、「や、ややあ―。」君、君、頼むからここへ乗ってください。今度は素直に松葉杖を片脇に抱へて自動車につかまって来た。「何て陰気臭い醜い子どもだろう。その貧しい髪の毛、大きい額と蒼く落ちた頬、怒った肩、歪んだ膝、なぞを見て社長は眉を顰めながら感覚的な不機嫌の全速力で疾走して帰った。
あのびっこでございますか。あの子はよく坊ちゃんが自動車に乗せておやりになります。執事はそまでいって「同病相憐れむと申すのでございませうか。」と云う言葉を呑みこんでしまった。
14になった息子が人並の同情心を育つてゐることは喜ばしい。しかし片輪にだけ同情を感じる片輪の気持ちは悲惨で暗い息子が嫌って蔭を好む程いぢけてゐるなら悲しい。息子は少女の
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