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たまに読む小説のことなどをぼちぼちと・・
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このところ内田康夫の小説に嵌っています。
 
康夫繋がりの、あの大嫌いな田中某と勘違いしていたので、いままで手に取ろうともしなかったのですが、読んでみるといやこれが中々・・ 
現代のミステリー御三家のお一人というのも頷けるのであります。
 
かなりの著作量があるようなのでこの先もまだまだ楽しめそうです
 
【浅見光彦シリーズ】でTVドラマにもなったそうですがそっちは全く知りませんでした
 
悪魔の種子、隠岐伝説殺人事件、棄霊島、鯨の哭く海、化生の海、壺霊、不知火、贄門島、箸墓幻想、中央構造帯、氷雪の殺人・・
 
図書館で目にする本を片っ端から読み進み昨日【イーハトーブ・・】を読み終わったところです。
 
彼の小説はどれも歴史的な考察が非常にしっかりしているので、読んでいて厚みを感じます。
 
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宮沢賢治ゆかりの地を巡って事件が起こり、お馴染み【浅見光彦】が刑事そこのけの推理力を発揮して解決していくストーリーはいつもの通り・・
 
浅見、母親、兄、お手伝いの須美ちゃんなどのキャラクターも好感が持て、この作品にはなかったものの、各作品に必ず登場する若くて美しい女性たちがまたいいのであります
 
プロローグでいきなり一関のベイシーが登場したのには驚きました。
笠野良介なる人物があの菅原さんであります。
 
流石に本名は使いにくかったのかと思いますが、店の佇まいは正確で、本人の雰囲気などもかなり言い当てているので読んでいてニヤニヤしてしまいます
 
私的には別にどうということもない、内田作品の中では然程のものでもない感じですが、宮沢賢治ファンには堪らんのではないでしょうか・・
 
ベーシーが出てきたりしたので、まあ少しは面白かったかなあという感じであります。
昨日は音楽は一休みして何気なく借りたこんな小説を読んでいました。
 
浅倉卓弥 四日間の奇跡
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始めて読む作家ですが、音楽や医学分野のしっかりした知識に裏づけされた優れた文章力で一気に読ませてくれました。
 
将来を嘱望された男性ピアニストが留学中のウィーンで強盗事件に巻き込まれ、ピアニストとしては命ともいえる左手の薬指を失ってしまいます。
 
襲われたのはピアニストとは縁も所縁もない日本人夫婦ですが、不幸にしてその場で死亡してしまい、残されたのはまだ幼い少女只一人・・
ここから物語は始まっていきます。
 
少女の名前は千織ちゃんといいますが、青年は行きがかり上少女の身元引受人となって日本に帰りその少女と一緒に暮らし始めます。
 
少女は不幸にして脳に障害があるために会話も充分には出来ず、他人を恐れる性格が身についてしまって家族以外には中々馴染めない日々を送っているのですが、青年はある日少女の持つ不思議な才能に気が付きます。
 
一緒に暮らし始めて暫くして、青年が何気なく弾いた曲を聴いた瞬間に少女が突然ハミングを始めたのです。
『この曲好きなの?』と聞く彼に首を振りながら『ううん、今始めて』と。
『え?うそだろ?』
半信半疑でもう一度歌わせます。
彼が弾いた通りに再び正確にハミングする少女・・
驚く青年・・
 
こういった一種異常とも云える記憶力は【サヴァン症候群】というそうですが、D・ホフマンの映画【レインマン】で、一瞥しただけで車の製造ナンバーをすらすら口にするというような、信じられないような記憶力を示すシーンがありましたが、それと似たような症状なのかもしれません。
 
ピアノを弾くそぶりを見せながら『ピアノを、ひけるように、なりたいか?』と青年が云うと、何度も首を縦に振りながらそれまで見せたこともないような笑顔で応える少女・・
 
音楽を楽譜ではなく音で覚える少女は、始めのうちこそキーと音のイメージが合わなくて戸惑いも見せますがみるみるうちに進歩し、やがて老人ホームなどの施設で慰問演奏会を行うようになっていきます。
そんなことをしながら数年が過ぎていった5月のある時、最初の会場での演奏を無事終えた後、次の会場である山の中の施設に向かいます。
 
現地に到着した時はもう夕方になりましたが、彼方に不思議な光景を目に釘付けになる二人。
 
燃えるような夕日に照らされながら、一団が影絵のように黒いシルエットになってゆっくり進む様は何か求道者の集まりのような印象さえ与えるのでした。
 
私の頭の中には【タンホイザー】の中の巡礼の群れが浮かんで来ます。
 
表紙に描かれているのはそのシーンです。
 
僅か4日の間にその施設で起きる驚くべき出来事がこの小説の中心になるのですが、そのクライマックスのシーンで真夜中の聖堂に響く月光ソナタ
 
人間にとって【愛】がいかに大切なことか、【音楽】がいかに心を癒すことなのか・・
読みながら、純粋な心を持つ人間集団の柔らかくて暖かい触れ合いに目が潤んで来ます
 
読み終わって、人の死への不安、命の儚さを思いながらも、深い感動を受け、暖かい気持ちに浸らせてくれる一冊でありました。
 
『主よ、導きたまえ』、という言葉が目次の次のページに載っていました。
何か心が安らぐ言葉のように感じます。
 
読み終わった後で私もこの曲をギレリスの演奏で聴きました。
 
本の中のこの曲を弾くシーンに目を通しながら聴くと、この曲をこんなにしんみりした気持ちで聴いたことがなかったことに気が付いたりしています・・
 
 
歌謡曲三昧の中で時には小説なども読んでおります。
 
昨年もあれこれ読みましたが、最後に読んだサスペンス【針の目】は読み応えのある一冊でした。
 
天国の門上下巻
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秋月氏の作品を読むのは初めてです。
 
2段組みで各々が500ページを超える超大作なので二巻を読み切るのに一寸時間がかかりました
 
第1次大戦〜第2次大戦下のヨーロッパを舞台に、あの膨大な【松方コレクション】を巡って、守る側と奪う側が文字通り血みどろになって争う壮絶な物語であります。
 
第1次大戦の後、ヒットラー率いる国家社会主義ドイツ労働者党が急速拡大していく様子や、ヒットラーに次ぐナンバー2にのし上がりながら、芸術に対する価値観の違いからいつしかヒットラーとは距離を置いて密かに個人的に美術品収集に突き進むヘルマン・ゲーリング・・
上層部は疑心暗鬼に陥り、連合軍の上陸作戦を巡って意見が全く纏まらない様子なども克明に綴られています。
 
これはノン・フィクションではないので、小説としての脚色ではあるでしょうが、作者の歴史と芸術に関する豊富な知識によって実に緻密に描かれています。
 
【優性人種同志を交配して千年王国】を作り上げる、というナチの考えは現在では明らかにされていることですが、ヒットラーの生い立ちの中にこそ実はユダヤ人を毛嫌いする出来事があった・・
 
第三帝国の崩壊を目前に、今や夢破れしヒットラーが恋人エヴァ・ブラウンの膝にすがりついて懺悔する、血を吹き出すような叫びは正に圧巻であります。
 
第2次大戦の舞台をヨーロッパ戦線に置き、ヨーロッパ中から集めた松方コレクションが、折からの戦火の中で引きもならず帰すもならず・・
まさに四面楚歌の中で運命に弄ばれる様を実によく描いた一作であると思います。
 
毎夜世界地図を広げ、小説の舞台を目で追いながら読み耽っておりました
 
ヨーロッパにおける大戦の様子やクリムトなど退廃主義の芸術に関心のある方は、私以上に面白く読めるのではないでしょうか・・
この秋yymoonさんの処で【針の目】が紹介されていました。
 
この映画はビデオを見たことはあったのですが、原作があることを教えられ、『これは読まにゃー!』とは思いつつも中々目に触れることがなく・・
 
先月の末頃のある日、バスの時間を待つ間に駅前のBookOffを何気なく覗くと・・
なんと!
私が行くのを待っているかのように目に飛び込んできた一冊の本。
『あっ!これだー!』
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誠に偶然でしたが、装丁も新しく即買いしたことは云うまでもありません。
こちらは創元社ではなく早川書房から出ていたものです。
 
その頃読みかけていたものをそそくさと読み終わり、一緒に買った小説を先に読んでから取り掛かることにしましたが、読み出すともう一気です。
 
全編が緻密に描かれたスリルに溢れ、久しぶりに読み応えのある一冊でありました
 
連合軍の機密情報を握ったナチのスパイが英国情報部や警察に追われながら、何度も『最早これまでか!』という場面もその度に敵を殺害しながら逃走を続け、ヒットラーに早く情報を伝えようと沖合で落ち合うUボートを目指して嵐の中を奪った漁船で乗り出すのですが、敢え無く船は難破しスパイはこともあろうにストーム島に漂着してしまいます。
 
そこには両足を失って車椅子で生活する往年の若きパイロットと彼を支えようと健気に努力する美しい妻と4歳の息子、羊を飼う老人の4人しか住んでいません。
 
前半も手に汗握る展開が続きますが、圧巻は最後のストーム島の攻防です。
なんとかしてUボートに乗り込みたい百戦錬磨の非情なスパイと、『そうはさせないわ!』と知恵の限りを尽くして勇気を奮い立たせる若い妻。
どこからそんな勇気と知恵が出るのか!と息をのむ思いで読み進みます。
 
原作の後半、ストーム島の争いに焦点を当てた映画も秀作でしたが、やはり原作は数倍スリリングでした
 
読み終わって、図書館にこのビデオがあったはず・・と思って検索したらば、何故か該当なし・・
DVDじゃなくてビデオテープだったからテープが駄目になってしまったのかなあ・・
 しゃーない、DVDを探すことにします。
 
yymoonさん、お陰さまで読み応えのある原作を読むことが出来ました
このところ浅田次郎の小説を読み続けています
 
ハチャメチャな【プリズンホテル】の4部作から始まり、図書館の棚にあるものを片っ端から読んでいるのですが、その中でも戦時中軍に輸送船として徴用された民間船をテーマにした【シェエラザード】は大変読み応えのある作品でした。
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もはや誰の目にも敗色目前だった昭和20年の春、太平洋航路に就航予定だった豪華客船【弥勒丸(みろくまる)】が軍に徴用され、攻撃を受けない【緑十字】を隠れ蓑に南方戦線から極秘物資を運ぶ計画でしたが連合軍にあっさり看破され上海に向かう途中で敢え無く撃沈されてしまいます。
 
それから数十年経ち、弥勒丸を引き揚げる話を持ちかけられた人々の裏には・・
 
現在と戦時中の弥勒丸を巡る緊迫したシーンが交互に描かれ、読み進むにつれて色々なことが明らかにされていく過程は中々にスリリングであります。
 
船の中で電蓄から音楽が流れるシーンがありますがその曲が題名になった【シェエラザード】でした。
 
徴用された民間船が軍に徴用された挙句に攻撃を受けて沈没したのは実際にあったことだそうです。
 
読みながら『そうか、ぽっぽやの作者だったな』と云うことに思い当りました。
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浅田次郎はこの一作で直木賞を取り世に出た作品ですね。
表紙のカットも味のある絵です
 
映画の印象からかなりの長編を勝手に想像していたのですがあっけないくらいの短編で、これだけの原作からよくあれだけの映画に仕立てるものだと妙な所に感心してしまいます
 
ぽっぽや一筋で生きてきた定年間近の乙松の前に、生まれてすぐ亡くなってしまった娘が成長した姿で現れる味わい深い作品です。
 
これは矢張りビデオを見なおしたくなりますねー
 
とっくの昔に死んだはずの大部屋女優が撮影現場に姿を見せる【活動写真の女】や、【沙高樓綺譚(さこうろうきたん)】の中の【立花新兵衛只今罷越候】なども、現世に思い残すことがあって成仏できない亡霊が描かれ、この辺りは浅田次郎の面目躍如と云ったところでしょうか・・
 
 

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