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あわてんぼうちゃんは、病院に行きました。 採血の後、先生から呼ばれるのを1時間くらい待ちます。 その日も、イスに座って待っていました。 いつもより人が多く、やっと見つけたイスでした。 トイレに行きたくなったあわてんぼうちゃん。 おさいふだけ持って立ち上がりました。 2〜3歩歩いた時、 キョロキョロしているおじいさんが目に留まりました。 おじいさんはイスを探していたのです。 あわてんぼうちゃんはイスの荷物を取り、「どうぞ」と言いました。 おじいさんは嬉しそうでした。 あわてんぼうちゃんは少しうきうきしました。 おじいさんが目に留まったこと、 迷わずイスの荷物を取りに戻れたこと、 「どうぞ」が届く自然な位置におじいさんがいたこと、 何もかもがうまくいったように感じたのです。 あわてんぼうちゃんはバスでお家に帰ります。 バス停にも人がいっぱいで、一番最後にバスに乗りました。 それでも空いている席があったので、ちょこんと座りました。 だんだん混雑してくる中、立っているおじいさんを見つけました。 次のバス停であわてんぼうちゃんは立ち上がりました。 おじいさんに「どうぞ」と言いました。 おじいさんは嬉しそうでした。 あわてんぼうちゃんはまた少しうきうきしました。 それからまたいくつものバス停を過ぎました。 あるバス停で降りて、歩いていると後から声がしました。 さっきのおじいさんでした。 「お嬢さんさっきはありがとうね」とおじいさんは言いました。 おじいさんは市民プールの先生で、同じ町内の元町内会長さんでした。 おじいさん先生は何度も「ありがとう」と言って帰って行きました。 あわてんぼうちゃんは、とってもしあわせでした。 だけど、このしあわせは自分で見つけたものではないとも思いました。 おじいさんがいたから、しあわせなんだと思いました。 そして、あわてんぼうちゃんは気付いたのです。 しあわせは、おじいさんのおしりからやって来るのだと。 おじいさんを見かけたら、しあわせのおしりのために、 また席をゆずろうと思ったのです。 おわり
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