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谷恒生著、小学館文庫。
解説を読むと歴史小説というか、伝奇歴史小説の趣があるようだ。しかし、山田風太郎の「婆沙羅」に比べると全然おとなしい。なにしろ「婆沙羅」は主人公の佐々木道誉の無軌道な暴れぶりはあきれるほどだが、その道誉が口をあんぐりさせてしまう、後醍醐天皇や足利義満の妖怪ぶりが豪快だ。
それはともかく、この作品は歴史や経済の見方に多くの示唆を与えてくれる。信長が領地の代わりに利休のお墨付きの茶器を与える。堺商人の財力の後ろ盾がある茶器はそれだけの価値がある、つまり換金性があるという。さまざまな芸術作品はつねにパトロンの存在がある。時代によってパトロンは、教会だったり、市民ブルジョワだったりする。ミケランジェロ、レンブラント、ウォーホールはパトロンの姿は違うが経済力が背景にあったのは確かだ。そのほかにも、信長、秀吉、家康の関係が利休を中心とした視点で語られていて非常に面白い。
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