京都のまつ

マルチアンプ駆動と精緻なタイムアライメントへのこだわり

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 わが国を代表するスピーカー・ブランドであるDIATONE40年もの長きにわたって引っ張ってこられた佐伯多聞氏に拙宅を訪問頂いた。
 佐伯多門氏は、三菱のDIATONEで様々なスピーカー開発に携わって来られた傍ら、世界のあらゆるタイプのスピーカーの研究者としても有名で、スピーカーの製作者の多くがバイブルにされている著書も執筆され、日本オーディオ協会の理事も務めてこられた、まさに我が国おけるスピーカーのレジェンドと呼ぶにふさわしい人物であることは言うまでもない。


 今回、拙宅を訪問されるにあたり、先般、改訂版を発行された、その最新版をサイン入りでプレゼントしていただいた。
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 今回、拙宅を訪問されることになった経緯は、小生と交流のある最年長のオーディオ・ファイルで、石井式オーディオ・ルームの石井伸一郎氏をして最も音響特性がいいオーディオ・ルームで、永年オーディオと対峙されてきた兵庫県三田市にお住いの塚本氏が佐伯多聞氏と交流があり、先般、塚本氏が小生が製作したオールストーンのスピーカー「STS-Limited」を是非聴きたいとのことで拙宅を訪問されたのである。
 塚本氏は89歳の高齢であるが、「STS-Limited」を一聴して「雑味のない音」と評価され、ご自身も石材のエンクロージャーの製作をトライしてみたかったこともあって大変感心をされ、その情報を佐伯氏に伝えられことが拙宅への訪問に繋がったものと思っている。
 その意味では、オールストーンのスピーカー「STS-Limited」が、佐伯多聞氏を拙宅に引き寄せたともいえる。
 佐伯氏は、福島県郡山市にお住まいであるが、この度大阪で法事があり、その機会を捉えて交流のある塚本邸の訪問後に塚本氏と共に拙宅までお越し頂いたのである。
 塚本邸では、佐伯氏が製作されたスピーカーの初期の代表作である「2S-305」が3セット6台あり、その部屋でお気に入りのCDを試聴の後、3人で記念写真の撮影をしていただいた。
 兵庫県三田市には、三菱の三田工場があり佐伯氏も20年以上前に副所長として5年間程度単身で赴任されていた懐かしい場所でもある。
 三田ホテルでフグ料理の会食後、小生の車で開通したばかりの新名神(神戸-高槻)を経由して京都の拙宅へ向かった。
 拙宅では、滅多にお会いできない佐伯氏と対面出来る機会とあって、YASさんが拙宅でスタンバイしていただいていたのである。
YASさんと小生の交流は、小生と交流のあるオーディオ・ファイルである、TKさんから紹介された方で、まだ40代前半であるが、現在、世界でも前例のない超弩級スピーカーを開発中の人物なのである。
 YASさんはスピーカー製作に関する高い見識と鋭い聴覚を兼ね備えた人物で、小生も開発中のスピーカーの誕生を楽しみにしている一人なのである。
 
 佐伯、塚本の両氏が拙宅に到着されて、まもなく佐伯氏が評価用に持参されたCDによる試聴が始まった。
途中、ハンディ・タイプの音響計測器も取り出されて特性を確認されたり、演奏中の曲で納得されるようにうなずいたりで、この場面では拙宅を訪問される一般的なオーディオ・ファイルとは全く異なる雰囲気で、小生もスピーカーの性能試験を受けているような緊張感を覚えたのである。
結果、ストーン・ウーファーについては、並行面を排除したこともあってエンクロージャー内で発生する定在波による違和感も感じられないとのことで、概ね合格点をいただけたものと思っている。
そして低音の力感や質については、ユニットによるものなのか、また石材エンクロージャーによるものなのかとの問いかけに、石材エンクロージャーによるものと即答されたのには、正直安堵をしたのであるが、たぶん、佐伯氏も随分以前にDS-251という、当時売れ筋のブックシェルフ・タイプのスピーカーをコンクリートと分厚い鉄板で構成したエンクロージャーを製作された経験に基づいた見解であると思われる。
 しかし、ミッドレンジのストーン・チューブについては、構成がよくないとの評価には、少々ショックであった。というのも円形のバッフル板のど真ん中にユニットを配置したことやバッフル板の形状が、いわゆるバッフル解析上も禁じ手のパターンに該当するとのことであった。
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 一人のオーディオ・ファイルが製作したスピーカーにもかかわらず、専門家の観点から真摯に評価をいただけたことは大変有難いことであると同時に佐伯氏も80歳を超える高齢にもかかわらず、永年鍛えられてきた聴覚の鋭さにはほんとうに驚かされた。
 クロスオーバーやタイムアライメントの設定に関する仕様で、小生独自のインパルス応答による計測・調整方法を説明したときに、小生がインパルス応答による生の信号波形を振動板の直近で計測していると説明したのであるが、佐伯氏はリスニング・ポイントでの計測が不可欠であるとの見解で、少々議論が噛み合わなかった場面があったのであるが、佐伯氏の頭には、インパルス応答波形を高速フーリエ変換して得られる諸データの解析がスピーカーの性能分析には不可欠という観点で話をされたのであるが、小生には直ぐに理解できず、スピーカーの性能評価に関する見識レベルの差をまざまざと思い知らされた場面があった。
 40年もの間、スピーカー開発一筋で仕事をされてきた人と、アマチュアの見識の差を思い知らされた時間でもあった。
 いずれにしても、永くスピーカーを中核としたオーディオの取り組みをしていると、とんでもない人物との出会いが広がり、より高度な観点からシステムのレベルアップに繋げられることは大変有難いことである。
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 因みに佐伯氏はご自宅では、DIATONEDS-V9000をお使いになっているとのことであるが、佐伯氏が帰宅されてから、ご丁寧なオールストーンのスピーカー「STS-Limited」に関する試聴の感想を書面にして送って下さり、今後、そのご指摘に基づいて今しばらく改良に繋げていきたいと思っている。

 いずれにせよ、スピーカーのレジェンドとの得難い時間を過ごすことが出来たことは、小生のオーディオ史においても大きな記念日となった。

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当日はステキな時間を共有させて頂きありがとうございました! 削除

2018/4/14(土) 午後 8:10 [ YAS ] 返信する

これからは、YASさんのような方が日本発のスピーカーをリードして行ってもらえるように期待しています。

2018/4/14(土) 午後 8:33 [ 京都のまつ ] 返信する

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大先輩を迎えて松岡様のオーディオ人生の集大成を披露するというのは結構緊張させられる体験であったことと思います。まあ細かなこと以外では概ね高評価をもらわれたようで良かったですね。

その細かなことに関してですが、私の考えを少々書かせていただきます。

松岡様のオールストーンスピーカーでは、中高域ユニットのエンクロージャはパッフル効果を持たせようという設計ではなく、音をスムーズに後に回り込ませることとユニット背面の音をあまりブレーキをかけずに消去することを目指されたものだと理解しております。

従って、もし真円パッフルの中央にユニットを配置しても、平面パッフルでの低域ユニットで起こりやすいいわゆる特定周波数での増強打ち消しということはまず起こりませんので問題ないものと考えます。

佐伯氏がパッフルに関しての定石として指摘されたのは、先に書きましたようにこのシステムとは別の平面パッフルにおける低域ユニットについてのことだと思います。

実際、聴感上でも測定上でも特定の周波数での特性の乱れは観測されていないのではないでしょうか。

2018/4/15(日) 午前 10:23 [ mou*ut*u ] 返信する

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またインパルス測定はリスナーの耳の高さの違いによってユニットからの時間差が微妙に異なってきますのでリスニングポジションでの測定が不可欠ということを言われているのだと思います。

確かに3ユニットを同時に鳴らしてインパルス応答波形を測定する場合は近接マイクでは各ユニットからの距離の差が大きくなりますので問題があると思いますが、ユニットをそれぞれ単独で鳴らしてそれぞれの応答時間を測定するだけならあまり問題はないのではないでしょうか。

最終的にリスニングポジションにおいて3ユニットを同時に鳴らした場合の合成インパルス応答波形とそれだけでは見えにくい位相特性を判定しやすくする周波数分析を確認しておくのは大切であろうと思いますが。

お疲れ様でした。
オールストーンスピーカーの今後の熟成を楽しみにしております。
また時々聞かせていただければ幸いです。

2018/4/15(日) 午前 10:24 [ mou*ut*u ] 返信する

京都人さん
流石に高い見識に基づいた、コメントをありがとうございます。
ここでは、長くなりますので、追ってメールをさせてもらいます。
また、ご都合のよいときにお越し下さい!

2018/4/15(日) 午前 11:20 [ 京都のまつ ] 返信する

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素晴らしいですね。

佐伯氏をとやかく言う気持ちは全くございませんが、プロのスピーカー開発者でも嗜好という点で必ずしも自分と一致しないということは感じます。DS-V9000をお使いということは、必ずしもサウンドステージにこだわりがある方ではなさそうですね。

ステサン誌で佐伯氏が制作されたウェスタンの巨大スピーカーの記事が手元にありますが、試聴のおり三浦さんが「面で押してくる音ですね」と感想を述べておられました。

2018/4/15(日) 午前 11:47 [ よし ] 返信する

よし さん
途中、色んな話をしましたが、プライベートでは、ウェスタンに入れ込まれていたようです。
ウェスタンなど今からすればヴィンテージ・スピーカーが全盛の時代を通って来られた方ですから、どうしてもこの世代の方は、面で押してくるSPに惹かれたのではないでしょうか。
小生もバッフル板の大きい4350と永年対峙してきたので、サウンドステージの再現に目覚めだしたのはここ数年のことです。

2018/4/15(日) 午後 6:59 [ 京都のまつ ] 返信する

素晴らしい体験をされましたね。
理にかなった物、測定も突き詰め!
レジェンドをお招き出来ますね。
音も素晴らしいと思いますます。

家はますますの鬼太郎ハウスですが、
機会がありましたらまた相互訪問よろしくお願い申し上げます。

2018/4/18(水) 午前 10:37 [ デビルJyajyaoの秘密基地 ] 返信する

ジャジャオさん
よい記念になりましたが、面接を受けているような緊張感がありました。
佐伯さんの技術者魂を目覚めさせた瞬間を感じました。
是非、こちらにもお越しくださいね。

2018/4/18(水) 午後 4:26 [ 京都のまつ ] 返信する

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ポン次郎です。

まつさんのスピーカーを、スピーカー制作のプロが聴きに来られた由。
要は、プロが評価の対象とする(充分プロに通用する)ものを作られたということだと思います。

技術的なことはには疎い私ですが、例えばウエスタンが“面”で押してくるスピーカーであり、まつさんのストーンスピーカーはどちらかというと“音場”を重視するということでしょうか。

とすれば、音場と面(実体感?)は両立し難いものなのでしょうか。
見当外れかも知れませんが、そんなことを思いました。

2018/4/19(木) 午後 8:44 [ snd**046 ] 返信する

ポン次郎さん

まぁ、佐伯さんもめったに聴けないストーン・スピーカーに興味を示されたと言うことでしょうね。
面で押すような印象の程度の差は、バッフル板の面積の違いによるバッフル解析と呼ばれる特性の違いによるものです。
STS-Limitedは音場型を徹底していませんが、低音がスッキリしているので、音場もよく分かるように思います。

2018/4/20(金) 午前 7:49 [ 京都のまつ ] 返信する

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