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「終りなき貫徹」の第一章に、吉田満は記している。《…ゐる、ゐる。戦友たちが。いづれも無言。こちらの瞼の中を見据ゑるやうに、どこか不安定な姿勢で、立ちつくしてゐる。彼らの眉は、かなしげな憤りで、濡れてゐる。唇が、黒く、固い。どうこたへたらいいのだらう。…。
近寄つて、肩を抱き,どんな力で、ゆすつてやったらいいのだらう。(中略)…死に果てたかれらの、いまはの心には、俺たちへの、精魂こめた希願が盛りこぼれてゐたのだ。もろともに捕らえられてゐたこの愚かしい狂亂のうちから、生きのこった俺たちに、その毒をきよめて新生ヲタ吹きこむちから…。 切望してゐたのだ。かれらは、も早ゐない。だがかれらを生かすも殺すも、ただ俺たちの生き方にあるのだ》 |
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