真正保守を訴える

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 小林秀雄は「モオツアルト」のなかに「大切なのは目的地ではない、現に歩いてゐるその歩き方である」「モオツアルトは、歩き方の達人であつた」「モオツアルト、目的地何ぞ定めない。歩き方が目的地を作り出した」と書いてゐる。このモオツアルトは小林秀雄自身であったといわれている。

高杉晋作について、

 高杉晋作について、高杉の辞世は「おもしろき ことなき世をおもしろくで あった」池宮彰一郎は『英雄とは、百万人に1人の天恵を得る者をいう。英雄は新たな時代をつくる天命を受けた者、といえる。天は、天恵を与えたその者を、使命が終わるや否や、容赦なく召し返した』と。
 池宮彰一郎がこんなことを書いてます。中国の小説に「水滸伝」がありますが、この最後に、この小説を書いた目的はって書いてある。自分の明利でもない。それから、これで道徳的に非難を受けることも数々あるだろう、だけど書く目的は、百年の青史に英雄を播(は)すと。
 つまり百年の歴史の中に英雄の種まきをしているんだと言うんです。これを読んで、誰かが英雄になってくれるかもしれない。その英雄の種をまいているんだ、と。私はこれを歴史小説を書く時の心得にしているのです。ですから、私の小説は、現代に踏み込むのです。百年は短いと思う。千年の歴史で、どこかの私の小説を読んだ人が語り伝えて、どこかに英雄が出るかもしれん、と。

我々の今は過ぎ去り、

 南条竹則が吉田健一の「絵空ごと百鬼の会」の書評で書いたものだ。「我々の”今”は過ぎ去り、7千年の昨(きそ)の日と一緒になるとも、ひとしきりの酔い心地ははもう消えることがない。人は後も先もなく久遠に酔っていることが実感されて、こうなると小説の功徳も大抵(たいてい)でなくなる」と。
 永井陽之助は「解説 政治的人間」の解説で、次のようなことを書いている。ヴェーバーが『職業としての政治』で警告しているように、政治に参加する人は、不可避的に「強制力」という悪魔と手を結ぶのである。「悪魔は年をとっている。だから、悪魔を理解するにはお前も年をとっていなくてはならぬ」(『ファウスト』第二部)のである。この「年をとる」は、老若の年齢でなく、精神的、政治的成熟の度合いを意味していると。今の日本で成熟した政治は行なわれているだろうか疑問である。今回の「特定秘密保護法」の審議においても、与野党の洞察力のない質疑に暗い気持ちになった。

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