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2019年05月31日
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世は乱れ 牡丹散りたる 混濁や 篤人
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引くに引けない局面だが5月9日から2日間の予定で米国の首都ワシントンで開催された米中貿易協議は、米国通商代表部(USTR)代表のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)と中国副首相の劉鶴(りゅうかく)との間で討議が行われたが、米中間に横たわる深い溝を埋めることができず、合意に至らぬまま5月9日夜に決裂した。
これを受けて米国政府は5月10日の米国東部標準時0時1分から中国からの輸入品2000億ドル相当に対し関税率を現行の10%から25%に引き上げる制裁措置を発動した。また、5月13日にはトランプ大統領が現状のところ課税対象外となっている中国からの輸入品3250億ドル相当に対して最大25%の関税率を適用する手続きに着手するようUSTRに命じたというが、適用の開始時期については未定とされている。
一方の中国は5月13日に報復措置として、米国からの輸入品600億ドル相当のうち2493品目に対する関税を25%に、その他の品目に対する関税を5〜20%に引き上げるとして、6月1日からその適用を開始すると発表した。米中両国による貿易戦争はますます深刻さを増しており、泥沼化により長期化するものと考えられる。
ところで、中国政府“国家統計局”のデータによれば、2017年における世界の豚肉消費量が1億1103万トンであるのに対して、中国の豚肉消費量は5487万トンで、世界の豚肉消費量の49.6%を占めていた。また、2017年に米国農務省(USDA)は「2018年における世界の豚肉消費量は1億1258万トンに達し、世界最大の豚肉消費国である中国の豚肉消費量は2018年に5612万トンに達し、世界の豚肉消費量の50%を占める」と予測していた。
その自他共に認める世界最大の豚肉消費大国である中国では、2018年8月3日に遼寧省瀋陽市の沈北新区に所在する養豚農家で“非州猪瘟(アフリカ豚コレラ)”に感染した豚が見つかったのを皮切りに、アフリカ豚コレラは強い感染力で31ある一級行政区(省・自治区・直轄市)を徐々に浸透する形で感染を拡大し、最後に残っていた海南省で2019年4月19日に豚の感染が確認されたことで、アフリカ豚コレラによる中国全土の陥落が確定した。
アフリカ豚コレラの蔓延によって中国国内の“生猪(生きた豚)”出荷量は減少した。2019年2月の“生猪”出荷量は前月比5.4%の減少、前年同月比16.6%の減少であった。中国農業科学院の専門家によれば、第2四半期も“生猪”出荷量は引き続き減少が見込まれるので、2019年における中国国内の豚肉生産量は6.7〜10.6%減少することが予想される。また、これを補うために、2019年に中国が輸入する豚肉は170万トン〜200万トンに達すと予測されるという。
豚肉が高くて食べられない世界最大の豚肉消費国2018年11月30日から2日間の日程でアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議に参加した米国大統領のトランプと中国国家主席の習近平は12月1日に会談をおこなった。
この会談で双方は、中国の知的財産権侵害の改善策に関する協議を継続することで合意し、その見返りとして、米国が2000億ドル相当の中国製品に課す追加関税の税率を、来年1月から現行の10%から25%に引き上げるとしていたのを90日間猶予するとしたのに対して、中国は農産物を中心とする米国産品の輸入拡大に努めることを約束した。
この結果、中国は中国国内で不足が予想される大豆と豚肉の輸入契約を拡大したと言われているが、2019年5月17日付でロイター通信が報じたニュースによれば、上述した5月10日の米国による制裁措置発動後に、中国の業者が3247トンの米国産豚肉の注文を取り消したことが5月16日に米国農務省(USDA)の統計で判明したという。
USDAの統計によると、2019年に入ってから中国業者による米国産豚肉に対する注文の取り消しは、2月28日までの週が53トン、3月21日までの週が999トン、4月18日までの週が214トンとなっており、5月16日までの2019年の注文キャンセル総量は4513トンとなっている。
なお、中国の税関統計によれば、2019年1〜2月の冷凍豚肉輸入量は20.7万トンで、前年同期10.1%の増加であった。また、3月22日には,中国とポルトガルが締結した中国による豚肉輸入契約に基づく第1回分の冷凍豚肉24.99トンが天津港へ到着し、これらの豚肉は北京市、天津市、河南省などの地区向けに販売されたという。米中貿易戦争のあおりを受けて、米国産豚肉に対する注文をキャンセルする一方で、手あたり次第に世界各国へ豚肉供給の可能性を打診し、懸命に豚肉の輸入を実現すべく努力しているのが中国である。
国連食糧農業機関(FAO)の最新統計によれば、2017年の国別豚肉生産量は、第1位:中国(5452万トン)、第2位:米国(1161万トン)、第3位:ドイツ(551万トン)、第4位:スペイン(430万トン)などとなっていて、十分な輸出余力があるのは米国くらいで、大量の豚肉を輸出可能な国はさほど多くない。なお、上述のポルトガルは第31位:(38万トン)と豚肉の生産量は非常に小さく、豚肉の輸出能力は限定されている。中国が米国に代わる豚肉供給国を見付けて、豚肉の輸入量を増大しない限り、中国国内の豚肉需要を満足することは困難と思われる。
中国政府“農業農村部”発表のデータによれば、4月22日から26日までの間に31ある一級行政区中の16カ所で“猪痩肉(豚の赤身)”の平均出荷価格が1キログラム当たり20.14元(約322円)まで値上がりして、前週より1.1%上昇となったが、これは昨年同期に比べて46.3%の上昇であった。豚肉価格は今後も引き続き上昇することが予想されるが、人々はすでに“吃不起猪肉(豚肉は高くて食べられない)”と悲鳴を上げているのが実情である。
新たな恐怖“ツマジロクサヨトウ”中国がアフリカ豚コレラの蔓延を沈静化するには相当長い時間が必要と思われるが、そうした状況下で「泣き面に蜂」と言える事態が中国を襲っていたのである。それは、2017年2月にフランス通信社(AFP)が「国連食糧農業機関(FAO)がアフリカ南部の数カ国で幼虫による食害で地域の食糧生産地全域に被害が及ぶ恐れがあると警告した」と報じた害虫の蛾(が)「ツマジロクサヨトウ(学名:Spodoptera frugiperda)」である。この虫は中国名を“草地貪夜蛾”あるいは“秋行軍蟲(英名:Fall Armyworm)”と言う。
ツマジロクサヨトウの成虫は体長3.8センチ程で、黄色味を帯びた緑色から淡い黄褐色、さらにはほとんど黒に近い色まで多種多様で形状は醜く、たいていの場合は体長方向に白みがかった縞が見られる。また、幼虫の頭の前面には転倒した「Y」の字があるのが特徴である。ツマジロクサヨトウは、チョウ目ヤガ科ヨトウ亜科に属する昆虫で、同類の仲間は多数あり、日本ではヨトウムシ類として「夜盗蛾(ヨトウガ)」、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウなどが野菜、花、果樹などに深刻な食害を与える害虫として知られている。
5月11日付で米国ニュースチャンネルCNNは次のように報じた。
1.米国農務省(USDA)が最近発表した報告によれば、2019年の初旬にアフリカや南北アメリカ大陸を起源とする害虫であるツマジロクサヨトウがミヤンマーから中国の雲南省へ侵入した。この害虫は繁殖が速く、拡大の距離が広く、根絶が難しく、幼虫が農業に及ぼす損失は甚大なものがあり、ツマジロクサヨトウの出現は各種の農作物について言えば深刻な災難と言えるものである。
2.ツマジロクサヨトウは中国国内ですでに雲南省、広西チワン族自治区、広東省、貴州省、湖南省、海南省に拡大しており、その拡散速度は中国当局が予想したものより格段に速かった。ツマジロクサヨトウの繁殖が拡散されることによって、稲、大豆、トウモロコシなどの重要作物に深刻な影響を及ぼすことが予想される。重要なことは、目下のところ、この種の害虫を大規模に全滅させる方法は未だ発見されておらず、一度この種の害虫の侵入を許せば、根治の方法はなく、ただ手をこまねいているしかないのが実情である。
これとは別にFAOが以前発表した情報によれば、ツマジロクサヨトウの起源はアフリカであり、アフリカの一部地域では農作物の70%がツマジロクサヨトウによる食害で壊滅的な被害を受け、人々を深刻な飢餓状況に陥れると同時に、60億ドルもの損失をもたらした。
ツマジロクサヨトウは移動能力が極めて高いことで知られており、専門家によれば、1昼夜に200キロメートルを飛ぶことができ、メスは産卵前に500キロメートルを飛行して移動することも可能だという。
この長距離移動によって、ツマジロクサヨトウはアフリカからアジアへと侵略を始めており、FAOがタイで開催した会議「アジアにおけるツマジロクサヨトウ検討会」では、次のような実情が紹介された。
すなわち、インド、スリランカ、バングラデシュ、ミヤンマーでは合計4053平方キロメートルの農地がツマジロクサヨトウの被害を受けた。スリランカでは433平方キロメートルの農地が被害を受け、トウモロコシの作付面積の52.4%が被害を受けた。また、タイでは全国75県中の50県で被害が発生し、そのうち6県では被害が甚大で、トウモロコシの被害率は100%に達したという。
早くも東京23区以上の面積がそれでは、ツマジロクサヨトウの一生はどうなっているのか。
1.成虫は羽化後4〜5日で産卵する。メスが一生に産める卵は1500〜2000個である。
2.メスは一回に100〜200個の卵を産むが、卵の塊の表面は細い繊毛で覆われている。 3.幼虫は脱皮を6回繰り返すが、5〜6回目の脱皮を行う時期に農作物を食い荒らす。 4.成熟した幼虫は地中に入って蛹(さなぎ)となり、その後羽化して成虫となる。 なお、ツマジロクサヨトウ は1カ月で1世代を産むことが可能であり、1年間では十数世代が出現することになる。
中国政府“農業農村部”直属の事業組織である「全国農業技術普及サービスセンター」が発表した情報によれば、雲南省、広西チワン族自治区、貴州省、広東省、湖南省でツマジロクサヨトウによる被害が確認された後、4月下旬以降にツマジロクサヨトウは海南省、福建省、浙江省、湖北省、四川省、江西省、重慶市、河南省で相次いで幼虫による食害が発見されており、ツマジロクサヨトウの拡散と蔓延は明らかに加速している。 5月13日までに、中国では13の一級行政区(省・自治区・直轄市)内の61の市(州)、261の県(市、区)でツマジロクサヨトウの幼虫による食害が発見されており、その食害の発生面積は初歩的な統計で108万ムー(720平方キロメートル)に及んでいる。ちなみに、東京23区の面積は約620平方キロメートルであるが、720平方キロメートルはあくまで初期段階の数字であり、実際はこれを遥かに上回っているはずである。
5月16日付の経済紙「第一財経」は、ツマジロクサヨトウについて次のように報じた。
1.5月13日に報じたように、ツマジロクサヨトウは米州起源の害虫であり、米州で蔓延した後に速やかにアフリカ、南アジア、東南アジアに伝播した。今年1月11日に我が国の雲南省西南部に出現したツマジロクサヨトウは、その後南方諸省に急速に拡散した。ツマジロクサヨトウは強力な危害性を持つので、農作物を全滅させて収穫ゼロとする可能性がある。
2.5月13日までに、中国では13の一級行政区がツマジロクサヨトウの被害を受けている。このため、農業部門はツマジロクサヨトウの被害を高度に重視し、観測・予報を強化し、全力を挙げてツマジロクサヨトウの被害を防止して豊作を実現すべく努力しなければならないと指示を出した。ツマジロクサヨトウは俗称を“秋粘虫(秋に粘る虫)”と言うが、米州の熱帯と亜熱帯地域を原産とする雑食性の害虫である。ツマジロクサヨトウは食べる量が多いが、その対象はトウモロコシ、水稲、サトウキビ、煙草などのイネ科の植物であり、なおかつ繁殖力が強く、飛行移動の能力が高い。彼らは暴食害虫に属して群体作戦を展開し、1日でトウモロコシの作付け地を食い尽くし、その後は隊列を組んで別の土地へ移動する。このため、またの名を“秋行軍虫(Fall Armyworm)”と呼ばれる。
中国は自給自足出来る国ではない中国政府“国家統計局”発表の『2018年国民経済・社会発展統計公報』によれば、2018年の全国食糧総生産量は6億5789万トンで、前年比0.6%減の371万トン減少であった。
米中貿易戦争の勃発後、中国は米国からの輸入食糧の関税を引き上げ、米国産大豆などの農作物の購入制限を実施しているが、それによって中国国内の農産物生産はより一層重要性を増している。
しかし、すでに述べたようにアフリカ豚コレラは全国に蔓延しており、養豚業者や精肉業者は重大な危機に直面している。少なくとも、過去1年間にアフリカ豚コレラの感染を疑われた100万頭以上の豚が殺処分されている。これに加えてツマジロクサヨトウは着実に中国国内の各地に拡散を続けており、どれだけ農作物の生産量を減少させるかは予断を許さない状況にあり、その結果は収穫時期となる秋頃に明白となるはずである。
FOAが2019年1月に発表した「世界の穀物生産量 国別ランキング」によれば、2017年の第1位は中国で6.18億トン、第2位は米国の4.4億トンであった。穀物の主体は、米、小麦、大麦、トウモロコシなどだが、中国では“糧食(食糧)”には穀物だけでなく大豆などの豆類も含まれる。中国税関の統計によれば、中国の2018年における“糧食”の輸入量は1.16億トンであったのに対して輸出量は366万トンに過ぎなかった。輸入品目の内訳は、トウモロコシ:352万トン、小麦:310万トン、米:308万トン、大豆:8803万トンであった。
今や中国は世界最大の食糧輸入国であり、従来はその多くを米国から輸入していたが、米中貿易戦争によりその買い入れ先の変更を余儀なくされていることは上述の通りである。
アフリカ豚コレラに苦しんでいるところにツマジロクサヨトウが加わって、中国は厳しい試練に晒されている。
こうした状況を日本語では「泣き面に蜂」あるいは「弱り目に祟り目」と言うが、このような災難が重なることを中国語では“雪上加霜(雪の上に霜が降りる)”と言う。果たして中国政府はこの“雪上加霜”の試練を乗り越えることができるのだろうか。「現代ビジネス」
ツマジロクサヨトウの繁殖に中国は適した環境にあるといわれる。いったん繁殖したツマジロクサヨトウに対しては打つ手がないだろう。そして豚コレラである。中国は世界最大の食糧輸入国であるのだ。 |





