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新潮45の新年号で、作家の橋本治が「年を取る」という新連載を始めたので読んでいる。彼は書いている「ただでさえ年寄りはきたないものだから」と言ったのは、戦前の有名な女方で、「田圃(たんぼ)の太夫」と呼ばれた歌舞伎役者の四世沢村源之助です。晩年の彼の独り暮らしの家を訪ねた人物が、家の中がきれいに片付いているのを見て「ずいぶんきれいにしてらっしゃるんですね」といった―その答えが「ただでさえ年寄りはきたないものだから、身の周りくらいはきれいにしておかなければ」というものでした。
橋本は「船頭」という童謡の歌詞は含蓄が深い。「村の渡しの船頭さんは今年60のお爺さん」ということだ。還暦を過ぎて、流れる雲を見ていると、時の流れの速さに驚く。大病をして政界を引退して自暴自棄になったこともある。
今は、夏目漱石の「思ひ出す事」などの文に考えさせらる。「四十を越した男、自然に淘汰せられんとした男、左したる過去を持たぬ男に、忙しい世が、是程の手間と時間とを親切を掛けてくれようとは夢にも待設けなかったことは余は、病に生きる還ると共に、心に生き還つた。余は病に謝した。」というものだ。
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本の感想・・
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