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「米国第一」を掲げるトランプ米政権は大型減税と広範囲にわたる規制緩和を実現し、通商面では中国に対するこれまでの政権の融和路線を廃棄した。こうした「トランプイズム」の本質とは、また、日本にとっての意味とは何だろうか。このほど来日したトランプ大統領の側近、ミック・マルバニー行政管理予算局(OMB)局長との対話を通じて、考えてみた。
マルバニー氏は先週末、東京で開かれた米保守系政治イベントCPAC(シーパック)の日本版「J−CPAC」に出席のため来日した。マルバニー氏は減税、規制緩和の司令塔であるばかりではない。対中貿易強硬策にも深く関与し、今月末にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の場で習近平中国国家主席と会談予定のトランプ氏に同行する。
マルバニー氏は「減税と規制緩和がセットとなって経済の奇跡を呼んだ」「ノーベル経済学賞受賞学者のポール・クルーグマン教授が絶対に無理だと主張していた実質経済成長率3%台を達成し、軌道に乗せた」と胸を張る。確かにグラフを見ると、米経済は昨年1月の政権発足後、力強い回復を遂げ、経済成長率が弱々しい足取りの日本を大きく引き離している。
法人税と所得税の大型減税の米国と、大型消費税増税の日本の違いだけとは済まされない。アベノミクスもまた、「第三の矢」として「規制改革」を打ち出し、国家戦略特区での規制緩和を実施している。規制緩和について、内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は賛同するが、「それが成長にどのくらい結びつくかは見極めにくい」と頭をひねっていた。成果に至る道筋が見えないのだ。
安倍晋三政権は法人税減税にも踏み切り、企業利益に対する法人税、住民税および事業税合計の税負担率は2012年度の39%から17年度の25%へと、大きく下がった。それとは算出方法が異なるが、トランプ減税の結果、連邦税、州税合わせて企業の実効税率が25〜28%と見込まれる米国と遜色はないようだ。
企業行動はどうなったか。米国ではイノベーション機運が高まる。日本では、企業がひたすら内部留保を膨らます。日産自動車前会長のゴーン容疑者の資産不正利用、会計操作疑惑も、そうした資金余剰の大海に浮かんでいる。
減税や規制緩和の基本的な考え方は米国の保守主義思想からくる。「税金を使わずに、経済を成長させ、人々の生活を楽にすることができる」とマルバニー氏は確信に満ちている。「小さな政府」主義であることはもちろんだが、「重要なポイントは制度にある」と強調する。「政権発足当時は規制緩和を実現する組織もなかったので、進展をみるまでに6カ月もかかったが、体制が整うと改革の速度は一挙に加速した」。大統領の指示は、「各省庁が一つの規制を加えるなら、二つの規制を必ず撤廃させる」と具体的で簡明だ。政権トップ、実行制度が、政府に頼らず自立、独立精神を尊ぶ個人主義が支える保守の風土に結びつくことで、経済成長という果実を生むわけだ。
日本にも「保守」思想はかなり浸透しているが、概して文学の領域にとどまる。実利動機がものを言う米国型保守主義とは次元が違う。勢い、日本流規制緩和策は付け焼き刃になりがちだ。首相が規制改革の旗を振り下ろしたら、自身の権限縮小を招く規制の撤廃はなるだけ避けようとする官僚が作文を書いて規制緩和項目を並べたペーパーをホチキスで留めてまずは一件落着となる。
財務官僚は「小さな政府」を逆手にとる。財政再建しないと国債暴落リスクが高まるとし、歳出削減と消費税増税の必要性を政治家やメディアに浸透させていく。政治サイドから減税を迫られると、「財源がない」と開き直って、他の項目の増税を呑ませてしまう。そこには家計簿式の発想しかなく、国民を富ませるという意志が皆無のようにも思える。
保守とはもちろん実利がすべてではない。「自分の安全は自身の手で守る信念は保守主義の要点」(マルバニー氏)。それは不公正貿易慣行や技術の窃取で米国経済やハイテク覇権を侵食する中国に対する貿易制裁につながり、「中国を変えさせるまで、対中貿易戦争は続く」(同)。対照的に日本は、中国との「協力」に傾斜する。日中通貨スワップや巨大中華経済圏構想「一帯一路」への日本企業参加がそうだ。中国を変える決意がなければ、中国に利用され、米国との間に溝ができやしないか、気になる。田村秀男産経新聞特別記者
中国の不公平な貿易や、日本の技術の略奪は許してはならない。日中通貨スワップや「一帯一路」への日本企業参加も慎重であるべきだ。自由・人権・法の支配を日米で死守だ。自由なインド太平洋のためにも日米関係は強固にすべきである。
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