|
「日来(ひごろ)は何と思はぬ薄金が、などやらんかく重く覚ゆる也」木曽義仲 ふだんは何とも思わない鎧が、今はどういうわけか重く感じられる。戦いに敗れて今井四郎と主従二人きりになってしまった義仲が、今井に向かっていう言葉。
これについて『日本語録』保田與重郎は、「古からの詩人文人が義仲の心持ちをかなしんだのは、その性格と生涯の悲劇のためであるが、この最後のことばのあはれさのためであらう。これは平家物語の中に数ある最後のことばの中で、最も悲しく美しいことばであった。彼が純粋の武人だつたから、かういふ千歳の後の詩人を愛しませるやうな、よいことばを云つたものである」保田與重郎は悲劇的な敗北のうちに仆れた武人が特別の偏愛があるといわれている。
|
好きな・感銘した文章
[ リスト ]




