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神谷美恵子は「旅の終わり」に、次のように書いてある。人類史がこれからどうなって行くかはわからない。果たしてテイヤール・ド・シャルダンの壮大な夢のようになるだろうか。いずれにせよ、人類は生きるかぎりこころのよろこびを必要とし、こころのよろこびのあるかぎり人は存続するだろう。たとえ廃墟の中からでも新しい生活と文化を築いて行くことだろう。
生命の流れの上に浮かぶ「うたかた」にすぎなくても、ちょうど大海原を航海する船と船とがすれちがうとき、互いに挨拶のしらべを交わすように、人間も生きているあいだ、さまざまな人と出会い、互いにこころのよろこびをわかち合い、しかもあとから来る者にこれを伝えて行くようにできているのではなかろうか。
じつはこのことこそ真の「愛」というもので、それがこころの旅のゆたかさにとっていちばん大切な要素だと思うのだが、あまり大切なことは、ことばで多くを語るべきことではないように思われる。それでは、これはヒトのこころの旅がかなでる音楽の余韻のようなものにとどめておくことにしたい。
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