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学者・知識人
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評論家の栗本慎一郎さんとの対談設定のため、東京都内の吉本宅にうかがった際、こちらの車が到着するのを自宅前で、じっと待っておられた。そんな姿が今も印象に残っている。平成2年、新聞での対談は本紙が初めてのものだった。
「自分の客は自分でもてなす」の考えから、自らお茶を出し菓子を振る舞う姿に恐縮するばかり。質問にじっと耳を傾け、丁寧に答えていただいた。威圧するような怖さはなく「戦後最大の思想家」「知の巨人」の権威的イメージは、初対面で溶解する。ごく気さくな、普段着の生活人という実像にかえって圧倒された。
「マス・イメージ論」などで、生産から消費へと社会構造が変容した時代の潮流を、誰よりも早く読み取り分析した功績も大きい。1980年代の高度消費社会を積極的に評価、女性誌にコム・デ・ギャルソンの服を着て登場したりした。後に、作家の埴谷(はにや)雄高(ゆたか)さんと消費社会をめぐる論争に発展。その姿は「時代はこんな軽みを持つようになった」と宣言しているようだった。その軽みは文学や思想、サブカルチャーを同列に論じる視点と重なり、その後の評論に生き続けた。
「評論や詩、文芸は25時間目の問題だ」との言葉も印象深い。一日24時間は仕事や家事をしっかりやる。評論活動はそれが済んだ後の“余技”の意味だ。自己に厳しく課した倫理であり、自負だった。思想の根底には、生活を基礎に据えた視点があった。
平成8年に伊豆の海でおぼれ重体に陥った後にお会いしたときは、足腰が弱りお茶のもてなしはなかった。だが、同じ主題を丁寧に語りつつ、らせん状に論点レベルが上がっていく独特で魅力的な語り口は健在だった。(元産経新聞文化部編集委員田中紘太郎)
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ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授によれば、学習は「単純学習」と「複合学習」に区別されるという。従来のやり方がうまくゆかない場合に手段や戦術を修正しなければならないと悟るのは前者で、目的や戦略そのものに問題があることを認めて、それらの変更までも考えるのは後者である。
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東大を今月で定年退職する山内昌之教授(64)は、日本を代表するイスラム史研究者。その最終講義にあたる公開講演会「中東大変動の構造と力学−世界史から見た『アラブの春』」(東大中東地域研究センター主催)が3日、東京都目黒区の東大駒場キャンパスで開かれた。山内教授は約480人の聴衆を前に、歴史と学問の魅力を語った。
講義で山内教授は、歴史学の目的を「ある出来事が起きたことを明らかにし、原因を正しく説明すること」と規定。昨年の「アラブの春」を例に、歴史的視点で分析した。
この動乱をイラク戦争(2003年)以来の中東の歴史的転換点と位置づけた上で、「抑圧された市民による人間性回復のための反乱という世間で流布する説明は不十分」と述べ、主因はアラブ諸国での急激な人口増にあることを指摘。「人口ピラミッド中の若者年代が極端にふくらむことで高失業率や社会不安が生まれ、暴動や革命、戦争につながる」という構造を近代の欧米や日本などの例と比較しながら読み解いた。
山内教授は、イスラム史研究で数々の業績を残してきた。出世作『スルタンガリエフの夢』(岩波現代文庫)は「ムスリム民族共産主義」という特異な思想を持つタタール人革命家の悲劇的生涯を描き、話題を集めた。さらに、本紙連載「幕末から学ぶ現在」をはじめ歴史に関わる幅広い著作を発表。細分化された分野別の専門家ではない「歴史家」を志向してきた。この日の講義でも、「日本や中国の古典的歴史書への素直な関心があり、叙述を重視してきた。しかし職業的研究者としては歴史理論や政治分析といった社会科学的要素も無視できず、この2つの間で引き裂かれるような思いもあった」と、自らの仕事を振り返った。そのバランスを保つのに「自分なりの社会的理想、使命感」の存在が大きかったという。多くの政府関係委員会で政策策定にも携わり、「国と社会に貢献したいという思いは学生時代からあった。学問に国境はないが、学者には祖国がある」と語った。
退職後は、まず研究生活の集大成を目指すという。「学者としての初心に立ち返って、岩波書店から出す『中東国際関係史』と、中央公論新社で予定している『現代史』シリーズの執筆に取り組みたい」と、講義を締めくくった。講義終了後、教壇を降りた山内教授に握手を求める人の列は、長く途切れなかった。(磨井慎吾)産経新聞
山内先生が定年退職されたことに、ご苦労さまといいたいですね。学問をする人は家族も、特に奥さまのことを。・・・・・何かの本で読んだけれども看病をされたことなど、大変なことなどいろいろあっても、独自の歴史観を構築したのである。最近も野田総理と懇談されたり、今上陛下には、ご進行されている。国際社会・世界の歴史を話されたと思う。これからは、歴史理論・政治分析だけでなく、これからの日本のための警世の本をたくさん書いてもらいたいのです。山内先生は・・・・日本に必要な人ですね。 |
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アメリカの社会学者、チャールズ・マレイ氏の話題の近著『カミング・アパート−ザ・ステート・オブ・ホワイト・アメリカ1960〜2010』(原題)は、アメリカが貧富の差でばらばらになりつつあると説く。知的職業を中心に新たな上流階級が形成され、下位30%の所得層では家族や勤勉、正直、信仰など建国以来の美徳が失われつつあるという。米国の危機ですね。
日本でも、知的職業というところに上流階級が形成されていくということがわかってきたのだ。
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