京都のまつ

マルチアンプ駆動と精緻なタイムアライメントへのこだわり

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TRINNOVの試聴

 ステレオ・サウンドにフランス製の音場補正装置である「TRINNOV」の記事が掲載されていたことから、一度拙宅の環境で試してほしいとT氏から依頼があり、㈱ステラに打診をしたところ、1週間程度借りられることになった。
 音場補正機材については、以前から関心があり、AccuphaseDGシリーズについては、最新のDG-58まで、全てのモデルを試聴してきた。
 また古くは、DEQXが国内市場に登場して間もなく試した経歴があるが、残念ながらどれも計測上の特性は改善されるものの、聴感上良くなったという印象が得られず、音楽的にも平坦で冴えない印象で、よい結果を得ることができなかった。
 今回、試聴する事になったTRINNOVは、Accuphase製品のようにIIR型フィルターではなく、FIR型フィルターを採用しているという点や、かなり音場補正にかかるSPL、位相の補正だけではなく、インパルスによる反射波にかかる補正も行うという高度なアルゴリズムを搭載しており、今までとは違う補正結果も期待できそうなこともあって試聴してみることにした。
 
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 TRINNOVが拙宅に到着後、ちょうど梱包を解いて設置と接続を終えたころ、ハイエンドショーでよく見かける(株)ステラ社長の橋隅氏が、直々に拙宅を訪問されたのには驚いた。
  早速、オーディオルームに招いて、先ずはストーン・スピーカー「STS-Limited」を聴いていただくことになったが、演奏が始まって一曲も終わらないうちに「これは補正の必要はないですよね」との感想を頂いた。
 
試聴もそこそこにTRINNOVの設定作業を始めることになった。
 橋隅社長は、手慣れた様子で淡々と説明をしながら、付属のi-padのアプリによってキャリブレーション作業を進めながら、10分もしない内に設定作業が終わった。
 キャリブレーションに使う信号音もメーカーによって様々で、Accuphaseではワーブルトーン、DEQXではサイン・スイープ、TRINNOVではピンクノイズを使用している。
 音響計測はチャンネルあたり10秒位で終了し、その後に音響補正用のデータ作成に2分程度待たされて、一連のキャリブレーション作業が完了した。
 
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 いよいよTRINNOVを補正モードにして試聴を始めたが、TRINNOVによる補正後では、鮮度が上がった印象とともに、明らかに低域の定在波による起伏が、平準化されたサウンドになっていることが実感出来るものであった。
 いつもの定番試聴曲を聴いてみたが、違和感もなく、むしろバランスが改善されている。
 実際にどれ位改善されているのか、SPLを実測してみたが、見事に改善されている。 
 AccuphaseDG-58を借りて試聴した時も、リスニング・ポイントで実測をし、見事に特性が改善されていることを確認しているのであるが、実際に改善後のサウンドの印象は、DG-48の時よりもよくなった印象はあったものの、音楽的に補正前の印象を上回るものではなかった。
 
 補正後の実測特性は、どちらも遜色がないにも関わらず、なぜ今回試聴したTRINNOVは音楽的な魅力の改善に繋がったのであろうか。
 今まで、拙宅はオーディオルームとして設計された部屋であることに加え、システムについてもタイムアライメントもチューニングされており、そもそも音響補正をかけなければならない程のアンバランスな状況ではないことから、音響補正の機材を挿入することで、システム全体の鮮度が落ちると考えてきた。
 一つにはTRINNOVのフィルター・タイプがFIRであることなのか、
二つ目としては、補正後の特性によって、どうしても低音のブーストアップをする音域が出てくるが、従来はその補正によって箱鳴りが大きくなって違和感があったが、ストーン・ウーファーになってから、ブーストアップによって生じる違和感が抑えられていることも考えられる。

 いずれにしても、DSPの進化とTRINNOVの高度なアルゴリズムにより、定在波による低域の凹凸が平坦になったサウンドを実感できると共に、高域についても鮮度も上がり、何よりも音楽がより楽しめるように改善されたことが評価できる。
 TRINNOVの借用中にYASさんが来られ、音響補正による改善効果についても納得をされていた。
 
 このTRINNOVの音響改善効果をより確かめるべく、2ヶ月前にデンマークのScanspearkのユニットを再評価すべく中高音をScanspearkのペーパーMIDとベリリウム・ツィータに変更したのだが、いいバランスが見つからずに再びAccutonに戻した経緯があったのであるが、TRINNOVを借りている間に、再度Scanspearkのユニットに差し替えて、音響補正でどれ位の改善効果があるか試してみようと思い立ち、急遽、ユニットをScanspearkに戻したのである。
 組戻したScanspearkのユニットでTRINNOVの補正をかけたところ、やはり、Accutonの硬質な印象からペーパーコーンのしなやかな印象には変わるものの、音楽的な魅力は十分確保でき、甲乙付け難いレベルにまでのサウンドになったのである。
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 この結果は少々予想外で、極論すれば、システムや部屋の特性が不十分であっても、TRINNOVの補正によって、かなりの音づくりが出来てしまうことを意味する。これがTRINNOVの目的であるが、TRINNOVはその上に、補正の強弱にリスニングポイントの範囲に加え、ユーザー毎の好みのバランス補正も可能な自由度にもかなり配慮されているのである。
  高度な音響解析を踏まえて、DSP技術を駆使すれば、ここまでサウンド・バランスを改善できる時代になったとの認識を新たにした。
 
 TRINNOVを返却してから、改めてオーディオルームの特性を計測してみると、異常な残響特性を示していることが判明した。
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 原因は、オーディオルームに同居していたJBL38cmウーファーが共振をしていたことが判明したことから、思い切って別室へ移動し、AVアンプのラックのレイアウト変更など、オーディオルームの素特性の改善を図ることにした。
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 今回の試聴結果を得て、今後とも機会を捉えて音響補正技術の進展にも注目してゆきたい。

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こんにちわ
自分もデジタル補正技術に驚きデジタルチャンデバを購入したクチです。最初のデジタルイコライザはAPEQ8で次にトリノフを導入しました。あの巨大なエールの6ウエイシステムが音がバラバラにならず超繊細にまとまります。FIRフィルタと位相補正まで行ってしまうのが肝みたいですね。今まで聴こえなかった音が聴こえるようになりますよ。この音源にはこんな音が入っていたのか!と驚きの毎日です。

2018/6/3(日) 午後 10:28 audiovideo_fan 返信する

S藤さんやリベロさん、YKさんが導入されていることは承知をしていましたが、ブログに書いたとおり、今まで試した機材では余り良い成果が得られなかったので、今まで拙宅で試すまでには至りませんでした。
認識を改めざるを得ませんが、今しばらく、素特性の改善にも取り組むと共に、今後、他の補正機材も試してみようと思っています。

2018/6/3(日) 午後 10:53 [ 京都のまつ ] 返信する

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FIRのフィルターは原理的に音の遅延が起きるはずですが、どの程度遅延するのでしょうか。

2018/6/3(日) 午後 10:58 [ ohk*t*0319 ] 返信する

ohk*t*0319さん
FIRフィルターは、演算に時間がかかることが欠点ですが、具体的にどれくらいの遅延が発生しているのかは不明です。

映像との連携では、リップシンクが合わないとかサラウンドでも遅延の問題があるので、別途AV用のモデルが用意されていますね。

2018/6/4(月) 午前 7:04 [ 京都のまつ ] 返信する

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あらーっ、先にやられてしまいましたね。
実はお譲りしていただいたオールアクトンユニットスピーカーを高価なディジタルチャンネルデバイダーとマルチアンプで微調をする方法よりもTrinnovを使って全体の調整をしてしまった方がコスト的にも手間的にも有利かなと思ってそのような計画を考えていました。
ユニット間のレベル調整などはお茶の子、位相調整も室内音響補正もすべてやってくれるので便利ですね。

2018/6/4(月) 午後 7:14 [ mou*ut*u ] 返信する

京都人さん
TRINNOVの導入を考えておられたのですね。
いい方法だと思いますが、導入・試聴レポートを色々検索していると、あまり効果がなかったレポートもありますので、高価な製品でもあり、一度借りてお試しになってから、導入された方がいいと思います。

2018/6/4(月) 午後 9:29 [ 京都のまつ ] 返信する

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