|
対艦ミサイルは速さが命
ASM−3は全長約6メートル、重さ約940キロ。「空対艦」の名前通り、空中を飛ぶ戦闘機などに搭載し、艦船を攻撃するミサイルだ。同様の空対艦誘導弾である80式(ASM−1)、93式(ASM−2)の後継として平成15年から開発が始まった。制海権を握る要ともいえる新型の対艦ミサイルがら2019年度から量産される。その性能はASM−1及び2から飛躍的に向上している。特に最も重要なエンジンに最先端技術が用いられているのが特徴だ。ASM−1がロケットエンジン、同2は射程を伸ばすためターボジェットエンジンが用いられたが、「3」では個体ロケットモーターとラムジェットエンジンを組み合わせたもの(インテグラル・ロケット・ラムジェットエンジン)を採用。これにより超音速巡航が可能となった。最高速度もマッハ3(音速の3倍)以上で、1,2が音速に届かなかったことに比べ格段の進歩を遂げた。この速度向上は、敵の迎撃を防ぐために欠かせない。
地球の丸さのため、艦船は水平線下から低高度で迫るミサイルを探知できる距離は限られている。迎え撃つにはレーダーにより数十キロ先で発見し、機関砲や対空ミサイルで迎撃するのだが、発見から“命中”までは1分もないとされる。 もちろん向かってくるミサイルが1発きりという状況もありえず、前後左右から迫る多数のミサイルを数十秒のうちに全て撃ち落とさないと撃沈の憂き目に遭う。この状況でミサイルの速さが3倍になれば、迎撃可能時間は従来比で3分の1になる。対艦ミサイルの速さは重要な性能なのだ。
2つの誘導方式
そのキモとなる技術は、ラムジェットエンジンだ。一般にエンジンは空気を圧縮して燃料を吹き付け爆発的なエネルギーを得ている。車の場合はピストンで圧縮し、ジェットエンジンの場合はタービン羽で圧縮する。そしてラムジェットの場合は、速い速度(空気抵抗による圧力)で圧縮する(漏斗をイメージすればわかりやすい)。機械可動部はほとんど必要なく、いったんロケットで高速を得れば、あとの圧縮は速度におまかせという具合だ。
その早いミサイルを誘導する方式は「アクティブ電波とパッシブ電波の複合誘導方式となっており、高い耐妨害性を有する」(防衛装備庁)。ミサイル自身が電波を発し、跳ね返ってきた電波で目標位置を得るのが「アクティブ」。そして目標が警戒のため作動させているレーダー電波を受信し、その電波発信元を割り出すのが「パッシブ」で、ASM−3はこの2種を駆使して目標に向かう。優秀な“目”を持たせたのにも理由がある。その一つは、搭載母機を守るためだ。
誘導弾が初めて使われた第二次大戦時はもちろん、ベトナム戦争でも空対地ミサイルの誘導は発射母機の乗組員の仕事だった。当然、自身の放ったミサイルが目標に当たるまで誘導を続ける必要があるため、敵の対空ミサイルや機関砲弾が飛び交う「危険な空域」にとどまらなければならなかった。
一方でASM−3は射程が大きく伸びたため敵のレーダーの探知範囲外からの発射が可能となった。そして優秀な“目”によって、いわゆる「打ちっ放し」が可能となっている。
まそたんの“裏側”
その開発は平成22(2010)年度から28年度まで開発施策、29年度まで技術試験。そして29年度には実用試験として実射が行われた。実行したのは航空自衛隊岐阜基地の「飛行開発実験団」所属のF−2戦闘機だった。
岐阜基地では11月18日に航空祭が行われ、同基地を部隊にしたSFアニメ「ひそねとまそたん」とのつながりを大々的にアピール。アニメの総監督を務めた樋口真嗣さんと声優の久野美咲さんを招いてトークショーを行ったほか、「まそたん」として登場する機番999のF−15イーグル戦闘機を機番まで再現して展示し、広報活動に力を入れた。一方、重要な任務の「飛行開発実験」についても各種展示が行われ、そのなかにはASM−3の試験用モデルも展示していた。その試験の実際とは−標的は「しらね」
防衛装備庁によるとASM−3の性能確認試験には、飛行開発実験団のF−2戦闘機がASM−3発射専用の改修を受けて発射母機として任務にあたった。さらにASM−3の飛翔の状況を確認、記録するために特殊な装備(テレメーター中継ポッド)を搭載したF−15戦闘機2機が参加した。
一方、実射の目標となったのは海上自衛隊護衛艦として昭和55(1975)年に就役、老朽化のため平成27(2015)年に除籍された「しらね」が選ばれた。ただ標的と言っても、ミサイル命中により激しく壊れてしまうと、ミサイルの威力その他の調査ができない−極端に言えば、沈んでしまっては調査できない−ため、内部の構造に補強を施して標的としている。この大がかりな発射試験は29年度に若狭湾(京都府〜福井県)北方の臨時射場で行われたという。
このほか、全長約6メートルにもなる大型のASM−3をF−2戦闘機に搭載した場合に、F−2にどんな影響が現れるか、飛行特性の変化などを調べる試験や、緊急時などに投棄する場合の試験も行われている。
実は投棄といってもただ落せばいいというものではなく、翼から離れたあと気流の影響で機体に衝突したりという危険性も無視できないのだ。また、目標を探知するセンサーの実験には別の現役護衛艦の協力を得るなど、さまざまな試験を経てASM−3は量産にこぎ着けた。ASM−3は改修を加えることで、多くの護衛艦が備える垂直型ミサイル発射装置にも搭載可能とされており、今後は艦艇への搭載も検討されるとみられる。産経新聞
国産のASMー3対艦ミサイルは新型ミサイルで量産化に入る。 F2戦闘機にASMー3ミサイルを搭載して敵艦を撃破できる。ASMー3は護衛艦のMK41VSLからも改良すれば発射できる。 |
全体表示
[ リスト ]





