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長尾龍一東大名誉教授の「カール・シュミットの死」を読んでいる。長尾龍一名誉教授は、あとがきで、戦後日本の思想界は、小規模ながら、シュミットが描いた精神史の過程を一通り復習した。敗戦直後、インテリ青年たちは、岩波書店の前に列を作って、「理性」の指導を渇望した。
それに応じて、知的指導者たちが、歴史の発展動向などについて、様々な託宣を下した。「60年安保」は、客観的に見れば、極東から米国を放逐して、この地域をソ連のフリーハンドのもとにおこうとする軍事的闘争に他ならないが、「知的指導者」たちは様々な見当外れの言説を弄して、大衆、特に青年を扇動した。
この扇動は、大衆、特に青年の中に「直接的かつ具体的な生の理論」を誘発し、それによって「知的指導者」たちは自らの墓穴を掘った。そしてその「生の理論」は、「70年安保」において自滅した。
全共闘が三島由紀夫と対話したりしたが、シュミットがより強力な神話とよんだ民族の神話に飛び火しないうちに自滅したのは、ある意味で幸せであった。「左」の神話に幻滅して、「右」の神話に移った者より、神話そのものに幻滅した者の方が多かったからである。
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